テキストメッセージ介入を知っていますか?
▼ 文献情報 と 抄録和訳
維持血液透析を受けている人の食生活に対するテキストメッセージング介入;KIDNEYTEXTのフィージビリティスタディ
Dawson, Jessica, et al. "A text messaging intervention for dietary behaviors for people receiving maintenance hemodialysis: a feasibility study of KIDNEYTEXT." American Journal of Kidney Diseases 78.1 (2021): 85-95.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[根拠と目的] 血液透析の管理では、複雑な食事の推奨事項を伝えることが重要な要素となる。本研究の目的は、血液透析を受けている人の食事行動を改善するための携帯電話のテキストメッセージによる介入の実行可能性を明らかにすることであった。
[方法] 研究デザイン→6ヶ月間の無作為化フィージビリティスタディ。設定および参加者→オーストラリア・シドニーの2つの医療地区で維持血液透析を受けている患者。介入方法→介入群に無作為に割り付けられた参加者は、6ヵ月間、標準的な食事療法に加えて、週に3回のテキストメッセージを受け取った。通常ケア群は、標準的な食事療法を受けた。アウトカム主要アウトカムは、採用率と継続率を用いた実現可能性の測定、介入の受け入れ可能性、および食事の推奨事項の遵守であった。また、維持透析を受けている患者の食事管理に関連する特定の臨床パラメータに関する情報を含む、探索的な二次的成果を得た。
[結果] 130名が募集され、適格な患者の48%(272名中130名)が参加に同意し、88%(130名中115名)が研究を完了した。受入可能性を評価する半構造化面接では、5つのテーマが特定された:明確で包括的、一貫性のある関連した内容で魅力的、タイムリーなリマインダーで注意を維持、継続的なケアで関心を維持、食事の変更を促すには不十分な一般的なメッセージ、であった。治療群間で食事推奨の遵守に差はなかった(オッズ比、1.21 [95% CI, 0.55-2.72]; P = 0.6)。二次的な探索的分析では、標準治療群と比較して、介入群では単一栄養素(カリウム、リン、ナトリウム、タンパク質)の食事摂取量、透析中の体重増加、およびリン酸塩結合剤の使用が減少したことが示唆された。
[結論] シンプルな携帯電話のテキストメッセージによる介入は実行可能であり、患者に受け入れられた。患者報告および臨床転帰への影響については、さらなる調査が必要である。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
テキストメッセージ介入は遠隔リハとして超優秀な介入だと感じている。まず、患者側の利得としては「追加のデバイスが必要ない」がある。そして、介入者の利得としては、「携帯電話のメッセージ機能を使って送るだけ」という簡便さがある。いま、エビデンスも蓄積されつつあるので、デフォルトメッセージをいくつか作っておいて、ランダムに送信されるようなシステムを作ることも可能だろう。対象者の基本情報などと組み合わせて自動化できれば、人的コストの介在しない、効果的な介入が可能となるかもしれない。