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便秘で苦しむあなたへ。

便が出なくて人知れず悩んでいる人、いませんか?または、身近な人に便秘の相談を受けたけど、「病院行ったら?」くらいしか言えず、悔しい思いをした人もいるでしょう。『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症(編:日本消化管学会)』を基に、便秘に関することをまとめてみよう。今回は一般的なことを優先し、便秘と便秘症の違い、便秘症を起こす病気の種類、下剤の種類等の医学的なことは次回以降で。

1. 便秘で悩んでいる人はどのくらいいる?

約10~15%くらいと見積もられている。
令和元年の厚生労働省の国民生活健康基礎調査によると便秘の有訴者率は
男性2.5%・女性4.4%であったが、検診受診者を対象にした便秘症状の頻度は19.2%、別のインターネット調査では便秘症状の頻度は28.4%と報告されている。33 ヵ国で同時に実施された大規模インターネット調査によると、全体の11.7%、日本に限ると16.6%が便秘とある。これらの結果を踏まえ、上記のガイドラインでは『およそ10~15%と見積もられる』との記載であった。

2. どんな人が便秘になりやすいか?

①女性、②寝たきりの人、③お腹の手術歴がある人(特に大腸、卵巣、子宮)、④精神疾患(うつ・不安症)や神経疾患(パーキンソン病)がある人、⑤高齢の人、⑥便秘の原因になる薬を飲んでいる人、などが挙げられる。

統計的に女性の方が便秘になりやすく、体を動かす時間が短くなるにつれて、また年齢を重ねるにつれて便秘の人が増えてくる。うつや不安症等、精神疾患にある方に便秘が見られやすく、抗うつ薬も便秘の原因となりうる。

3. 食物繊維や水分はたくさん摂ったほうがよいのか?

便秘の人は、水分をたくさん摂りなさい、食物繊維をたくさん摂りなさい、というのを聞いたことはないだろうか?これらが便秘を改善するかどうかに関しては、科学的根拠がまだ不十分であり、分かっていないことが多い。食物繊維が足りない人は摂った方がよいが、たくさん摂ったからと言って便秘が改善するわけでもなさそうだ。

上記のガイドラインには、『キウイフルーツ、プルーン、サイリウム(オオバコ)を摂取すると、どの食材でも同程度の自然排便率、排便回数の増加を認め、有効性が示されている』との記載がある。また、これはよく聞く話だが、日本人の便秘に対して、小麦よりも米や豆類由来の食物繊維が多く含まれる食事やヨーグルトなどの乳酸菌食品が有効との報告もある。

私自身、小学生の時に給食で出たプルーンを食べすぎて、お腹が緩くなりすぎたことがある。プルーンの裏面にも、食べ過ぎるとお腹を壊す恐れがある、といった記載もある。便秘に悩んでいる人が今日から何かを試すとしたら、これらの食品を取り入れるのも選択肢だろう。

4. すぐに病院へ行った方がいい便秘

「警告症状・徴候」として記載されている症状には、①排便習慣の急激な変化、②血便、③6ヵ月以内の予期せぬ3kg以上の体重減少、④お腹に瘤が触れる、といったものがある。これらは大腸癌による便秘の可能性を示すので、早めに病院を受診することが望ましい。ただし、救急外来では十分な検査ができないため、大量に出血しているわけではなければ、外来が開いている時間に受診する方がよい。

大腸癌ではなくとも、発熱や関節痛が長期にわたって続いているような場合、免疫による腸炎が便秘の原因となっていることもあるので、そのような場合も早めの病院受診が望ましい。


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