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「一層進む円安について」

 5/29付で本欄で円安について記してきたことを纏めてみたが、さらに別の角度から、昨日、今日と続く円安について述べてみたい。

 これまで円安について、それが日本にとってメリットの大きいこと、チャンスであること、そしてこれからの期待も込めて日本が復活するだろうことを述べてきたと思う。

 また、これからも円安が継続するだろうというのは、世界の金融情勢から推してそう読むべきということも述べてきたが、今日の1$=134円を超えるところまで再度進んだ円安への動きを見て、今後一層の円安に進む可能性が大いにあると言えるかと思う。

 これまで言われていることも含めてだが、情勢を見てみる。米国FRBの今後毎月の0.5%の利上げが続き、EUの利上げのそれへの追随もあり、日銀の金利姿勢はこれまで通りであることが基本構造としてある。さらに重要なことは安全保障上の情勢が決定的要因だが、これまで30年以上にわたり徹底していたと言っても良い米国当局の円安阻止の姿勢が円安容認へ転換したことだろう。こうであってみれば、やはり円安の継続というのはかなり蓋然性が高く、まさに国内投資優位の機会であり、雇用、賃金の上昇を伴うデフレからインフレトレンドへの転換へとつなげていく大きなチャンスであろうと思う。

 さらに付け加えて述べておきたいのは、今後である。もう一度金融の基本構造へ戻ってみるが、まず米国FRBの今月からの動きである。既述したうように8月までは毎月0.5%の利上げはほぼ決まった状況であるとともに、既に量的緩和縮小(テーパリング)を終了し、今月からは緩和資金の回収、すなわち量的引き締め(QT)をかなりの勢いで開始する。EUも概ねこれに追随してくのであろうと思う。これに対して、日銀はこれまで通り、10年もの日本国債の金利が0.25%を越えればそこで指値買いをするという金融緩和のフォワードガイダンスを変えず維持し続けている。

 この構造は、もう見てわかる通り、これからも当分の間、円安方向に推移していくということだと判断せざるを得ない。今や世界の金融は西側に限ってみればほぼ自由にマネーが有利なところへ経巡っていくというシステムになっており、そうである限り、米欧でマネーが収縮し、日本でマネーが膨張しており、それを阻止する力が働かない以上、円安は昂進するということである。下世話な言い方をすれば、米欧の金融マフィアは、日本で0.25%の超すべく誘導していくらでも日銀から円を引き出し、それをマネーの不足している米欧へもっていって金儲けする、という図式が円安を昂進させるのである。多少の小康を得ていた円安が今日付け6/8付で昂進するのは以上の情勢がかなり普遍的に定着している現れと見るべきなのではないかと思う。

 さて、こういう見立てをしてみたが、今後も昂進する蓋然性の高い円安状況に対して、日本国内の投機家ではない投資家、企業人には、是非国内投資を活発化し、賃金、雇用の増大を伴う財およびサービスの生産性の向上を是非図ってもらいたい。今回、そのチャンスがまさに訪れているということを別の側面から論じてみた。 


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