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「マイクロバイオーム、腸管免疫。創薬の世界でこの分野がホット」/日本人研究者、ベンチャーも頑張っているようです。

マイクロバイオームと腸管免疫

マイクロバイオームという言葉が生物科学の分野でホットになっています。生物個体の中に存在する「微生物叢」のことをそう呼ぶらしく、人間をはじめとした哺乳類ですと、腸内が特に重要で免疫を制御している重要な司令塔とも言われたりするようです。
そのことを腸管免疫と言うということです。

世界的に腸内細菌由来の創薬がホット、昔から腸内の乳酸菌などは健康食品とされてきたが、、、

昔から腸内の乳酸菌などは健康食品とされてきましたが、腸内細菌を含む人の便などを他の人に移植をするというような医学治療なども発想されて医薬となっている例もあるようです。
下記の、いつも分かり易い創薬関係の技術資料として紹介しているWEBにその状況がうまくまとめられていますのでご紹介しておきます。

実際に医薬となっているのは、直接便を移植するのではなさそうで、人の便から細菌を抽出した医薬のようです。
しかし、直接便を移植するという臨床試験も実施されているということですから、素人から見ると少しげんなりするかもしれませんが、将来的には効果的で安全であれば、そういう医薬も登場するかもしれません。
その種の下品な議論は別として、実際腸内細菌叢の状態と言うのはヒトの疾病に非常に大きく関係しているのは間違いありません。

そして、そういうマイクロバイオオーム創薬が世界的にある種先端を行く技術開発競争になっているということです。

ガンなどとも強く関係し、制癌剤にもなり得る腸内細菌

記事には、マイクロバイオーム、腸内細菌がガンなどに対しても非常に効果的な医薬になる臨床試験例がたくさん記されています。
実際、小野薬品のオプチーボなどは免疫チェックポイント阻害剤としてのガン医薬であり、ガンが宿主から見て異種生物体にもかかわらず、免疫が阻害され体内から排除されないということからも、免疫とガンの濃厚な関係がわかると思います。
将来的に、腸内細菌叢をコントロールし、ガンを制圧する医薬が登場するのも遠いことではないように思います。

腸管免疫の分野の研究例

手前味噌っぽくて恐縮ですが、分かり易いこともあったので、
私の医者をやっている次男の出身医学部のOB会新聞に出ていた研究例をご紹介します(慶應義塾医学部新聞 令和四年12月20日発行第853号、8頁より引用)。
腸内細菌が感染防御に役立っていることを明らかにしたもので、COVID-19にも効果あることが分かったという報告です。
Nature. 2022;609(7927):582
「Identification of trypsin-degrading commensals in large intestine」
本田らは、大腸に存在するP.clalaという細菌が消化酵素のトリプシンを分解促進するのを突き止めました。トリプシンは感染防御に必須の免疫グロブリンA抗体を分解促進するため、P.clalaがトリプシンを分解することで口から入ってくる病原体の排除に資していることが分かった。そしてなんと、この細菌P.clalaが新型コロナウイルスCOVID-19の感染防御にも役立っていることを明らかにしたということです。
それはCOVID-19に罹患した患者便を分析し、細菌P.clalaの遺伝子量の多い患者の症状が比較的軽いということが示されての上でということです。

この分野の日本人の研究者も素晴らしい研究をされているということですね。
私がそれなりに調べますとこのほかにも日本にはこの分野の優れた研究者がたくさんいると言うことがわかっています。

日本から画期的マイクロバイオーム医薬を期待する

やはり期待したいのは、このように優れた研究が行われているのですから、今後将来的に、日本から画期的なマイクロバイオーム医薬が登場することを是非期待します。
また、先ほどの記事には日本有望なベンチャーが二社あることも明らかにされています。

頑張れ、日本の研究者、ベンチャー。
そして既存創薬会社にも大いに期待したいと思います。



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