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お薬について(粉、シロップ…それぞれのメリット・デメリット他)

Take Home Message

◻︎小児の場合、症状を和らげるサポートの薬が多い
◻︎なるべく用法、用量を守ろう。
◻︎効果は変わらないのでお薬の形状ごとの特徴を把握しよう。
◻︎粉・ドライシロップがベスト(保存・安全性など)

お薬を飲ませる大人の方に知っていただきたいこと

 小児科でよく処方される、咳止めの薬、痰きりの薬、鼻水を抑える薬、腸の働きを整える薬(整腸剤)、熱を抑える薬(解熱剤)などは症状を和らげて、お子さんのサポートを行い、体力の回復を助けるお薬です。病気自体を治療する様なお薬ではないため、咳や鼻水などの症状がピタッと止まる様なことはなく、内服することで症状がやや和らいで少し楽になるようなお薬です。お子さんが飲めない時は無理やり飲ませるよりは、ゆっくり休んでもらう方が、効果的な可能性もあります。

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(1)【注意】それでも抗生物質・抗ウイルス薬は別!

 抗生物質などは、薬が効きにくい細菌(耐性菌)を作らないためにも、決められた、用法、用量、日数などを守るようにしましょう。そのほか上記のサポートの薬以外、決められた使用方法を必ず守ってほしいお薬として、喘息治療薬、抗ウイルス薬、痙攣予防薬などがあります。
もしクリニックで出されたお薬で迷うような事がある場合には遠慮せずに確認してください。

(2)お薬に定められた「飲み方」をしっかり守りましょう

 お子様のお薬は大人のお薬と違い、体重や年齢で細かく設定されています。その為、自己判断によるお薬の使用は大変危険です!保育園などの通園で、「1日3回お薬を飲ませるのが大変…」という方もいらっしゃるかと思います。食後でなくても良いお薬の場合は、1日3回を朝、帰宅後、夜寝る前のように設定していただいても大丈夫です。処方されたお薬が食後でなくて良いかは、診察時に確認していただければと思います。
 またお薬によっては回数が指定されている場合があります。抗生物質などは血中濃度の観点から、1日2回より3回の方が良いことがあるので、迷うようであればこちらも受診時にお気軽にご相談ください。

(3)とりあえず以前処方されたお薬を使おう…は危険な場合も
 余りのお薬を前もって飲ませてから受診するのは避けてください。お子さんの事が心配でお薬を飲ませたいお気持ちは分かりますが、できるだけしっかりと診察を受けた上での内服を心がけましょう。処方されたお薬はその時の症状などから出された薬で、現在の症状とは異なる可能性があります。希ではありますが、思いがけない副作用などが出る可能性もあります。


粉、シロップ、錠剤、坐薬
それぞれのメリットデメリットって何?

〈粉薬〉
・錠剤と比較し、体重に合わせた量を細かく調節できる
・1袋ずつ包装されている為、1回量を間違える危険がない
・シロップよりも保存が効きやすい。

〈錠剤〉
・年長児では飲みやすい
・一番保存が効く剤形
・体重に合わせた調節が難しい

〈シロップ〉
・糖分が入った液体である為、飲みやすい
・細菌が繁殖しやすく、保存方法手間がかかる
・お子さんが大量に誤飲するリスクがある
・ボトルから1回量を分けて飲む為、投与量を間違える危険がある

〈坐薬〉
・口から水分が取れない、嘔吐を繰り返している時などは有効な形態
・主に吐き気止め、熱さまし(痛み止め)などがある。


お薬はどうやって飲ませればいいの?

(1)飲ませるときにオススメしたい心がけ

・お薬を上手に飲めたときはほめましょう。ほめてもらうとお子さんは嬉しくなり、次も嫌がることなくお薬を飲むようになることもあります。また、お薬を飲めないとつい叱ってしまうこともありますが、叱られたことが嫌な思い出となってしまい、お薬を嫌いになってしまう事もあるので 気を付けましょう。

・お子さんにお薬を使う理由を話してみましょう。理由を理解し、 お薬をきちんと使えるようになることもあります。また、お薬を飲んで元気になったら、「お薬を使ったから治ったね」と伝えることも重要です。

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(2)粉薬の飲ませ方

・乳児の場合
 粉薬と少量の水分で小さな団子を作り、お子さんの口の中や、上あご、頬の内側にこすりつけるます。そのあと水分を飲ませると、自分で上手に薬を溶かしながら飲むことができます。

・粉薬を嫌うお子さんの場合
 水に粉薬を混ぜるor薬の入った袋に水を入れてスプーンで飲ませるなどの方法で飲ませるのが一般的です。それで飲むことが難しいお子さんには、市販のゼリーと混ぜたり、チョコやアイスに混ぜたりすると飲めることもあります。
*時折組み合わせによっては苦くなり、飲みにくくなってしまうものもあるので注意が必要です。クリニックや薬局で遠慮なく飲ませた方を聞いてください。

・ドライシロップの場合
水に溶かす事でシロップになるので、粉が苦手な場合には、水分に溶かしてから飲ませてあげるといいでしょう。

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(3)シロップの飲ませ方
乳児の場合にはスポイトなどを使って舌の上に数回に分けて飲ませてあげてください。カップやスプーンで飲める場合にはそれらを使って飲ませてあげるといいでしょう。シロップには糖分が入っており、細菌が繁殖しやすいので、1週間から10日が経過したものに関しては、飲ませないようにしましょう。冷所保存をし、お子さんの誤飲予防に手の届かないところに保存しましょう。

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(4)座薬の使い方
 座薬を入れる前にしっかりと手を洗ってください。ベビーオイルや、食用油などを少量つけて、先の尖った方から肛門へ入れましょう。入れた後、1分程度しばらくの間。肛門を抑えてください。坐薬は使う前に室温に戻すか、少し温めておくといいです。冷蔵庫から出して直ぐに使うと、冷たく刺激を感じる為、お子さんが痛がって、便と一緒に坐薬が出てくることもあります。

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お薬を飲んだ直後に吐いた場合はどうする?

 内服直後に全量を吐いたときは、もう1回分飲ませて下さい。30分以上経っている場合お薬はほとんど吸収されているので、そのまま様子を見ましょう。
 坐薬を入れて10分以内に出たときには、もう1回入れなおします。10 分以上経っていて、出てきたものが無形状の場合は、既にお薬は、吸収されている可能性もあります。そのまま入れ直さず様子をみましょう。



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