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作業療法士から見たGerbera

作業療法士のはせりょー

こんにちは、作業療法士の長谷川 諒(はせがわ りょう)です。Arbletでは"はせりょー"と呼ばれています。脳卒中を経験された方を支援する側の役割として、脳卒中を経験された方限定のアプリ「Gerbera®」の開発支援に関わっています。

作業療法士とは

作業療法士とは一言でいうと、その人なりのその人らしい生活方法を一緒に考え、習得を支援する人です。
私たちの日常には、食事やトイレなどのセルフケア、家事・仕事・余暇など生活をするうえで様々な生活行為があり、色々な「作業」があります。病気や障害を抱えた後も日常生活が続く中で、どんな自分でありたいか、そのためにどんな「作業」が意味を持ってくるのか、そういったことを伴走しながら考え、時に先立ってガイドしたり、黒子役となって見守ったりします。
療法士には理学療法士や言語聴覚士などありますが、作業療法士はその人の日常に沿った支援をすることが多いかと思います。身近な機能訓練による改善のほかに、福祉用具や自助具などを用いた代償方法を提案したり、これまで出会った当事者の方々の生活動作の工夫点などを参考にしたりすることもあります。

作業療法士としてGerberaについて思うこと

作業療法士として、脳卒中を経験された方々が"Gerberaに出会っていること"は凄いことだと思います。まず、関心を持っている、それらについて自分で調べている・調べるエネルギーを持っている・・・など誰にでも出来ることではありません。

知りたい、治したい、良くしたい、解決したいといった思いが源泉にあると、否が応でもまず自身の病態や障害と向き合う必要があるかと思います。
そのうえで脳卒中を罹患したことやその後の苦悩に関して自ら発信するのですから、心理的なハードルが高いと感じる方も少なくないはずです。

昨今のSNSやWEBサービス・ツール自ら発信しようとすると、オープンマインドでなければできないものが多いように思います。
色々な心情を経てGerberaに辿り着いたことをまず尊重したいですし、ご自身としても「一歩踏み出した」と自分で自分を認めて褒めてほしいなと考えています。

日々の習慣(作業)の中にGerberaを使う時間(新しい作業)が生まれる

朝起きて顔を洗って着替えて食事をして一日が始まって・・・という具合に、毎日が作業の連続と捉えた時に、日常的な通例作業から意味を持つ作業まで"作業"が幅広く存在すると思います。

例えば「今日は楽しみなテレビが放送されるから、〇時までに色々済ませておこう」であれば"テレビ鑑賞をすることがこの日の意味のある作業"で、それまでに済ます諸生活活動は通例作業になるわけです。

Gerberaは通例作業・意味を持つ作業、そのどちらにもなり得ます。
例えば「意味のある作業」としては以下のようなイメージです。

  • チャットやスレッドをチェックする、活用して情報を深められる

  • DMで悩みを相談したり、他者と交流する

  • エクササイズ機能を使って運動をする

些細な事でも"新しい作業"が生活に組み込まれるということは、それまで無為だった時間が何か能動的になる時間に変わっている、何かしらの心情が動いていると言えます。
Gerberaを利用することで、生活習慣を変える些細なキッカケにつながれば、開発チームとしても嬉しい限りです。

Gerberaは脳卒中を経験された方がどのステージでも使用できる

Gerberaは脳卒中を経験された方であれば、発症して間もない入院中の方から退院後に社会生活を営む方まで、幅広く利用できます。つまり様々な病期に沿った情報、それも実体験を基にした情報をGerberaのSNSを通じて得られる可能性があると言えます。

大半の方が急性期、回復期、生活期と様々な病期を経ていくと思います。
「ある日突然倒れて、次に目を開けたら半身が動かなかった」というお話を聞くこともありますが、身体に対する不安がいっぱいの中で、各種制度や保険のこと、家族や会社のこと、入院期間のことなどを、短期間の間に次々と理解しないといけないように感じられる方もいます。

入院中はメディカル・ソーシャル・ワーカーが窓口となって対応してくれますが、一病院に1〜2人と少ないことが多く多忙なため、相談の機会がなかなか取れないことも多いです。
退院後に介護保険サービス等を利用しているのであれば、ケアマネジャーや各サービス先のスタッフが該当しますが、同様に多忙です。
入院中・退院後、いずれも患者同士・利用者同士で知りえる機会はほとんどないのが現状です。Gerberaを通じて経験者同士でコミュニケーションを取り、実体験を元にした情報を知ることで医療従事者とのコミュニケーションがより濃密になるのではないでしょうか。

また、自分の体験談が他者の有益な情報になるという面においては、Gerberaで情報を発信する方々にも大きな意味を持つと思います。
当事者の会のようなスタンスをいつでもネット上で匿名でできる取り組みは少ないのではないでしょうか。
程度や状況が違えど、同じ悩みを抱えている人がいる・・・ということを知るのは、ある種の安心感を得られたり、目の前の治療に専念できる一助になるのではと思います。
最近よく耳にする自助(この場合、健康に関して自分で知りたいことを調べ行動すること)や互助(当事者同士で支えあうこと)を促進することにもなり、脳卒中経験者同士が主体的に取り組めることにもつながります。

さいごに

患者さんが自ら自身の病気について調べていく時代になったのは、本当にここ最近のことだと思います。パソコンやスマートフォンを用いて自分で模索しながら、病について調べられているケースが増えてきていると実感しています。情報の取捨選択は大事になってくると思いますが、Gerberaアプリは脳卒中を経験された方々のみが使えるアプリです。
同じような境遇の方の実体験を参考にして、ご自身の実生活上のアップデートを図るツールとしてご活用いただけると嬉しく思います。

Gerberaのことが気になった方はぜひダウンロード・ご利用いただけますと幸いです。

iOSのダウンロードページ
https://apps.apple.com/app/id1550734601

Androidのダウンロードページ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.arblet.gerbera

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