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正確な膝関節裂隙距離の測定:画像視差に影響されにくいMCP法

▼ 文献情報 と 抄録和訳

異なったレベルの画像視差での膝関節スペース幅のX線写真上の変化を測定するための正中線平面法の特性

Chan, Elaine F., et al. "Characterization of the mid-coronal plane method for measurement of radiographic change in knee joint space width across different levels of image parallax." Osteoarthritis and Cartilage (2021).

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] X線写真による膝関節腔幅の変化量(ΔJSW)の測定は、しばしば画像視差の影響を受け、投影法の違いによりJSWが誇張されて見えることがある。この視差の問題(intermargin distanceで定量化される)は、新しいMCP(mid-coronal plane)測定法で解決できる部分もある。本研究の目的は、1)MCP法の精度、2)再現性、3)MCP法と変形性関節症イニシアチブ(Osteoarthritis Initiative:OAI)で使用されている手法(脛骨縁法:TM法)を視差のカテゴリー別に比較することであった。

[方法] キャダバー膝のCT画像から、JSWが確認された後方X線写真(n=70)をデジタル再構成し、視差なし、軽度/中程度、重度の各カテゴリーにおけるMCP法によるΔJSWの精度を測定した。再現性は、OAIから選ばれた臨床X線写真のペア(n = 170)から判断した。また,MCP法とTM法を比較した。再現性と一致性は、Bland-Altman分析とクラス内相関係数(ICC)によって特徴づけられた。

[結果] MCP法は、視差のない症例では0.11mm、内側と外側のコンパートメントではすべての視差のカテゴリーで0.18mmの精度であった。MCP法の再現性は「優れている」と評価された(ICC 0.98, 95% CI [0.98, 0.99])。MCP法の結果はTM法と非常によく一致し(ICC 0.92、95%CI [0.89, 0.94])、手法間の平均絶対差は視差が大きくなるほど大きくなった。

スライド2

[結論] MCP法は、被験者とX線ビームの位置関係が変動する可能性のある多施設共同臨床試験において、OAI法に代わる正確で再現性のある方法である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

こういう論文を、臨床的意義が大きいというのだろう。即、読んだものの行動を変える、臨床の質を上げる。
確かに、臨床においてみる画像は膝関節に限らず、『視差』が大きい。
その中で、ミリ単位の計測を行うのは、容易ではない、というか、正確ではない。
MCP法を用いることで、胸張って『膝関節裂隙○mmです!』と言えそうだ。
膝関節の画像を見る際には、このMCP法を実装してからどうぞ。

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【あり】最後のイラスト

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