見出し画像

星の授業を手作りプラネタリウムで ~サイエンスドームの実践~

 理科の授業をしていて,教えるのが難しいと感じていたのが星の授業。星は当然夜しか見えず,実際の観察となると家に帰ってからとなります。しかし,晴れていないと観察できないし,月の明るい夜もだめ。町の明かりで見えないことも多々ある上に,せっかく星が見えてもどの星を見ていいかわからない子どもたちも多い。プラネタリウムのようなことができたら…とずっと考えていました。
 10年ほど前,当時の勤務校のICT教育支援員の先生にその話をすると,それからしばらくして,いいフリーソフトが見つかったと教えてくれました。このnoteにソフト名を書いてもいいかどうかわからないので,ソフト名は書きませんが,そのソフトでは,緯度・経度・高度を設定するとその地点の星空を見ることができ,しかも,360°のパノラマ写真を加工すれば,背景も自由に設定できるというものです。つまり,自分の学校の緯度・経度・高度を設定し,運動場で撮影した360°のパノラマ写真を加工して使用すれば,自分の学校の運動場で星空を観察する感覚で,星の学習ができるのです。
 以前から自分の中ではプラネタリウムのようなものを作成する構想があったので,それを作成し,このソフトを使えば,おもしろい授業ができると思いました。
 構想していたのは,ビニール製のドームです。UFOバルーンの記事で中央部分はドーム形状になっていると書きましたが,そのドーム部分をスクリーン代わりに白いビニールにするのです。そして,送風口から空気を送り続ければ,その空気の圧力でドームはその形を維持できます(東京ドームもドーム内の気圧を外よりも高くすることであの形を維持しています)。
 そのドームの中に子どもたちと入り,パソコンとつないだプロジェクターで星空を背面投影すれば,子どもたちに見せたい星空を見せることができます。
 イメージができれば,ドームの作成です。ソーラーバルーンもそうですが,このドームもビニールシートをセロテープで貼り合わせて作ります。セロテープで強度は大丈夫?と言われますが,セロテープは引っ張り強度はけっこうあるので,空気で膨らませたくらいでは剥がれることはありません。ドーム形状になるよう切ったビニールシートのパーツを貼り合わせて作成しました。
 完成したドームを初めて見た子どもたちは,それだけでわくわくした表情になり,中に入ると思わず走り回る子どももいました。いよいよ星空の授業スタートです。
 写真は,実際の授業の様子です。一時停止させた星空をバックに星座を指し示し,このあと星はどう動くか予想をしてもらいました。月のような同じ動きをするのではないかという子どももいれば,プラネタリウムを見た経験をもとに予想する子どももいて,そうした意見を交わしながら星座への興味が高まっていきます。
 いよいよ星空が動き始めます。早送り気味に星空が動き始めると,子どもたちは星座を凝視し,予想が当たって喜ぶ子,違ったと言いながら星座を見続ける子,予想が当たってもはずれても,楽しそうな子どもたち。(背面投影をしているので,写真の教師の姿はシルエットのような感じですが,教師の前にいる子どもたちの様子は教師側からはよく見えます)
 長年したいと思っていた授業ができました。ただ,ドームの名前は副題にも書いたようにサイエンスドーム。その理由はまた別記事で…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?