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リンクスランドをめぐる冒険 Vol.13 たどり着くのか、オレ? Part.1

2023年6月22日から2023年7月23日まで。
約1ヶ月間、スコットランドのゴルフコースをめぐる1人旅を敢行。
これだけを考えるとゴルフ好きなら誰もが
「羨ましい!」と思いつくままを言葉にする。
実際、私だって行く前はほぼ、楽しいことしか頭の中になかった。
しかし、いざ行ってみると悪戦苦闘と至福の時の繰り返し。
振り返ればジェットコースターのような1ヶ月間。
これはそこで見たこと、感じたことの備忘録です。

細い田舎道でも制限速度は60マイル

スコットランドの道路事情はイギリス国内の法規に準基している。イギリスの道路情報はいろいろなWebサイトに掲載されているので詳しく知りたい方は他をご参照のこと。
ここでは本文に必要な情報だけ掲載する。
道路の接頭にはMとAとBがついている。
たとえばM8とかA737とかB842とか。
日本の感覚で言うとMは高速道路、Aは国道、Bは市道となるが、大きく異なるのは制限速度とランナバウト、それから高速道路でも無料なこと。
Mの制限速度は70マイル(117km/h)だが、道路が交差するポイントではいきなりランナバウトが現れる。
Aは片側2車線の道路もあればすれ違うのがやっとという道路もあるが、制限速度は60マイル(96km/h)、Bになるとほぼ1車線、すれ違う時はどちらかが待避所にいなければならない道路でも制限速度は60マイル。
制限速度が30マイル(48km/h)になるのは住宅地だけ。
つまり、住宅地以外はどれほど細い道路であっても日本の高速道路の速度制限に近い速度で走ることができるのだ。
エディンバラやグラスゴーといった都市部近郊のMロードは時間帯によって渋滞するが、それ以外の地域は通行台数も少ない。
たとえBロードであっても60マイルでかっ飛ばす車ばかり。
以前、世界ラリー選手権ではイギリス(最近はもっぱらウェールズ)でRACラリーが開催されていたが(もちろん速度は比にならないとしても)Bロードを走っていると気分はラリー・ドライバーである。

気分はロードムービーの主人公

スコットランドで5日も車を運転していると交通事情にも慣れてくる。
チャペルホールのショーリーコテージB&Bで3日過ごした後、私は最初に選んだリンクスコース、マフリハニッシュへ出発した。

Google Mapが調べたチャペルホールからマフリハニッシュまでのルート

これが前日、Google Mapで調べたルート。
距離156マイル(249.6km),所要時間約3時間30分。
あれ?意外と近いじゃん。
これがルートを調べた時の正直な感想。
私の住む横浜から長野までが約250km。つまり高速道路を使わず一般道で長野まで行くようなものだ、と考えたらかなり精神的な余裕が生まれた。
信号、極端に少ないし。
ゴルフのカーナビにもだいぶ慣れた。
フランス語のガイダンスは耳に心地よいが、何を言っているのかさっぱりなので英語バーションに変えた。

朝10時、ショーリーコテージB&Bを出発する前、宿の主人であるサンディ氏が記念に、とボールペンをくれた。

報酬はボールペンという現物支給

私が礼を言うと、サンディ氏はすかさず「ところで頼みがあるんだけれど…」と
両手を揉みながら猫がすり寄って来る時に浮かべるような笑顔を向けた。
「日本語で構わないから、Hotels.comのショーリーコテージB&Bの評価を上げてくれるように書いてくれないか?もちろん、今すぐに、ということじゃないけれど」
私はプロのライターであることを自認している。
報酬をもらった以上はきちんと仕事をするのが信条だ。
だからGoogle MapとHotels.comには私が書いたショーリーコテージB&Bの評価が掲載されている。もちろん、正直な感想で。
しかし、私ごときの評価で日本人がここに来るとは到底、思えないが(笑

元来、車の運転は好きだし、1人でドライブするのも苦にならないタチだ。
また知らない道を走るのも楽しい。
最近では1人でドライブする機会がめっきり減ったこともあって、チャペルホールからの約250kmは私の気分を高揚させた。
同乗者なし、時間制限ほぼなし。
好きな音楽をかけて、好きな場所に止めて、好きな時に走る。
ちょいとばかりロードムービーの主人公になった気分。
A73からM8に入り、ひたすら西を目指した。
これまでディーゼルエンジンに対して音がうるさいとかエンジン回転が上がらないとか固定観念があったけれど、ゴルフは巡航速度で走っている限り力強いし、アクセルを踏み込むとそれなりの加速をしてくれる。
GTIとかR30には乗ったことがないし興味もなかったが、このレンタカーで走っているうちに、ゴルフも悪くないじゃん、なんて思い始めた。
楽天的な気分の時はなんだって良く思えてくる。
グラスゴーの中心街やランナバウトには気を使ったけれど、他は概ね順調。
途中、こんなきれいな(天気はイマイチだけれど)港町で休憩を取ったり。

Port Glasgow(ポートグラスゴー)を通っている段階でルートミス

しかし、私は気づくべきだった。
この港町に来ている段階でルートミスをしていたことを。
いや、チャペルホールを出る段階で、すでにゴルフのカーナビが違うルートを選択していたことを…。

続く








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