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アルゼンチン、メンドーサ、ボデガ アルジェント、マルベック2020

いずれにしても試合を観ているわけではないのですが、塩を送るというのはやりたいと思い、アルゼンチンワインを飲み、クロアチアを応援します。

私自身は、生れた場所は岩手なのですが、岩手出身の両親が関東に出て、そこで所帯を構えたこともあって、埼玉で過ごしました。

しかし、親のアイデンティティはつねに故郷にあり、岩手人として自分を意識し、そして子どもにも岩手人としてのアイデンティティを提示しました。

したがいまして、私は岩手で育ったわけでもないのに、自分の故郷は岩手なのだという意識のまま育ちました。

大人になって、多少の視野も広くなったときにふと思ったのは、移民してきたケースにアイデンティティの使われ方が似ているのではないかということ。移民二世の方々と話すと、アイデンティティは故国にありつつも、現在の国での意識も持っているとおっしゃいます。故国に暮らしたこともないのに、アイデンティティは祖国と共にあるといいます。

スケールは小さいですが、私もこの類なのだと思います。

埼玉県民として他県民から揶揄される場面には、ときおり遭遇しましたが、アイデンティティが岩手県にあるので、あんまり気になりませんでした。

もちろん、半分は埼玉県民なので、千葉の人と言い争いになると、埼玉の味方をしました。ただ「海無くね?」「ディズニーランド無くね?」と言われて「ぐぬぬ……!」と『美味しんぼ』の富井副部長みたいな姿になっている友人をみて、俺は岩手県だしなあ、と思ったりしました。

そして、吉幾三の『おら東京さいぐだ』が流行したとき、クラスの連中が喜んで歌っているのをみて、「埼玉県民の分際で馬鹿にするな」と言ってしまったことを思い出します。吉さんは津軽の人ですが。

今回、近所の酒屋さんにたまたまあったアルゼンチンの安価なワイン。1200円ほどでした。この価格帯の南米ワインを飲むのは、本当に久しぶりです。私も知らず知らずのうちに、序列の毒に浸されていたのでしょうか。

安価なワインなので、テロワールがどうこうという話ではないのですが、メンドーサって、チリのサンティアゴに距離としては近いですね。間にアンデス山脈があるので、行くのは大変そうですが。

グーグルマップで、景観を眺めると、松本市にいたときのような雰囲気があります。山が向こう側に見え、壁のようになっていて。そんな景観のところで出来たワインなんだなあと思いながら飲むと、なんとなくうれしいです。

色は濃く、ああマルベックだなあ、と思えます。ロワールのコットと同じブドウだと言われても、やっぱり、雰囲気は南国の感じで、果実味がしっかりあり、ボディが太いです。冷涼な感じの酸は多くはないですが、それだけに飲みやすさがあります。

一応、昨日のキンキと合わせてみましたが、お互いに自分を主張し合う感じになって、相乗効果とまではいかない感じでした。


キンキ

このキンキ、北海道のもので一尾800円。いつもより安いし、身は小さめだけど、家で煮るならちょうどいいかと思って二尾購入したものです。今回は、煮汁の砂糖の量を増やして、きっとワインをあけるだろうと思って、甘めに煮つけました。敢えて脂の風味を残し、こってりやりたかったので、ショウガを使いませんでした。

築地で働いていたとき、昼近くなって、売れ残りを使って賄いをつくることがありました。私のところの社長は、いわゆる段ボールを切るための太めのカッターをつかってサンマをさばいていました(笑)。そのサンマの刺身が大変に美味しかった。

もう一つは、キンキという魚が大変に美味しかったのです。まだ20代。海なし県に育ち、同級生には魚は切り身のまま泳いでいると思っている人もいたほど(本当かよ)。今思えば、私の母の魚のチョイスには偏りがありました。

カツオがやたら多く、いわし、さば、鮭、タラ、サンマ、カレイといった、当時の大衆魚が並びます。

マグロはあんまり好きじゃなかったのか高価だったのか、並びませんでした。ただ、本当にときどき並ぶキンメダイの煮つけは美味しかったという記憶がありました。その程度の魚知識です。

で、いざ市場にいくと、ナメタ、マツカワ、メカ、マカ、と、何が何だかわからない用語が飛び交ってました。私は鮮魚店じゃないので、そういうのは覚える必要はなかったのですが、斜め前にある鮮魚店さんのあんちゃんが気のいい人で、いろいろと教えてくれました。

そのあんちゃんが、時に、雨の降った火曜日とか、定休日じゃない水曜日とか、結構暇なときに、キンキの煮つけを作ってくれたんです。基本12月は、昼で閉めず、年末の買い出しのお客のために、長く開けてます。で、12月前半は長く開けていても、まだ昼頃は客の入りが鈍くて、時間があったときにふるまってくれたんですね。それがまた美味しくて。

もちろん寒かったのと、深夜からやっているので、正午というのは普通終わるので市場の人としては夕方の感覚です。腹も減っています。そんな状況下で食べたキンキの煮つけは、美味かったなあ!と今でも思い出されます。

キンメじゃなくキンキなんだ、と勘違いしていたこともあったと思います。その時が、キンキという魚がいるということを初めて知った最初だったと思います。

10年以上、12月は忙しい日々を送っていたので、今でも12月に朝ゆっくりできていると、一瞬喧噪の中に戻らなきゃ、と思う自分がいます。

最後はワインが関係なくなっちゃった。


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