鵺の陰陽師36話感想

・サブタイトル「勝機は十分にある」

 早速最新話の感想を始めます。既存話に関しては時間を見つけて(あるいは単行本ごとに)投稿予定。何だかんだで周年が見え隠れするくらい話数を重ねているので地味に大変です。

◆狂骨参戦! けれど逆境は続く。

 前回ラスト。まさかの狂骨登場で大盛り上がりでしたが、しっかり代葉たちと合流して先制攻撃をぶち込んでいます。しかも真の姿で。
 この漫画って変なコトはしても、展開を変にハズすことはないんですよね。だから前回の引きの期待通りにキッチリ狂骨が仕事をする。予想は裏切っても期待は裏切らない。これ、漫画としてすごく大事だと思います。

 あと2巻を読み返して気づいたんですが、8話の時点で狂骨の素顔はほぼ出ていましたね。初見時は竜のような怪物に見えましたが、逆さまにすると人の顔に見える。

 しかしそんな狂骨の一撃を受けても、推定レベル4の少女は余裕の笑みで即再生。オマケに残り二人の少女幻妖たちも集結。絶望的。代葉は学郎たちのことを心配しますが、こちらもピンチは相変わらず。
 が、狂骨は問題ないとはっきり言う。サブタイトル通り「勝機は十分にある」と。

 実際、学郎たちよりもレベル4三体に囲まれている代葉や先輩の方がピンチではある。狂骨も間違いなくレベル4だとしても頭数が足りない……んですが、疑問が一つ。

 少女幻妖たちは本当にレベル4なのか?

 現状明かされている情報だと、人型で知性を持つのはほぼレベル4。強さに関しても四訥でさえ何をされたのか全く分からないほど。けれど、もし本当に三人全員レベル4なら流石に無理ゲーすぎて全滅不可避だと思います。彼女たちより強いやー様も控えていますし。

 もちろん狂骨がクソ強くて無双する展開もあり得ますが、その場合彼よりも強そうな双師匠がバケモンになってパワーバランスが崩れます(レベル4×3>狂骨>隊長格陰陽師だと陰陽寮がレベル3〜4へ警戒する意味がほぼない)。

 鵺さんに持たされたアイテムもありますが、彼女の口からそれだけでは厳しい、本人たちのレベルアップが必要と言っているので倒せるほどの効果は望み薄。

 あとこれはかなりメタ読みですが、少女幻妖たちのキャラデザがかなり適当なんですよね。髪型やアクセサリーでかなり誤魔化してます。

 なので少女幻妖たちはやー様の分身的な何かで、強さもレベル3.5くらいだと予想しておきます。もしくはやー様の式神。

◆父親の仇。夜島兄妹VSレベル3!

 場面は変わり、学郎と四訥サイド。
 学郎は共闘しようとしますが、冷静さを欠いてる? 四訥は無視して突撃。意外にも戦えているので学郎はサポートへ。

 大きな両手とマスターハンドのように浮遊する二つの手を使い、激しい攻撃を続ける四訥。しかもどういうカラクリか防御力も上げられるようで、レベル3幻妖の目潰しも効かない。
 その後幻妖の腹を千切りまくる四訥ですが、やはりレベル3。そう簡単には倒せず、第二形態のような状態へ。加えて攻防の最中に四訥は腕を意趣返しとばかりに千切られていた。

 学郎は不甲斐ない自分を叱咤し、威力だけなら格上にも通用するという鵺さんの言葉を思い出しながら今週は〆。

 いやぁ、待ちに待ったバトル回だけあって、先週から読み応えバツグンです。アクションに不慣れなコマもありますが、普通に読めるレベルなんで問題なし。

 強いて言うなら未だに学郎の盡器名が分かってないのはバトル漫画としてどうなん? と思いますが、この作品って意図的に情報を小出しにしている雰囲気があるので考えてはあるでしょう(盡器名どころか能力も詳細不明な先輩……)。

 そして兵一参戦フラグも着々と積み上がってます。ほんとに鬼滅の蜘蛛山編を思い出しますね。あの時も義勇さんとしのぶさん、丁度二人が来てくれましたから。

 そうなると学郎の『覚醒』にも期待しちゃう。
 学郎の霊衣って明らかに他の陰陽師の霊衣と違いますよね? 換装面積が少ないし、そもそも四肢が衣服を纏うんじゃなくて直接変化してる。帯刀したままの日本刀の件もあります。

 霊衣に限らず、学郎は謎が多い。義理の妹が出たのにバックボーンはほぼ不明。何なら四訥登場でより謎が深まってます(養子は認知してるのに実子を知らない陰陽師等)。この辺はまとめて別の記事で書く予定です。

◆気になった点

 前提として私は鵺の陰陽師の大ファンで、アンケートも毎回一位で出しています。ただそれはそれとして「これはどうなん?」と批判的に思うこともあります。好きだからこそ、全肯定してはいわゆる「信者」に堕ちてしまいますので。

 今回で言えば『学郎の決意』です。

 決意そのものは悪くないんですが、前回も含めて「四訥を助ける! もう一人にはさせない!」→「戦いに入っていけない……観察に徹しよう」→「俺のせいで四訥が傷付いた……俺がレベル3を倒す!」という一連の流れは正直微妙でした。

 理屈は分かります。ロクに連携訓練もしてないのに格上へ挑むのは無謀どころか邪魔です。けれどその展開が漫画的に面白いかどうかは別で、少なくとも私はクドいと感じました。

 そもそも学郎たちだけで先輩たちを助けに行ってる時点で無謀なのだから(カラスの能力を使った作戦もかなり強引。あれ実際どうやって見つからずに助けるつもりだったんでしょうか?)今更理屈っぽくなる必要ないと思います。

 これ、薄々感じていた【鵺の陰陽師】という作品の明確な欠点ですね。変に真面目すぎて、勢いと漫画的な面白さを失っています。数週前の合併号で「先輩たちを助けに行く」という目標設定の為だけに1話費やしたのは完全に打ち切り漫画の尺の使い方でビビりました。

 ただまあ前記した通り、川江先生は展開を外さないので来週は素直に共闘してレベル3を倒してくれることでしょう。

◆まとめ

 最初の感想なのに、最後は批判になってしまいました。申し訳ありません。けれどそれだけ、私は鵺の陰陽師という作品に期待を寄せています。
 最近はそこそこ名も知れて某掲示板で叩かれつつありますが、ここまでこれたのも私たち読者がアンケートを出し続けた結果。鵺が好きという方が意外にも多くて本当に嬉しい限りです。

 2023年。鵺の陰陽師は看板とアニメプロテクトで守られた中堅作品の壁を突き破り、見事生き残って年を超えることが出来ました。

 しかし真価を問われるのはここから。まずは周年を迎えて巻頭カラーを取るまで、決して油断は出来ません。無論、ただの読者でしかない我々にできることは殆どなく、毎週アンケート結果の掲載順に翻弄されています。

 けれどこうしてファン同士が繋がり、普及活動をしていくことでアンケート数を伸ばすことは可能です。アンケート結果がダイレクトに反映されているのは、序盤の打ち切り圏内から這い上がった【鵺の陰陽師】そのものが証明しています。

 長くなりましたが、要するに私はこの漫画が大好きで、早々に終わってほしくありません。
 それではまた、次の更新で。


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