世界に広がる次世代教育「水育」-アジアの生エピソードをお届け

サントリーが日本で2004年から開催している次世代環境教育「水育」――
子どもたちが自然のすばらしさを感じ、水や水を育む森の大切さに気づき、未来に水を引きつぐために何ができるのかを考える、サントリー独自のプログラムです。
現在、この活動は世界へ展開しており、アジア４か国（ベトナム、タイ、インドネシア、中国）とヨーロッパ2か国(フランス、スペイン)へと広がっています。

アジア各国においては、「水を大切に使う」という共通のプログラムに加え、地域によって課題となっている「安全な水へのアクセス」に関連する活動も行っています。今回は「水育」の海外担当の梅井から、ベトナム、インドネシア、タイでの活動について紹介します。

ベトナム　－“手洗い奨励“衛生教育

ベトナムでの「水育」は、2015年より開始。
当初から現地の水課題の解決、具体的には「手洗い奨励」などの衛生教育の要望がありました。そこで私たちは、国内で実施してきたプログラムをそのまま展開するだけでなく、地域に合わせた取り組みが必要だと強く感じ、取り組みを開始しました。
その一つとして、手洗い場の整備や飲料用のフィルター設備の設置の支援などを実施したのですが、そこから学校の先生が、生徒たちに、トイレに行った後の石鹸を使った丁寧な手洗い指導を授業の一環として実施する場面がありました。
今考えると、コロナ禍以前に、ベトナムの子どもたちに手洗いの習慣をつけてもらう機会に繋げることができたと思い、本当に良かったと思っています。

インドネシア　ー海洋汚染解決のための水循環教育

インドネシアでは2019年より開始。
ここではプラスチックゴミによる海洋汚染が課題でした。そこで、授業で子どもたちへ「水循環」について説明し、ポイ捨てしたプラスチックゴミによって川や海が汚れてしまうと、それが巡り巡って自分自身に跳ね返ってくることを伝えています。一方で、まだまだゴミを分別して回収する仕組みが整っていないことも分かったため、「水育」出張授業を展開している小学校に分別回収のためのボックス設置の支援を行うことにしました。
プラスチックゴミのポイ捨てについては、アジア各国で共通の課題となっていますが、「水育」で教えることで、生徒自身が率先してポイ捨てを止めて、友達や家族にも啓発しているというコメントも出てくるようになり、とても感慨深く思います。

タイ　－安全な水へのアクセスのために自然保護活動

タイでも同じく2019年より開始。
サントリーグループの生産拠点に加えて、北部チェンマイ州での小学生対象の自然体験プログラムとともに、「安全な水へのアクセス」を目的とした自然保護活動も行っています。具体的には、タイの主要河川チャオプラヤー川の支流にあたるピン川の水源エリアMae Chaemで、渓流に流れ込む土砂を受け止める小型堰を設置する取り組みです。
私も現地社員、自然保護NGOスタッフ、村人とともに体験プログラムに参加し、実際に小型堰の設置を経験しました。

５～６人１組で、傾斜のある幅２メートルくらいの渓流に、木や大きな石を積み上げセメントで補強した小型堰を３時間がかりで手作りしていく作業です。このような小型堰をつくることで、土砂がせき止められ、下流の村で汲み上げる井戸水が浄化されることに貢献します。
現地の社員も私も、普段のオフィスや工場での仕事とは異なり、慣れない作業ではありましたが、その分充実感がありましたし、何より皆きらきらと目を輝かせており、嬉しく思いました。このように現地に伺い、現場で一緒に汗を流すことで、私自身より活動にも深い想いが入りました。

これからも、世界の各地域に根差した次世代環境教育「水育」を通じて、子どもたちや地球の未来に繋がる活動を広げ、多くの人々と協力しながら「水の大切さ」を伝えていきたいです。

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