見出し画像

リンクスランドをめぐる冒険Vol.31 都会のど真ん中のコース インヴァネス・ゴルフ・クラブ

2023年6月22日から2023年7月23日まで。
約1ヶ月間、スコットランドのゴルフコースをめぐる1人旅を敢行。
これだけを考えるとゴルフ好きなら誰もが
「羨ましい!」と思いつくままを言葉にする。
実際、私だって行く前はほぼ、楽しいことしか頭の中になかった。
しかし、いざ行ってみると悪戦苦闘と至福の時の繰り返し。
振り返ればジェットコースターのような1ヶ月間。
これはそこで見たこと、感じたことの備忘録です。

インヴァネスで初のゴルフショップお買い物

ホープマン・ゴルフ・クラブの翌日はインヴァネス・ゴルフ・クラブ。
リンクスコースではなく、パークランドコースだがインヴァネスの街のど真ん中にあることが選んだ理由。

調べてみると、インヴァネスはスコットランドで急成長を遂げている街のようだ。ハイランド地方の人口の1/4がこの街、その周辺に住んでいるという。
といっても人口は6〜7万人程度だが、2015年の調査(不動産のウェブサイドが独自にアンケートを取ったようだ)ではスコットランドでもっとも幸せな場所に選ばれている。
経済とか歴史とか、そーいうのに興味を持たれた方はその筋で調べてもらいたい。
人の少ない町ばかり回った後でインヴァネスに行くと、建物や交通量の多さでちょいと背中が丸くなる。
都会で助かったのは大きなゴルフショップがあったこと。
かなりボールを奉納してきたので補充に立ち寄った。
やはりプロショップで購入すると高く、なぜかロストボールは販売していない。
ゴルフショップは日本と大差ないが、日本では売ってないボールもあったので購入。


ウイルソンの廉価版。高いやつはW/Sのところが赤と黒。なぜウイルソンを購入したかは、また後日。

Wilsonの安いやつをとりあえず2ダース。
「そんなに買ってどこでゴルフするの?」
スタッフが私に笑顔で言った。
「とりあえずインヴァネスで。その後、北端のサーソーやリーイーを回ろうかと思っているんです」
スタッフは首を傾げた。
知らないのか、私の発音が悪いのか、とにかく話はそこで終わり、例の挨拶。
「…とにかく楽しんで!」
「ありがとう」
スコットランドだけで500以上のゴルフコースがある。スタッフが知らないところだってあるはずだろう。むしろ、それくらい無名の方が行く価値があるだろう。私はほくそ笑んだ。自分の発音の悪さはさておいて。

ハンディキャップはいくつ?


近郊にキングス・ゴルフ・クラブがある。オールドフェアウェイ・ゴルフ・コースは廃業。

インヴァネス・ゴルフ・クラブは上記のように、ほぼ街の中心にある。
カーナビの指示通りに行ったが、周囲は住宅街でいきなり駐車場の案内が現れ、後続車がないことを確認しつつ、慌ててハンドルを切った。
ゴルフコースへ行くというより、近所のショッピングセンターへ、という雰囲気。
駐車場はけっして大きくないけれど、平日だったこともあってすぐに駐められた。シューズを履き、キャディバッグを担いでスターターハウスへ行く。
インヴァネス・ゴルフ・クラブのグリーンフィはハイシーズンで£50。パブリックではなくメンバーシップ制だがビジターも快く受け入れてくれる。
ただ、ここのスターター兼プロショップでは初めてハンディキャップを聞かれた。
私は事前にJGAの公式ハンディキャップを取得、その証明書も持参していたが、提示までは必要なく、私の申請を聞いただけで「じゃあ、イエローティからプレイしてください、スタートは定刻通りです」と丁寧に告げられた。
まだスタートまで20分ほどあった。
やっぱり都会の真ん中だけにプレーする人も多いのだろう。私の前にも待っている4人組がいた。
それでも誰かと組み合わせることなく、1人の予約は1人で回らせてくれる。

やがてスタート時間が来て、1番ホールにティーアップする。
インヴァネス・ゴルフ・クラブはPar67、全長は5700ヤード。スロープレイティングは120。見た目、普通のパークランドコースだが平均値よりやや難しい数値になっている。
1番ホールはストレートの293ヤード。フェアウェイが広いのでノン・プレッシャーのドライバーが打てる。
ただし、スタートホール前のクラブハウスの見物人とか後続にプレーヤーがいなければ。

都会のど真ん中にあるコースの魅力

スロープレイティングがやや高い理由は回り始めてすぐに分かった。
市街地のパークランドコースでありながら、意外と高低差があるのだ。
例えば6番Par4、280ヤードはグリーン手前50ヤードぐらいから下り傾斜。グリーン手前には小川が流れており、グリーン奥も下り傾斜なので正確なセカンドショットが求められる。

6番Par4、第2打地点。


7番Par3、158ヤードはグリーン手前から打ち上げになっており、グリーンが左の林ギリギリに設けられている。左利きの私はむしろ狙いやすかったが右利きだとかなり落とし所が狭まるだろう。
ダラダラと上りのホールがあり、高低差を利用した豪快な打ち下ろしホールもあればコースを流れる小川がハザードになるホールもいくつかあった。
Par4で422ヤードと長いホールもあるし、パークランドコースらしい変化に富んだ設計になっていて飽きさせない。
加えて風。
この日は比較的好天だったが、なにしろ風が強い。とくに高台のホールへ行くと強風でグリーンのピンがしなるほど。
18番Par4はストレートの444ヤードだが、強い向かい風のため、ほぼPar5と同じクラブを使った。

インヴァネス・ゴルフ・クラブの面白い点は11番から15番までが公道でセパレートされていること。
日本でも公道が横切っているコースはあるが、だいたいは交通量の少ない林道だ。ところがここは都会の真ん中だけに車がガンガン走る。しかも上下2車線。
「渡るの神経使うなー」なんて思って待っていたら、すぐに上下とも車が止まってくれた。ゴルフが地域に密着しているスコットランドらしいな、と感じた。

手前が15番、公道を渡ると16番。グリーンもティーイングエリアも公道に近い。

で、この公道を渡った後、前の組を見ると3人しかいない。
おかしいな、4人組だったはずだけれど。
と疑問を抱いたが、その答えは15番を終えて16番へ向かおうと公道を再び渡った時に判明した。
赤いシャツを着たかなりの巨漢の男性がキャディバッグを脇に置いて石積みの上に座って待っていたのだ。
公道の手前で待っていれば同伴者が折り返してきた時、また一緒に回ることができる。無理して18ホール回る必要なんてない。自分の体調に合わせて、できる範囲で回ればいい。そんな緩い空気の中でゴルフを楽しめるのも、ローカルコースならではの魅力だろう。

けっして易しくはないが、難しいというほどでもない。何度か回れば自分の伸びしろを体感できるコースだ。パークランドらしくフェアウェイの芝は柔らかく、グリーンも整備されている。セパレートしている樹々の種類には広葉樹もあったので秋はとてもきれいな景観になるはず。


8番グリーン付近。丁寧に刈り込まれているフェアウェイとラフ。


人口が多い都会のど真ん中にあっても、回り始めると都会感はほとんどない。コース沿いに建つ民家を見ると思い出す程度。女性とか男性とか、高齢者とかジュニアとか、そんなプレーヤーのカテゴリーを限定せずオールラウンドで楽しめるのが、このコースの最大の特徴だろう。

インヴァネスはスコットランドでも住みやすく幸福感のある街らしい。おまけに、こんな近所にゴルフコースがあるなら、1年間ぐらい住んでみたいものだ。
…英語で日常会話ができれば、の話だが。

うむ。今回はちゃんとコースのリポートになっている(気がする)。

続く







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?