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「日銀の金融正常化:マイナス金利、YCC、ETF買取の解除は残念なことだった。緩和政策が続くことは悪くない。また、米国債需要との引き合いもあり、中期的にも低金利が続くのは間違いないが、国民は日銀の金融政策への監視を強めるべき」

日銀の金融政策変更

日銀の金融正常化が決定しました。

マイナス金利、YCC(イールドカーブコントロール)、ETF(上場投資信託)などのリスク資産の買い取りの解除を決めました。いわゆる異次元緩和は終了したということです。
これまでこのことを批判してきましたが、日本経済にとって残念なことでした。このことは、いずれにかどこかで日本経済に打撃を与えることになる可能性が高く、注意が必要です。またデフレに戻る懸念さえあります。
思い出すのは2006年のゼロ金利解除です。あの時日本経済は立ち直るチャンスを失いました。
国民は日銀の金融政策に一段の監視を強化する必要があると思います。

ただ、どこかでマイナス金利を正常化するということは必要でしょうから、株価も高く、為替も円安に振れている今がチャンスだとのことは理解できます。

緩和政策は続く

そして、長期国債の日銀による購入は継続する、毎月6兆円をめどに続けるということで緩和政策は続けるということでは、確かに急激に金利が上がる蓋然性は低いと思います。
そのことは歓迎したいですが、異次元緩和に比べ経済を支える力は弱く、もしものときには異次元緩和に戻る勇気を失わないでほしいと思います。

米国債需要との相関

ここで、いつも引用する豊島逸夫さんが以前から報じていましたが、今日(3/19)の日経コラム「金のつぶやき」で重要なことを言っています。

今回の日銀の金融正常化で日本の債券に金利が戻る影響で、これまで米国債に投資していた(実に170兆円ほど持っている)生保などの日本の機関投資家が米国債を売り、日本の債権を買うというリパトリエーション(本国への資金還流)が起き、米国債が値崩れするリスクがあると言っています。
米国債が値崩れすると、株やドルも値崩れするトリプル安のお添えも出てきます。これを豊島さんは「1997年に当時、訪米中の橋本龍太郎首相のコメントでNY市場が大きく揺れた」例を持ち出して論じています。
米国政府にとっても、米国の金融政策が利下げへと向かう中で、ゆるがせにできない日本の機関投資家のリパトリエーションです。そして、リパトリエーションは為替変動に直結するので日銀にとっても極めてセンシティブな問題だとも言っています。
そしてと、議論はめぐって、そういう極めて金融上重要なこともあるから、日銀はそうそう利上げを進めることは出来まい、というニュアンスを語っています。

以前に米国の国債の大きな膨脹具合を記事にしたことがありますが、

このことの日銀の低金利誘導への意味もかなり大きいと思います。
つまり当面は低金利が続くということはやはり間違いありません。

当面は良いとしても、本当の意味でデフレを完全に脱却する、インフレを定着させるという意味において、そのことが日本経済を立ち直らせるという意味において、アベノミクスから始まる十年以上にわたる日本の最後のチャンスを決して無駄に終わらせてはならないという最大に目的に対して、日銀の金融政策にはこれからこそ、国民が最大の注意を払って監視していかなくてはならないと思うものです。


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