いつか思い出になる

高校3年生の最後の授業、教科担当の先生が言った。「僕が最後だからって感動的なことをいろいろ言っても、たぶん皆さんは忘れてしまいます」「むしろ、なんてことない一言のほうが心に残っていると思います。だから、僕はとくに最後の話はありません」

残念ながら、その先生の話で覚えているのはこれだけだ。とくに教えてくれた知識的なことはほぼすべて頭からぬけてしまった。すみません。

でも、先生の言っていたことは本当だった、と大人になってわかる。つい節目やイベントを大切にしてしまうけど、本当に大切なのは、なんでもないいつもの日常。

結婚式もいい思い出だけど、新婚のころ、仕事帰りに「今日のごはんどうする？」とメールしていた日々。一緒にテレビをみて、お風呂そろそろ入る？なんて言っていた日々。

家族写真や家族旅行もいい思い出だけど、一生懸命ハイハイする姿、絵本を持ってきてせがんでくる様子、かわいい言い間違い。そんな日々を懐かしく思う。

今、仕事と育児で毎日ばたばたして、子供は本当に1歩歩くごとにふざけて、がみがみ怒ってばかりで、かわいく思えるのは正直寝顔だけだったりして。でもこんな日々も、また懐かしく、貴重だったと思う日がくるんだろうか。