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「○○なら都会」論争を終わらせてみた

はじめに


突然ですが、あなたは高円寺を都会だと思いますか?

JR高円寺駅前の様子(東京都杉並区)

この質問を複数の友人にしてみたところ、得られた回答は一様ではありませんでした。
「なんもないじゃん、田舎だよ」という人もいれば、「23区でしょ?都会じゃん」という人もいました。

このことから、「都会」「田舎」という判断基準は人によってかなり異なるということがわかります。
私も以前「"都会"とは具体的にどこまでの規模の街を指すんだろう」と気になって、ネットで「都会 基準」と調べてみたことがありました。するとそこに広がっていたのは、それはそれは多岐にわたる個人的見解の数々でした。

・マクドナルドがあれば都会
・スターバックスがあれば都会
・地下鉄の駅があれば都会
・政令指定都市付近なら都会
・関東圏なら都会
・地元民がよそ者に寛容であれば都会

…これらはほんの一部にすぎません。とにかく現時点で「都会」にどの都市が含まれるのかという厳密な基準はなく、個人的思想が入り混じり混沌を極めています。そんな状況を変えようと立ち上がったのが、私さに丸です。私が確固たる基準を作り、高らかに「これがあれば都会だ!!」と宣言することで、上記のような「○○があれば都会」論争に終止符を打つのです。そうと決まれば早速調査にとりかかりましょう。


調査方法

都会かどうかの基準を作るためには、まず都会について知る必要があります。そこで誰がみても確実に都会そうなJRで乗降客数が多い上位50駅について、その付近の特徴を調べ上げます。今回調査対象となるのは以下の50駅です。

JRで乗降客数が多い駅TOP50 (統計サイトより)

最初は私鉄も含めた全駅中のTOP50にする予定でしたが、小竹向原や代々木上原といった諸説ありそうな駅も含まれていたので、それらを除くためにJRだけに絞りました。
これらの駅の周辺500m以内をその駅名の街とし、建物や店の特徴を調べます。例えば新宿の場合、JR新宿駅から500m以内(新宿御苑の手前くらいまで)の空間を都市「新宿」とみなします。

「新宿」の範囲

そしてこれら50都市に共通する特徴をまとめ、都会の基準とします。調査項目は以下の通りです。

定説のある「マック」「スタバ」に加え、指標になりそうなものをいくつか追加してみました。また何が共通項になるかわからないため、コンビニやファミレスの数もカウントしてみます。使ったサイトや調査方法の詳細は以下にまとめてあるので、気になる人はこちらを確認してください。


調査結果

1位 新宿

まず乗降者数1位の新宿について調べてみると、このようになりました。

さすがはトップ駅。主要施設をすべて抑えているだけでなく、コンビニ50軒以上、飲食店1500軒以上という圧倒的規模感を誇っています。

新宿駅前の様子

このような感じで、残りの49都市についても調査していきます。

〜5位 東京

上位5駅目にして、早くも駅から500m以内にゲーセンがない都市が現れてしまいました。ただ、東京が外れ値なだけの可能性もあるので、これだけではまだ「ゲーセンの有無と都会度は関係ない」とは言い切れません。そのため、施設がない都市が計3つ現れるまでは集計を続けるという「3アウト制」を採用したいと思います。例えば6位渋谷、7位品川にもゲーセンがなかった場合は、その時点でゲーセンの有無は基準にならないとみなし、8位大宮以降では集計を行いません。これはゲーセン以外の店、施設も同様です。そのことも踏まえて、引き続き調査を続けていきましょう。

〜10位 北千住

ゲーセンと映画館が早々に3アウトになってしまいました。以降この2つの有無はカウントしません。正直両方とも50都市すべてにはないだろうなと最初から思っていましたが、こんなに早く脱落するとは思っていませんでした。
また、新橋の影響により「駅ビルの階層」と「ファミレス」の数は基準としてかなり怪しいものとなりました。以降の結果次第で都会の基準とは関係のない値となってしまいます。

〜20位 西船橋

先ほどの新橋と合わせて、ユニクロがない都市が計2つになりました。しかしマック、スタバは依然として全ての都市にあり、都会の象徴として機能し続けています。そして実はこの3つ以外にも、GUやミスタードーナッツ、サイゼリアなど、店舗数が多そうなチェーン店の有無を密かに集計していました。

調べられていた店舗たち

…が、主に品川と新橋のせいで早々にほとんどが脱落。ダイソーとサイゼリアが奮闘しましたが、西船橋にダイソーがなかったことであえなく全滅してしまいました。こうして「○○があれば都会」候補となるチェーン店はマック、スタバ、ユニクロの3企業に絞られました。これら3つが最後まで基準として生きるのか注目していきたいです。

〜25位 田町

ユニクロのない都市3つ目に田町が現れ、ユニクロの有無は都会かどうかの基準に関係ないことが立証されました。ここからはマックとスタバの一騎打ちとなります。

また26位の浜松町を含め、駅ビルの階層が0、すなわち駅ビルを持たない駅が3つになりました。よって駅ビルの有無も都会の基準ではないということになります。

なのでここからは「駅ビル」の項目を「商業ビル」に変更し、駅ビルがない場合はその近くのショッピングモールの階層を調べていくことにします。

〜31位 五反田

ついにマックがない都市が現れました。よって「マックがあれば都会」説は立証ならず!と言いたいところですが、例によって五反田が外れ値のだけかもしれません。都会度の指標としては一旦スタバが優位になったところで、引き続き調査を進めていきます。

〜39位 日暮里

今度はスタバがない都市が現れました。これでマック、スタバ共に互角かと思いきや、スタバ側に1つある問題が生じました。それはスタバがなかったのが
他でもない日暮里だったことに起因します。

日暮里周辺のスタバの立地はこのようになっているのですが、日暮里駅とスタバの間にある西日暮里駅、実は乗降者数47位で今回の調査対象になっています。
そして上の地図を見る限り、西日暮里-スタバ間の距離は日暮里-西日暮里間の距離よりも長くなっています。日暮里-西日暮里間は約500mらしいので…

おのずと西日暮里にも×がつき、スタバはこれでツーアウトになってしまいました。果たして残りの10都市にスタバはあるのでしょうか。

〜50位 大井町

上位50都市の集計が全て終わりました。駅近くにファミレスが1軒もない目黒の登場により、もとより疑問視されていたファミレスの数という指標は完全に亡きものとなりました。
また、50都市のうちマックがないのは五反田だけ、スタバがないのは日暮里と西日暮里だけという結果になり、「マックがあれば都会」と「スタバがあれば都会」の2説がほぼ立証されました。元五反田ユーザーとしてこの結果は誠に遺憾なのですが、私はそれよりも結果を見て1つ気になったことがありました。



西日暮里は都会と呼べるのか…?



集計結果をもう一度ご覧下さい。

西日暮里はコンビニ、銀行の数が50都市中最低なだけでなく、半径500m圏内に大型ショッピングモールがない唯一の都市でした。

西日暮里の商業施設、西日暮里スクランブル

その他の数値も比較的低く、他の49都市に比べて明らかに規模が小さいことが表より読み取れます。

西日暮里駅前の様子


以上の観点から、私は「西日暮里は都会ではない」と結論づけることにしました。

なので…

西日暮里を集計対象から外し、51位だった大森を繰り上げで対象に含めることにします。

51位 大森

大森の調査結果は以下のようになりました。マックもスタバも商業ビルもあり、他の49都市とおおむね遜色がありませんでした。乗り入れ路線が1線(京浜東北線)しかない初の駅となりましたが、ほかの数値からして都会と言って差し支えないと思われます。

以上で予定していた調査は終わりなのですが、西日暮里を外したためマックとスタバのどちらが指標として強いか分からないままになってしまいました。データだけ見れば「マックがあれば都会」といえなくもないですが、じゃあマックのない五反田が都会ではないのかというと、ほかの数値的にそんなこともなさそうです。

五反田駅前の様子


ということで、52位以下の都市を使って、マックとスタバの有無のみ追加検証を行います。一体どちらが都会度の指標として優れているのでしょうか。


〜75位 新木場

一旦75位まで調べてみた結果がこちらです。数えてみると
マックがない都市・・・7つ
スタバがない都市・・・7つ
となり、やはり指標としての強さはほぼ同じであることが分かりました。

またどちらか片方しかない都市についてコンビニ件数を調べてみたところ、登戸以外は全て日暮里ライン(11軒)を超えていたため、「どちらかがないからといって都会ではない」ということはなさそうです。


結論

以上の結果より得られた、「○○があれば都会」という基準がこちらです。

2022年8月16日 作成者:さに丸

マック、スタバの2つは都会度の指標としてほかのチェーン店より優れており、マックとスタバのどちらかがあるかどうかがひとつの基準になるということが分かりました。また都市の規模感の基準としては大型ショッピングモール(3階建以上)があるかどうかや、コンビニと飲食店の軒数が判断材料になることが判明しました。銀行・ATMの数については、一応基準を作ると「銀行かATMが6つ以上」となるのですが、下高井戸やときわ台でも突破できる低低ハードルだったため没にしました。

下高井戸駅前の様子

他にも、最初に「調査対象をJRのみに絞ることで小竹向原や代々木上原といった異分子を除いた」と言ったことから、「JRが通っていること」ががひとつの基準なのではないかとも考えました。実際これら2つの駅は今回作った基準を満たしていません。しかし銀座や豊洲、押上といった、JRが止まらないけど基準を満たしている反例が見つかったため、JR線の有無は基準にはなりませんでした。


さいごに

せっかく都会の基準ができたので、冒頭に挙げた「高円寺は都会なのか」問題を解決してみたいと思います。

先ほど制定した基準と高円寺駅前を比較すると、このようになりました。

駅前のパル商店街が思ったより栄えていたことが功を奏し、見事「高円寺は都会」という結果を勝ち取ることとなりました。

パル商店街の様子

このように、都会か田舎か微妙だった街に白黒はっきりつけることができるようになりました。皆さんも今後はこの基準を使って、豊かな都会判定ライフをお送りください。それでは。


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