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【肉体のある浮遊感につつまれる】谷小夏さんの福岡初個展にいってきた

モロゾフのバレンタインチョコレートのパッケージにつかまった

2、3年くらい前かな?バレンタインシーズンのデパ地下が何よりも好きな僕は毎年恒例の「チョコレートパッケージサーフィン」をしてた。

そこで出会ったこのパッケージ。
谷小夏さんという画家の絵のパッケージ。

可愛いんだけど、ラブリーすぎじゃない。
マンガ文化とイラストレーションのまざったバランスも好きで購入。

「他にどんな作品を描いてるのかな」といろいろ検索。
その多種多様さに驚いた。
一本の道を突き進みながら、少しづつ変化していくアーティストはたくさんいると思うけど、谷さんは瞬間移動のようにあっちこっちへと飛ぶ。
何人かいるんじゃないだろか?と思うくらい。

映画を題材にしたポップでおしゃれで、学生作品のようなハッピーなものから、モノクロの寂しげな童話のような作品集や、江戸の美人画のようなヌード作品。

作品集を買い揃える楽しみを満喫はしていたけど、活動拠点が京都らしく、関西での個展が多い。
「福岡でいつか原画がみれたらな」と思っていたらインスタで「福岡個展」のニュースが。
手帳にがっつり予定を書き込んだ。
SNSってこういうとき便利!

この作品集の「静かさ」と「さみしさ」もクセになる


ヌードというポピュラーな題材にくるっとひねりが加わった作品集


装丁もいつもすてき


これはきっとラブリーの限界値(笑)でも缶好きにはたまらない


福岡個展は【sezono】植物と共にいろんな季節を旅する2人を描いた12枚の連作。

あたらしい作品集は「飾れる」豪華なもの

灼熱の国体道路を自転車をかっとばし、紺屋街通りへ。
総ガラス張りでどこから入ったらいいかわからない(笑)おろおろしたおっさんがなんとかドアを開けてもらい入場。
会場内には数人のお客さん。
谷さんは背が高くしゅっとした、
「ああ、この人がこの作品を描いてるのすごくわかる」
と思える人でした。

新しい作品群はまた、一段と「しつけが効いてる」連作で、作品並びを追うだけで旅に出るような素敵なもの。一点一点でも素敵だろうけど、こうやって「その絵が次の予告編」のように連なっていってるのは短編映画みたい。

女の子ふたりの世界は無限だと思う。
題材としても自由な旅に出すのにぴったり。
川で洗濯をし、雨に降られ、崖を乗り越え、空を飛び。
まるでそのまま「人生」のようになんだかんだある。

でも二人の女の子はふわりとそれを乗り越える。


身体をちゃんともった浮遊感。無重力ではなく、弱重力?

谷さんの描く女の子たち。
顔やタッチはすこしづつ違ってるけど、そこにあるのは浮遊感。
ただ空を飛んでいるのではない「身体をコントロールしながら飛ぶ」感じ。

僕は最初みた時「手塚治虫感がとてもあるなあ」と思った。
数ある漫画のなかでも「ちゃんと観察された肉体をもったキャラクター」を描くのが手塚治虫さんだとおもってる。
それと同じ「肉体感」を感じた。

肩がこうあって、手がこうついてる。
腰があって、足がこう動く。
デッサンとは微妙に違う、構造的ななにか。

単純化された線の中に身体をしっかり感じることができる。
そこがとても好き。


ちゅるっとサジーを受け取っていただけた

ギャラリーおじさんにならないように気をつけて(笑)少しだけお話をした。ぼくの作品「ちゅるっとサジー」も受け取ってもらえた。歳をとると怖いものがなくなるね(笑)

作家よりも作品はえらいと常々思っているのだけど、せっかく生きてる作家が目の前にいるんだったら聞いてみたいこともある。
しつこくならずに喋れたかは自信ないけど、なるほど〜〜と思えるところがたくさんあった。

僕もデザイナーとして、ちゅるっとサジーの製作販売者として、いつか谷さんにお仕事をお願いできるようになる。
またまたやる気になりました。


いつかこんな日がきますように

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