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オーダーメイドの面白さと難しさと作り手のフィルターの話。


オーダーメイドでご依頼頂く場合、思い通りの物を作る事は出来ません。


突然何を言いだすんだ思い通りの物を作るのがオーダーメイドだろう!
と怒られそうですが、これがオーダメイドの難しさであり、醍醐味だと思うんです。

既製品にはない自分だけの一品を作るのがオーダーメイドですが、お客様の頭の中にあるイメージを寸分違わず別の人間が形にすることはやはり不可能です。

以前からたくさん打ち合わせをして細かいところまで要望をお聞きしていましたが、実際に形になった時点で良くも悪くもイメージと違うと言われることが稀にありました。

ただ細かく打ち合わせをしている分、全くの見当はずれな物ではないので、そのまま使って頂けますし、想像以上だと喜んでもらえることも。
この微妙なズレってなんだろうと感じていました。

こういった経験を繰り返すうちに確信した事があります。

それは「別の人間の頭の中の考えていることを完璧に共有する事は不可能」だということです。(当然ですね…)

お客様も人なら作り手も人です。
人が作る以上どうしても主観が入ります。
育ってきた環境や、今までの人生で培ってきたもの、読んできた雑誌、見た映画、聞いた音楽。買ってきたモノ。家族関係。友人関係。仕事。哲学。

それら全てがごちゃごちゃに入り組んで醸成されて人の価値観というものは完成しますし、日時や感情によっても揺れ動きます。

そう考えると完璧な共有を目指すより、お互いの価値観をぶつけ合ってそこから生まれてくるモノを尊重する方が、より良いものができると思います。

その為には製品の打ち合わせをするのも大事ですが、お互いがどんな映画やファション、お店が好きかという製品とはまったく関係ない事を話をした方が、より良いものになると感じています。


それらをギュッと要約して形にする。
もちろん僕という作り手のフィルターを通しますので、最終的な仕上がりはサニーサイドスタジオを信じて任せて頂くことになります。

オーダメイドは「思い通りの物を作る」というよりは、「作りたい物のアイデアを作り手のフィルターを通して形にする」というイメージで捉えて頂けると、満足いくものができると思います。

お客様にも打ち合わせの中では、サニーサイドスタジオのフィルターは自分に合うかどうか、信じて任せられるのか、判断をして欲しいと思っています。

ものづくりは二人三脚

この「フィルター」こそがオーダーメイドの愉しみだと思うし、作り手に求められる「期待を越える」ということなんだと思います。

このように考えるようになってからは、打ち合わせでは一見関係ない話ばかりするようになりました。
すると当初話していた案からは全く違うものができたり、話しているうちに本当に求めているコトに気が付きます。

それを拾い形にして提案することもあるし、エッセンスだけ頂くこともあります。
作り手は今まで培ってきた感性をフル動員してお客様が求めているものを理解したり、引き出す努力をします。


かといって遠方のお客さんで、顔を合わした事の無い方からすると、オーダーメイドはハードルが高いもの。
だからこそ、インスタやnote、ツイッター等でサニーサイドスタジオとしての考え方や、価値観を発信しています。
その発信を見て、読んで、価値観が合う!と思って頂ければオーダーのハードルも超えやすいのではないかと思っています。

もちろん主体は依頼主のオーダーです。合わないと思えばそこで断って頂ければと思います。

決して思い通りの物を作るという事だけが、オーダーメイドでは無い、と知って頂けると嬉しいです。

いつもお読み頂きありがとうございます!