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本はいつでも味方の大親友。今日はおせち。

無事に年を越せた。聞こえてくる鐘の音を聞きながら、眠りについた2023年。

今年は前日までに仕込む時間がなく、即席おせち。
お雑煮、筑前煮、紅白なます、栗きんとん風(栗なし)、かまぼこ、いただきもののボローニャハムに魚の甘露煮。みかん。

おせちらしきものを並べただけで味わえる正月感。食べ物って味だけではない、季節や気分も楽しませてくれる。


近所のカフェに散歩がてら本を読みに行く元旦の午後。初詣の人で賑わう。車道に規制がかかるので、車がほとんど通っておらずとても静か。

正月の過ごし方は家族それぞれ。自分が育った土地以外の場所で、周りを見渡してみると年末年始の過ごし方の違いを垣間見れて興味深い。自分の田舎に比べてこの街は昔からの習わしがまだ大事に残されているように思う。

カフェにはスムーズに入れて、心地いい1人がけソファの席に着くことができた。ミルクコーヒーを頼み、久しぶりにゆっくり本を読む時間を。

開いたのは、長田弘さんのエッセイ。長田さんは詩人だけどエッセイも書いている。エッセイだけど、詩を読んでいるみたいだった。

長田さんのまっすぐな言葉や問いかけは、心に刺さるものが多い。節目によくひらく。

「人びとの日常の明証のような笑い声。そうした笑い声をもつ世界のすがたを、あたかも行きどまりのようにおもえる現在の向こうに、あきらめることなくたずねること」

「大切にしたいのは、世界をじっと黙ってみつめることができるような、そのようなことばです。声がことばをもとめ、ひとがことばにじぶんをもとめ、そして、ことばになった声からひとの物語がそだってゆく。わたしたちが世界とよびならわしているのは、そのひろがりです」

「わたしたちはともすれば、自分は自分だと言えば、それが自分であるというふうに思いなしがちですが、それはちがいます。わたしたちの自分というのは、むしろ自分でないものによってしか語ることができないものです」
『すべてきみに宛てた手紙』長田弘著

長田さんのことばには、わたしが人として大事にしたいと思っていることが詰まっているのだと思う。自分から発せられる言葉がつくる人生の物語。どういうものにしたいのか、ちゃんと自分で描いていきたい。そして時にできないこともあるけれど、忙しさや他人の気持ちに惑わされずに、大事なことを大事にしていきたい。

迷った時に立ち戻れる「本」という存在に感謝。きみはいつでも味方の大親友だ。


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