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インスリンの100年! -歴史・現在・未来-

▼ 文献情報 と 抄録和訳

インスリンの100年:糖尿病治療の過去、現在、未来を祝して

Sims, E.K., Carr, A.L.J., Oram, R.A. et al. 100 years of insulin: celebrating the past, present and future of diabetes therapy. Nat Med 27, 1154–1164 (2021).

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[レビュー概要] 2021年は、BantingとBestがインスリンの発見について画期的な記述をしてから100年目にあたる。この発見とインスリンの迅速な臨床展開により、1型糖尿病は致命的な診断から医学的に管理可能な慢性疾患へと変化した。この総説では、糖尿病の病態生理におけるインスリンの役割の理解、インスリンの分子特性、インスリンの臨床使用など、医学史上重要な出来事に至るまでの主要な成果を紹介している。また、インスリン療法に影響を与えた患者さんや、過去100年間におけるインスリンの薬物動態と投与方法の進化といった観点からも成果を紹介している。最後に、この革新的な発見の可能性を最大限に発揮するために、インスリン療法と糖尿病治療の未来と、今後取り組むべき課題について考える。

▼ So What?:何が面白いと感じたか? 

「インスリンにより、1型糖尿病は致命的な診断から医学的に管理可能な慢性疾患へと変化した」、これは圧倒的な近代医学の勝利を意味するだろう。1型糖尿病という疾患に対するパラダイムをガラッと変えたわけだ。このレビューにおいては、はじめてインスリンを受けた14歳の患者の話や、どのようにインスリンが世の中に広まったかなど、個人的にはとくに過去の歴史について非常に興味深く学べた。もちろん、一番大事なことは、未来だ。この論文は、一編で、インスリン治療に関する温故知新のすべてを網羅している。さすが、Natureである。