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「小説 雨と水玉(仮題)(47)」/美智子さんの近代 ”段取りはじめ”

(47)段取りはじめ

翌日、啓一から電話があり、
「なんか、僕も少し調べてみたけど相談センターがあるみたいやね。土曜日に大阪のものに行ってみたいな、と思って」
「ええ、わたしも調べてみると本町にあるらしくて、そこにひとまず言ってみるのがいいと思う。」
「わかった、本町、いきましょ、電話で予約みたいなことしといたほうがいいのかな?」
「ええ、そう思う。明日電話しときます。土曜日の午後やったらいい?」
「うん、オーケー、お願いするわ」

土曜日の午後一時に本町の相談カウンターに二人で行ってみた。いろいろな情報がわかってきた。式も結納も紹介してセットする、夏か秋の式予定で準備することはできる、もちろん時期が近いほど予約が入っている場合がある、場所は大阪でもいいし、東京であっても東京の相談カウンターで担当できる、結納と式を大阪と東京で分けても出来る、今後のこともあるので仮登録が出来るのでしておいたほうが良い、等々だった。

仮登録を済ませて、喫茶スペースで二人で、
「僕は結納と式を東京と大阪で分けてというのがいいのかな、と思う。僕の両親は式は東京でとか言わないと思う、確認するけど。美智子さんのご両親の希望を訊いてそれから考えるのが良いと思う。ただ、転勤の時期によってはその事情で場所を決めた方が良いかもしれない」
「ええ、そう思う、その通りやと思う、わたしの両親もできれば式は大阪がというかもしれんけど、転勤の時期によって事情が変わってくる可能性が有るので」
「そこは、転勤の時期が決まってから最終決定するということで進めていこうか。
そういうふうに両親には話しとこう」
「うん、それがいいと思う」
「あとは、婚約指輪のことはあるけど他になにか取りこぼしがないか、ご両親に訊いといてもらえるかなあ」
「はい、訊いときます」
「それから、式の時期が夏か秋、ということだよね、そうすると、僕の今住んでる寮は三月末までなんだ。新しい住まいをいずれにしても見つけなきゃいけないんだけど、二度手間もあるし家財の準備を早めに手掛けられるからそのタイミングで新居を決めた方がいいかもしれない」
「うん、それがいいと思う。家財はいっぺんに決めて運び込むより多分いいはず。準備もしやすい」
「そしたら、その方向で。ただ、転勤がうちうちにでも決まらないとまずいかもしれないから状況を見ながらやっていこ」
「はい」
「だいたいの感じはつかめてきたかな、どうやろ?」
「ええ、新年になって申告してみてどういう予定になるか、で」
「うん、そうやね。
ふーう(と一息ついて)、ひとまずこんなところやね、少し気分転換に散歩でもしない?」
「ええ、少し気を休めたい、梅田あたりまであるいて甘いモノ食べたいな」
「あっ、それいい、そうしよ」

御堂筋をのんびりと歩きながら、
「わたし、まだ啓一さんにクリスマスプレゼントしてないの」
「うん、いつでもいいよ」
「そしたら、甘いもの食べたら、わたし当てあるのでそこへ見に行きましょ」
「うん、いいけど、ゆっくりした方が良ければ今日でなくてもいいよ」
「でもまだ夕飯には時間あるし、もうクリスマスやからそうさせて下さい」
「うん、ありがとう」

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