砂漠のゆめ(3)/幻想小説
「まさか・・こんな」
アラムは呆然と、ラクダが消えていった後の流砂の池を見つめていた。
流砂はまるで何事もなかったかのように静まり返っている。
「食料が、テントも。みな一緒に飲まれちまった。どうすりゃいいんだ、
ねえ旦那様、聞いてますかい」
アラムの胸はラクダへの哀惜やら、自身の無力さやら、飼い主である頭領への申し訳なさ、そして何と弁解をしようか等で忙しく、返事する気力がなかった。さっきも言ったように、今日中には城に着くのだから、食料やテントの心配はない。大切な書簡は肌身離さ