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御相伴衆~Escorts 第一章 第六十八話 東屋での秘蜜~お見送り① 

 翌朝、朝食会は、予定通り行われた。昨日の歓迎会の次に、改まった席になり、多くは、皇帝陛下と第二皇妃が、アーギュ王子と話をしながら、という形になった。姫以下、他の者たちも、その場で、歓談しながら。

 テーブルには、ランサム風と、スメラギ風の朝食が、程良く、並んでいた。スメラギの雑穀スープを気に入った王子は、ランサム風の卵料理と合うと言った。「まるで、両国の良い所を合わせたような朝食」と、皇帝と皇妃に告げた。これには、二人とも喜んだ。

 その席でも、アーギュ王子の隣は、三の姫であった。食後、姫は王子に、約束していたクッキーを手渡しする。皇帝と皇妃は、その様子を、穏やかな笑顔で見守っている。

「王子、出立まで、もう少し、ゆっくりされても、良いのではないでしょうか?」

 第二皇妃が、王子に、声を掛ける。

「こちらの中庭、薔薇が、沢山、咲いておりましてね、見頃ですのよ。ね。一の姫」
「そうなんです。お庭歩きに、良い季節ですわね」
「ああ、あの、奥の東屋ね、野薔薇が絡んでいてね。とても、いい香りの頃ですわね」

「誘導始まったな」

 柚葉が、小さな声で囁く。隣の慈朗には、その言葉が聞き取れた。その隣の数馬にまで、聞こえたかは、解らないが。

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