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ふと幼馴染

幼馴染がいます。私より少し背が高い人です。少し高いくらいかな、なんて書いたけど、実際10センチほど違います。この前一年ぶりにマックで会ったとき、「やっほー」とあいさつした時は座っていてわからなかったけれど、帰り際、ドアを開けていてくれた彼の横を通り過ぎたとき、「あ、でかいな」とシンプルに驚きました。やだな、もう21歳。出会ってうちら何年だ。

勉強ができて、スポーツもできる人。(これ、小学生なら大半が好き系。)
かつ、面白くて、優しくて、まっすぐ。(これ、中高生以降にも一目置かれる系。)そんな幼馴染です。

彼とは幼稚園で出会いました。正直、プリキュアごっこしたくらいしか当時の記憶がありません。なんか小さい時から気が合って、仲が良くて、一番素直に話せる相手です。

仲が良すぎて、高校入学直後、彼の周りから「付き合ってるの?」と聞かれていたらしく、その話を聞いても「へー」と言いながら「でさー」と会話を続けていたように思います。本当に幼馴染としての色が強く、そして完璧な人だから、付き合ったとしてもむしろ申し訳ないな、とか思っていました。

ただ、時々、私は少女漫画と恋愛ドラマが好きなので、考えるわけです。
この人と付き合ったら死ぬほど笑っていられるんだろな。みたいな。無い未来の目に見えて幸福な瞬間。一緒にご飯を食べていても、休み時間にダルがらみをしに行っても、夜に私が泣きながら電話をかけて救いを求めても、彼はいつだってふわりとまぶしく笑って、まっすぐに私を見てくれていました。

あーなんでこの前ポテト奢らなかったんだろ。私が物欲しそうにポテト見つめていたら、少し眉間をきゅっとして「食べていいよ」って笑ってくれました。なんかほんまごめんです。あんだけぬくもりを分けてくれているのに。私から渡せるぬくもりは、ひとつもありません。むしろ冷たいものばかりで。情けないです。

付き合っていないから、だから今の距離感があると思うと、気の迷いで「付き合ってみない?」とか「お付き合いしたいです」とか、「恋愛的に好きなんだけど」とか、私らしくなくなる言葉を伝えなくてよかったな、と思います。好きなことにこれからも変わりはないと思うけれど、好きにもそれぞれで、私たちの関係性もそれぞれであることを覚えておきたいです。覚えておきます。あなたとこれからも、生きていきたいです。

さて、ここまで綴ってきましたが、これは、どこにでもあるような、一人の幼馴染との記憶です。ただ私にとって大切な人との記憶です。

今月から彼は留学に行きます。あなたの素敵さは万国共通なので、どうか、その魅力が多くの人に伝わりますように。素敵な人と出会えますように。

気を付けて行って帰ってきてね。帰国した日にはビデオ通話するからね。
拒否しないでよね。