7.3 きょうおもったこと
雨夜花と望春風と
寝られないときは、寝るのをあきらめます。そのほうが、無理して寝るよりも、よほど楽です。それでも、本を読んだり、ラジオや音楽を耳にしたり…落語は難しいのです、寝られるとき、ときというか、噺と、そうでない噺があります。
三代目三木助師匠の『芝浜』は、失礼ながら寝られる噺です。三木助が寝かせるのでなく、わたしにとっては縁のない噺なので、安心しきって聴けるのです。この噺を一番よく聴いた、中学生ごろの感覚になり、すっと眠りに…まぁ、入るときも、また、そうでないときもありますが。
枕にアタマをのせたら、もう、考え事はしない。
これも、大切なことです。夜、解決できることなんて、ほとんどありません。あくる朝、あわてればいいのですから、いったん、忘れておきます。そのために、アタマに風景や物語を浮かべることがあります。アタマん中を白くするための、空想といったところでしょうか。
そんな時、良く聴くのが台湾の長栄航空(エバー)の機内で流れる、長栄交響楽団による『雨夜花』と『望春風』です。ここ数年、台湾行きは決まってエバーで、離着陸時に機内でかかっているBGMが、この音楽です。これを聴いていると、これからの旅、きょうまでの旅、台湾に戻ってこられた、東京に帰ってこられた…いろんな旅の想いが満たされます。自分にとって、一番、よく眠れる音楽です。
朝方、ぼんやりと、今年は台湾に行くことはないのかな…と、この曲を聴いていました。ゆったりとした演奏ですが、『雨夜花』は悲しい歌で、『望春風』は軽やかな、やはり若い女性の恋心を歌ったものです。台湾の老街には、そんな小姐がよく似合います。
台湾に知己はおりませんが、台湾は誰かが待っているような、懐かしい街です。この曲は、そんなことを思わせてくれます。
書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。