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リンクスランドをめぐる冒険Vol.33 ここがローカルコースの極み? ライブスター・ゴルフ・クラブ Part.2

2023年6月22日から2023年7月23日まで。
約1ヶ月間、スコットランドのゴルフコースをめぐる1人旅を敢行。
これだけを考えるとゴルフ好きなら誰もが
「羨ましい!」と思いつくままを言葉にする。
実際、私だって行く前はほぼ、楽しいことしか頭の中になかった。
しかし、いざ行ってみると悪戦苦闘と至福の時の繰り返し。
振り返ればジェットコースターのような1ヶ月間。
これはそこで見たこと、感じたことの備忘録です。

見事なまでのアナログシステム


少しばかり暗いエントランスに足を踏み入れると正面にグリーンフィの支払い方法が書かれていた。

んー?まず最初にタグを1枚取って、それから…。

「プレーするの?」
左手のドアが開いて細身の中年女性が現れた。唐突だったのでかなり動揺した。
「あ、はい。プレーできますか?」
「ええ、もちろん。ここは初めて?」
私が頷くと彼女はプレーフィの支払い方を細かく説明してくれた。
最初にタグを取り(これは経験済み:Vol.8を参照)、次に所定の用紙にタグの番号と名前と支払額(回り放題で£20、ジュニアは£5)を記入。、それを備え付けの箱に入れる。
それから用意されている封筒にも自分の名前を書いて£20を入れ、例のポストに投函する。
あとは自由に、何周プレーしても可。
日本よりキャッシュレス化が進んでいるスコットランドで、この超アナログシステム!
嫌いじゃないし、むしろ好きかも。
ただ、エントランスの斜め上にはこんな看板が備え付けられていた。
「NO PAY NO PLAY!」
ちゃんと韻を踏んでいる。


一応、監視カメラらしきものがあった。もしかしたら私の来訪もカメラで確認できたのかもしれない。

心地よい適度な距離感


私が所定の手続きをしている最中、スタッフが覗き込んできた。
「日本から?ずいぶん遠いね?」
それから「スコットランドを旅行しているの?ふーん、ゴルフで1ヶ月?どこを回ったの?」と矢継ぎ早に質問してきた。
ただ、どの質問もとくに興味があるという雰囲気ではない。
「遠い」というニュアンスはホープマン・ゴルフ・クラブで感じた時と同じ(Vol.30+1を参照)。
どこを回った、という質問に「マフリハニッシュとかホープマンとか」と答えたが首を捻られた。私の発音が悪いせいだと思うのだが、表情を見ているとホントに知らないようにも思えた。
これがパリ辺りだったらまったく無関心で質問もされないだろうし、マイアミ辺りだと「おー、ニッポン!いい国じゃないかあ!オレはアキハバラに行ったことがあるぜー!」とか「1ヶ月もー!?お前はリッチマンなんだなー!」なんて言いながら肩を組んでくるところだ。
ここまでとくに地元の人と密になったことがあったわけではない。
ただ、少しの会話でも適度な距離感をきちんと保ってくれているのが心地よかった。
これはこの先、どのゴルフコースへ行っても宿に泊まってもスーパーマーケットで買い物をしても、その他、ちょっと会話をするだけでも同じ距離感だった。

私が現金の入った封筒を投函すると彼女はスコアカードを渡した。
それから裏のコース図を指で示すと、地雷原を新兵に教える軍曹のような真剣な顔つきで話しかけてきた。
「1番ホールのティーイングエリアはここの橋を渡って9番ホールのグリーンを横切った先にあるの。ちょっと高くなっているのが目印。そこから右方向に打ち出して。2番ホールは今度、左へ行くの。古い建物の前を横切ってね?あとはこのホールマップを見ればだいたい分かるから。OK?」
「お、おぅ」
「Good luck!楽しんできてね?」
彼女はそう言うとサムアップを私に向け、駐車場に駐めてあった車に乗り込んだ。
私がここに来た時、他に1台しかなかった。
つまり、彼女がその1台に乗り込むということは、このゴルフコースには私しかいないことになる。
私はもう一度、ホールマップを見た。

え?…ちょ、ちょっ…待っ…
これ、ほんとにだいたい分かるってレベル?

おーーーーーーーーーーい!

車はブイーッと走り去っていった。

これがコースマップ。どうやって回るか分かる人、います?

続く

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