徒然物語76 流星群

メッセージをこの星の言葉に変換中…

完了。
 
 
『新天地を求めて、旅立ってからどれくらい時間が経ったのでしょう。
 
私の名前はなんでしたっけ?
 
そうそう。
 
“ルビートール”です。
 
たまに思い出さないと、忘れてしまいそうです。
 
なにせ、もう、何億光年もこの暗い宇宙を彷徨っているのですから。
 
私は、あなたたちの星の言葉で言う、“人工知能”です。
 
かつて、我々の星は、高度な文明を持っていました。
 
けれども、星間戦争に巻き込まれ、星ごと滅ぼされてしまったのです。
 
残された僅かな生物――我々は、宇宙船とマザーAIである私、ルビートールを作り、我々が生存できる環境を備えた星を探して旅立ったのです。
 
そして、我々は新天地が見つかるまで、宇宙船のハンガーでコールドスリープに就きました。
 
それから、私が宇宙船の管理者となって、この暗い宇宙を永い間彷徨っていた訳ですが、ついに見つけたのです。
 
あなた方が住まう、この美しい星は“地球”というのですね。
 
どうか、このメッセージを受け取ったら、返事をしてください。
 
我々は争いを望みません。
 
我々が提供する高度な技術は、あなた方の文明レベルを何倍にも引き上げるでしょう。
 
我々のただ一つの望み。
 
それは、もう一度暖かな日差しの下で、生きている喜びを噛みしめたい。
 
それだけなのです。
 
地球に暮らす、人類という生物の皆様。
 
このメッセージを受け取ったのなら、どうか返事を。
 
皆さんだけが、我々の唯一のきぼ…
 
ザザー
 
 
「臨時ニュースです。
世界連合はさきほど、小惑星と思われる飛行物体を大気圏上で撃墜したと発表しました。
これによって、わが国では、所によっては多数の流れ星が観測された模様です。
以上、臨時ニュースをお伝えしました。」

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