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承認欲求と嘘

去年から今年にかけてSNS上で関わった人について書こうと思う。

とある小さなコミュニティで不幸自慢を繰り返す人と遭遇した。
その人はプロフィールをコロコロと変える癖があるが、ほとんどの場合「社畜」を名乗っている。

「社畜」と聞いてどのような人物を思い浮かべるだろうか。
私なら「イエスマン」「時間外労働が多い」「自分の置かれた状況の酷さに自覚がない」といったものだろうか。
基本的に自虐でなければ自称するものではないというイメージだ。自覚できないのだから。

では、自虐でなくこのような不名誉な称号を自称する意図は何だろうか。
私は印象操作が目的だと考えている。

想像してみて欲しい。

「社畜」を名乗る人物が連日「仕事がつらい」「帰りたい」「会社なんて消えて欲しい」「自分だけ休暇が取れない」と投稿する様子を。

あなたはきっと「なんて非道な会社だ!!」と思うのではないだろうか。

だが、ちょっと待って欲しい。

その人の場合は退勤を意味する「シゴオワ」の投稿は大抵夕方早い時間である場合が多く、また、夜勤ではないこともわかっている。

彼が仕事の不満をSNSに投稿するのは出勤から退勤までの間。1日あたりおよそ3回以上だ。しかも丁寧に写真までつけている。

誰もが真面目に仕事をしている横で、仕事中にスマホばかりいじっているアラサー社員。
あなたの身近にいたらどう感じるだろうか。
それがあなたの部下なら?

冷遇しないだろうか?

この人の職場は本当に「ブラック」なのか。
私は少なくとも仕事中に写真を撮っても怒られない、定時に帰ることの多いホワイトな職場だと思っている。
仕事が楽しいことばかりではないのは誰だって同じ。
やりたくないことをやらなければならないことも、もちろんある。仕事だもの。
それに同僚に比べて休暇の申請が通らないのは不真面目な勤務態度が原因だろう。
彼の言う「社畜」とは何を指しているのか。

さて、ここからが話の本題だ。
では彼の意図はどこにあるのだろうか。
少なくとも現実の知り合いでない私達に「身を粉にして働くが、報われない自分」という印象を与えたいということはわかる。
問題はそれによって彼が何を得たいのかである。

おそらく彼の投稿を見て呆れるタイプの人は何も言わない。そっとミュートするかもしれない。

しかし、彼の矛盾に気づかない人達は同情し、慰める反応を示していた。

おそらく目的はこれなのだろう。

話を意図的に組み換える、もしくはまったくの作り話をすることで他人から自分の身勝手を承認してもらう。また、場所の性質上否定される可能性は低い。

つまり、彼にとって都合の悪いことはほとんど起こらず、承認欲求だけが満たされることになる。

承認欲求、それ自体は悪いものではない。
それを満たすために必要な実力を身につける努力を怠らない限り。
だが、彼のように自分をみがく努力をせず、楽をしながら満たされようとすると嘘をつくことになる。
そして1度嘘をつくとその嘘を撤回しないために更なる嘘をつく。まさに悪循環だ。

彼は現在も嘘の上塗りを続けている。仕事のこともそれ以外も矛盾だらけだ。おそらく一生、嘘をつきながら生きていくのだろう。

このような人にならないよう、自分に何ができるのか、目的のために何を身につける必要があるのか。
常に自問していたい。

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