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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
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#ローマ

「『ローマ人の物語』他、塩野七生著作書評リスト」

「ローマ人の物語」他について、塩野七生さんの著作をリスト化します。 ローマ人の物語 1)「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い|りょうさん (note.com) 2)「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い|りょうさん (note.com) 3)『ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷』/帝国の盛衰の歴史、現代と変わらず|りょうさん (note.com) 4)「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」野心、虚栄心の問題|りょ

「ローマ人の物語Ⅻ 迷走する帝国」/危機の三世紀・もはやローマの衰退は止まらない

もはやローマの衰退は止まらない これまでもローマはたびたび迷走してきたが、そのたびにローマ人は強靭な粘り腰を発揮し蘇ってきました。 しかし、危機の三世紀と言われるとき、もはやローマは衰退を止まりませんでした。 五賢帝の時代に胚胎していた衰退の萌芽がこの三世紀に一気に現れて来るようです。マルクス・アウレリウスの後、崩れていく帝国を留めることのできる皇帝が現れません。 ローマらしくない制度改革が相次いで衰退を加速する いわく、それまで属州民と本国ローマ市民を区別していたのを

「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後」/晩成カエサルの統帥と政治(塩野七生の恋)2

塩野七生は「ローマ人の物語」でローマ建国から西ローマ帝国滅亡までの千年以上の歴史を大部のハードカバー15巻で記しています。 そのなかで、実にカエサルについてはⅣ、Ⅴの二巻を費やすほどの熱の入れようです。 しかし、読んでみるとこの二巻はまさに圧巻、英雄の物語はこれに尽きる!とまで言えるようなワクワクドキドキの、結果を知っている我々構成の人間から見ても大歴史絵巻を読むことができます。 Ⅳ巻の書評でもしるしましたように、塩野七生はカエサルに恋焦がれるがゆえにこれだけの力作をモ

「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い

「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」のご紹介です。 すでに、 「ローマから日本が見える」、「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」はご紹介しました。 この「ローマ人の物語Ⅱ」は、ハンニバル戦記という副題がついているように、三次にわたるローマとカルタゴのポエニ戦争の戦記と言ってよい巻にあたります。 やはり、歴史ものは、日本で言えば戦国時代が何より面白いのと同様に、戦記物が一番面白いですね。 このポエニ戦争を描いた第2巻も、人物描写、戦闘描写とも塩野七生さんの筆が踊る

「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い

塩野七生さんの「ローマ人の物語」を読み始めています。 以前に、「ローマから日本が見える」塩野七生著、集英社文庫 について書評を掲載しました。 「ローマから日本が見える」はローマ建国からカエサルあたりまでの「ローマ人の物語」の縮刷版的なものでしたので、この第一巻から読みやすくすっと入っていけました。 第一巻 ローマの原初 ロムルスによる建国と王政、七代続いた王政は世襲ではなく基本的には推されてなるという原初形態にローマの政治的知恵があったのかもしれません。 そして王政で