#11 ブルース日本起源説

半分メモ的な内容ながら、
できれば人目を引きたい色気の出たタイトルです。 

日本の伝統音楽、とくに近世のそれにおいて、
「都節音階」というスケール、節回しがあります。

聞くとなんとなく和風だなあと感じるはずです。

この都節音階、起源は律音階といって中国由来なんですね
(ほんとうは中華文化の影響以前から日本語話者や日本居住者にあったのかもしれませんが、それは証明しづらいので一旦置いておきます)。

しかし、都節音階に似た音階というのは少なくとも中国の伝統音楽にはないはずです(インドネシアだったかにちょっと似たのがあったはず)。

都節音階はとくに江戸を中心に、都市部で生まれたとされています。
もともとは律音階のメロディ(越天楽なんかが典型です)だったものを、少しフラットさせる。
それが都会のおしゃれさであり、粋なのである。そういう世界なのです。

いま、長調短調に慣れた耳からすると、
どこかおどろおどろしい、物悲しい音階に聞こえますが、
生まれとしてはおしゃれ、粋な音階だったのですね。

ここから雑に結論に持っていきますが、
これ、いろいろとブルーススケールにも似ているなと思いませんか?

単純なペンタトニックをフラットさせることによって、もともとになかった粋などのニュアンスを加える。

ここ最近、自分のなかにブルースの蓄積がないなあと嘆く日々なのですが、たぶん同年代の人よりかは日本音楽、ほんとうの意味での邦楽に触れてきていて、都節音階もシャレオツな節回しとして聞けるので、なんかその辺りで接続できんもんかという、こじつけのメモ書きです。

ついでに独白のメモ書きを。

ワールドミュージックを聞いているときに、自分はなんで遠い国の昔の音楽を聞けているのに、自分の国の昔の音楽が聞けないんだと思った。

他の国に生まれて、もしこの国の音楽に興味を持ったって、この国の言葉がいまいちつかめなくて、聞ききれないなんてざらにありそうだ。そもそもこの国の音楽に、音楽単体で興味を持ってくれる人なんてそう聞かないし。

そんな思いで邦楽をわからないなりに聞くようになった。でも、わからないなりだ。結局三味線よりギターのほうが楽しく思えたし、今も細かい知識は足りない。

それでも、根無し草にならず、ほんとうにこの国、この言葉から根差した音楽をやりたいと思っている。どこかで本場の真似あるいはガラパゴス化した異形なんじゃないかと不安におびえることなく。

世界はひとつじゃない。音楽に国境はある。でも、ヒトそのものは変わらないはず。文化の特殊をつきつめて、生物の普遍にたどり着きたい。

なんとか、ネオ民謡とでもいうべきものを作りたい。日本に根差したリズム、メロディ。それをネオソウルの影響下に昇華して、この国のかたちをいろんな人が思い起こせるようにしたい。
音楽における「和風」を雑なイディオムに留めず、活きたものにしたい。

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