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ゴースト・イン・ザ・シェル~センスない映画の世界#5~

トップ画引用元:映画.com
ようこそセンスない映画の世界へ。

センスない映画とは?

  1. メジャー娯楽作品。

  2. その中でも評価が高く、ライト層コア層関係なく長年ファンに愛されるものではない

  3. かと言って後々カルト的な人気が出たわけでもない。

  4. 話題になること自体があまりない。

  5. 本編の突っ込みどころをあげればきりがない。

  6. しかし好きなシーンが突っ込み所を凌駕しているため嫌いになれない

今回は大きなネタバレなしだけど、親玉の悪役を演じている俳優の名前とビジュアルを知りたくない人は読まない方がいいです。

ゴースト・イン・ザ・シェル (2017年)

士郎正宗の漫画及び押井守のアニメ映画「攻殻機動隊」のハリウッド実写映画バージョン。近未来、人々が体の一部を義体化することが普通となった世界、ミア・キリアン少佐(スカーレット・ヨハンソン)は人間の脳を義体に埋め込まれた超人的な存在で…うーん、まぁ色々と活躍する。正直ストーリーをあんまり覚えていないし、ストーリー自体は評価にあまり関係しない。ちなみにアニメは昔一回見たきりで、そんなに好きではない。

好きなところ

この映画はある俳優二人を発見&再発見できたのが良かった。
まず一人目は、バトーを演じたデンマーク人俳優ピルー・アスベック

引用元:screen.rant


顔面から独特のオーラを放っていて「このかっこいい人初めて見たけど誰なんだろう?」と思った。もしかしてこれでブレイクするかも?と思ったけどそうでもなかったな。
この映画の次に彼を見たのはドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のユーロン・グレイジョイ役で、決して活躍していないわけじゃないんだけどね…ユーロンは楽しい悪役で、見れて嬉しかったけど、正直いてもいなくてもどっちでもいい役だったし。
後半、バトーが自宅で犬と一緒に外を眺め、義体化した眼のレンズに外のネオンがぼんやり映っているシーンが特にお気に入り。

もう一人はマイケル・ピット。この映画で初めて、この人いいなと思った。

引用元:screen.rant

中学生の頃購読していた映画雑誌「SCREEN」で、彼は「インディ映画界のレオナルド・ディカプリオ」と呼ばれていたんですよ。思えば、このキャッチフレーズが私のマイケル・ピットへの認知を歪ませた気がする。だって似てないから。二人とも白人でベビーフェイスってだけで顔のつくりは似ていない。でもこれが第二のディカプリオなんだろう、大人がそう言ってるから…と内心もやもやしつつ自分に謎の暗示をかけていた。あと、マイケル・ピットはよく「ナイーブな青年」を演じることが多かったと思う。勿論それだけやってたわけじゃないけど、多分若い頃はその手の役が多かったんだと思う。でも、これも何だか毎回しっくり来ない感じで、一人だけ映画から浮いて見えたんですよね。演技が上手いのか下手なのかよくわからない、第二のディカプリオと呼ばれているが似ていない人、という捉え所がない俳優だったんですよ、私の中では。

でもこの映画では悪役のクゼがかなりはまってました。
マイケル・ピットはよくよく見ると悪人顔だよね。あと一人だけ浮いている感じも、オーラのある悪役にぴったりだと思う。

突っ込みどころ

やっぱり、今さら実写化してどうする??ってところ。ビジュアル自体は決して悪くないんですよ。でも印象的なシーンのほとんどはアニメでもう見ているし。特にサイバーパンクの街並みは好きなんだけど、もうさすがに見飽きた。あ、サイバーパンクの街並みというのは、漢字の看板に、立体ホログラム広告、あときったないビル、という例のアレ。

そういえば映画のメイキング映像の最後に、押井守がちょろっと出てきて「アニメ作品のことはそんなに気にしなくていいからって、僕は言ったつもりだけどね」と言っていた。でもむしろルパート・サンダース監督は結構アニメに忠実にやっていて、それがこの映画のインパクトを弱めたのでは?と思う。押井作品への愛は感じるんだけどね。

好きなところ兼突っ込みどころ

ミア・キリアン少佐の上司、荒巻役は北野武がやっています。たけしが英語の台詞なんて言うわけないので、荒巻は日本語、少佐は英語でコミュニケーションします。映画の冒頭で、脳に直接言語をプログラミングすれば他言語を理解できるとご丁寧に説明してくれるので、この状況でも問題なし。

ただ、日本語をもごもご喋るたけし、それに対しひたむきな眼差しで英語で答えるスカーレット・ヨハンソン(以下スカjo)が、ボケてわけわかんないこと言うおじいちゃんに一生懸命調子を合わせてあげる健気な孫に見える。多分、たけしの画からスカjoの画に切り替わる時、ほんの少し間が空くせいだと思う。ほんとーに、ほんの少し、0コンマ何秒とかだと思うけど、それだけでも会話のテンポには影響大なんですね。スカjoはたけしのためにカンペをもってあげていたとwikipediaにあるけど、それが本当なら、二人一緒に映っている画が撮れなくてこうなったのかも。
最初は突っ込み所だったけど今となっては一番好きなシーンかもしれない。見る度に笑ってしまう。

おまけ:ホワイトウォッシュ問題

アメリカでは元々は日本人の少佐を白人のスカjoが演じることが、ホワイトウォッシュだと批判されたそうですね。日本人は全然気にしていなかったけど。おそらく、アジア系アメリカ人と、アジア在住のアジア人では感じ方に違いがあるのでしょう。
アメリカではエンタメで活躍しているアジア人は本当に少なく、せっかく日本人の役なんだからアジア人キャスティングしてよ!私たちだって同じ人種がかっこよく活躍してる姿見たいのに!!となるのかも。
でも日本人は日本に住んでいる限り圧倒的マジョリティで、自分と同じ人種をいくらでもエンタメで見ることができますよね。だからホワイトウォッシングに寛容でいられるのかも。

ただ、もし少佐をスカjoではなく黒人の女優が演じていたらどうなっていたか?
きっと嫌悪感を感じる日本人もいるのでは?
いや絶対いる。
これだから肌の色というのはややこしい。

個人的には、少佐役は白人だろうが黒人だろうがアジア人だろうが何でも良いです。この映画は人種を越えた、人間ってなーに?という話なので。
ただ、スカjoが少佐役にすごくハマっていたとも思えず、スカjoがベストなキャストである!!とも断言できない…

私が断言できるのは、バトーとクゼのキャスティングが良かったこと。特に、「しっくりくるマイケル・ピット」がやっと見られたのが個人的には大きく、嫌いになれないんですよね、この映画。

10年以上変なキャッチフレーズに踊らされててごめんね、マイケル・ピット。きっと第二のディカプリオなんて呼ばれたくなかったよね。これからも悪役頑張ってね。応援してる!

それではこの辺で。



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