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こんにちは、キャリアコンサルタントの梅子です!今日は、10年人事を経験してきた私が得た、研修ノウハウをちょっと共有しようと思います。

今回のテーマは研修設計。入社して数年経つと、後輩や部下のために教育・指導をしたり、研修講師を依頼される場面も増えるのではないでしょうか。

ですが、いざ教えてみると、受講生が理解してくれない、そもそも興味がなさそう、研修が終わった瞬間教えたことを忘れている。など、失望することはよくあるものです。

私は、どうすればこの研修が受講生にとって実りのあるものになるのか。入社時研修や階層別研修を企画する中で、試行錯誤し続けてきました。今回の記事では、そんな私の失敗談や成功事例などを共有させてもらいます。


1. 研修設計を始める前に

研修内容を考える際に、一番大事なこと。
それは、研修の目的・ゴールを明確にすること。そして、そもそも研修という手段が妥当かどうかも検討することです。

企業でよく陥りがちなのが、
「研修をやった方がいいから、研修をやる。」
と、実施が目的化してしまうケースです。

研修実施が目的になってしまっている為に、研修内容や最終ゴールについての打ち合わせなどは一切ありません。

私が以前勤めていた会社では、こんなことが起きていました。

上司「設計部門に研修に行かせたら、製品の事とか色々わかるだろう。」

研修担当「1日も新人を預かるのか〜。とりあえず、CADの体験でもさせといたら、時間つぶれるかな。」

新人「CADをさわれたのは面白かったです。でも、配属先でCADを使うことはないので、業務に役立ったかというと… う〜ん。」

みたいな感じです。
目的・ゴールが曖昧なので、せっかく時間を割いたにも関わらず、無意味な研修になってしまったのです。

また、必要な知識の中でも、マニュアルを見たり、ネットで調べればわかることってたくさんありますよね。

そもそも研修という場を設ける必要性が本当にあるのか?これも確認すべきです。

2. 適した研修スタイルを選ぶ

研修、という単語を聞いて、こんな場面を思い浮かべませんか?


部屋で講師が前に立ち、生徒が椅子に座って聞いている光景。確かにこれも研修の一つですが、他にも研修のスタイルはたくさんあります。

・グループディスカッション
・プレゼン発表
・実際に製品を使ってのデモンストレーション
・営業同行(顧客訪問、製品納入 等)
・フィールドワーク
・教材を使っての自習
・OJT(実務をやりながら学ぶ)

座学でおこなう必要はありませんし、
講師がつきっきりでなくても、自習形式でネットを使って調べさせることも、学習の一つなのです。

研修スタイルは、獲得したい知識によって選択しましょう。

知識を頭に入れることがゴール
⇨座学形式で暗記

お客様と話す力をつけることがゴール
⇨商談のロールプレイング、営業同行

製品を修理スキルを身に付けることがゴール
⇨実際の製品を使って修理実習

このように、スキル内容に合わせた研修スタイルの選定が重要です。

自動車学校で、運転のやり方を本で教わることなんてないですよね?それと同じです。

学校の授業のようなスタイル、という先入観は捨てて、目的にあった研修スタイルは何か。を考えましょう。

3. 最後に時間配分

目的とゴールを決める⇨適した研修形式を決める
以上の2ステップができたら、最後は時間配分を決めましょう。

よくある間違いが、最初に時間を決めてしまうこと。前職で、こんなことがありました。

「どんな研修がご希望ですか?」

上長「そうだな〜3日間くらい、製造部門で研修して欲しいな。」

(み、3日も…?)「内容は何かご希望は?」

上長「まぁ、組み立てとか色々やってくれたら。」

不思議なことに、なんの根拠もなく、日数のリクエストが先に来るんですよね。
案の定、製造部門のスタッフから、「3日もすることないよ!」と言われました。笑

研修は長期間やれば丁寧、と思われがちかもしれませんが、短期間でスキル習得できることに越したことはありません。

間伸びして退屈な研修になるくらいなら、スパッと1時間〜2時間で終わった方が、効率が良いんです。

研修の目的は、実施することではありません。
必要なスキルを習得することです。
時間配分は必要最低限にしましょう。

4. 研修の残酷な事実を理解しておく

さて、いよいよ研修を実施するわけですが、ここであなたを待ち受ける、残酷な事実をお伝えしましょう。

・受講生はあなたの話に興味がない
・すぐに退屈する、うとうとする
・説明したことを、あっさり忘れる

一生懸命、研修を企画して時間を割いているあなたにとっては大変ツライ現実ですよね。
私も何度、この状況を経験したことか…

ですが思い返してみてください。
長時間集中して、人の話を聞いていられたことってありますか?

結婚式の長々しいスピーチ。
学校の授業で熱く語る先生のお話。
成人式の市長のお話。

私はものの数分で集中が切れてしまいます。笑
youtubeの10秒程度の広告すらわずらわしいと思うくらいですよ?

人間は、よほど興味がない限り、集中して話を聞けないんです。

また、一度伝えたら覚えてくれる、なんて理想を描いてはいけません。エビングハウスの忘却曲線という名前で有名ですが、
人は、覚えたことを

20分後には42%、
1時間後には56%、
1日後には67% 忘れてしまうそうです。

たった1日で、約7割忘れていることになりますね。
一生懸命伝えたのに、3割しか覚えてくれてないなんて、ショックですよね。

これも、話を100%聞いていれば30%残る、という話ですから、集中が切れていたり、理解が追いついていないことを考慮すると、実際に記憶に残っているのは、10%〜20%程度かもしれません。

では、どのようにすれば、
受講生の関心を惹きつけられるのか?
記憶に残る研修にできるのか?

お伝えしますね。

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