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視聴済み1000作品から推し映画を選ぶ Part.10 スポーツ・競技ドラマ編

ハナ 奇跡の46日間

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1991年に日本で開催された卓球の世界選手権で、韓国と北朝鮮が史上初めて統一チームで参加した実話をベースに描く感動のスポーツ・ドラマ。

 スポーツに国境はない。絆に国境はない。それを信じさせてくれる作品でした。そして、朝鮮半島の情勢について前知識が無くても肩肘張らずに楽しめるスポ根エンタメムービーでもあります。

 南北合同チームを結成しても政治的な事情で引き裂かれそうになる中で、国境を超えた人と人同士の心の繋がりで、それを乗り越える姿がめちゃくちゃ熱い。

 また、「愛の不時着」のような両国のギャップあるあるコメディや、日本の「スウィング・ガールズ」の様なドタバタ展開もあるので気楽に見ることができます。

 そして、その中で選手同士の友情や恋、強豪の中国に一丸となって挑む姿が少年漫画的に熱く描かれていたのが良かったです。熱血な韓国代表とクールな北朝鮮代表バディの関係性も分かりやすくて良きでした。

 歴史や政治、国境など変えられないものを変えられるチカラが私たちの身近なところにあるのではないか。かつて本当にあったお隣の国での出来事。こちらは多くの人に見て欲しい作品のひとつです。

3月のライオン 全編/後編

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深い孤独を抱えてすがりつくように将棋を指し続けていたある日、零は近隣の町に住む川本家の3姉妹と出会い、彼女たちとのにぎやかな食卓に居場所を見出していく。温かな支えを胸に、闘いへと飛び込む零。若手NO.1を決める新人戦、最高峰を決める師子王戦― それは、様々な人生を背負った棋士たちが、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける壮絶な闘いだった。

 羽海野チカによる漫画原作を映像化した作品。将棋に詳しくなくても緊迫感のある対局の表現に手に汗握りましたし、勝負に至る人間ドラマがメインなので全く将棋のルールを知らない人でも楽しめる一本になっています。

 また、この映画で魅力的なのが棋士だけでなく、彼らを取り巻く人たちのそれぞれの生活の中にある葛藤にもフォーカスが当てられているところ。神木隆之介くん演じる主人公が居候する3姉妹もそれぞれに悩みを抱えているのですが、彼と生活することで乗り越えられるものがあったりと、お互いに影響し合いながら変わっていく様が美しかったです。

 染谷将太さん、有村架純さん、佐々木蔵之介、高橋一生さんなど脇を固める俳優陣も非常に豪華で、役にハマっていたのも見どころのひとつでした。

しあわせの隠れ場所

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一度はホームレスになるなど過酷な少年時代を過ごしながらも、ある家族との出会いによって自らの才能を開花させ、ドラフト1巡目指名でNFLデビューを飾ったマイケル・オアー選手の感動の実話をサンドラ・ブロック主演で映画化。

 ざっくり言うと、めちゃくちゃ心が洗われる映画です。スポーツの熱さよりも、人の出逢いによって心も状況も変わっていく過程を描いたハートウォーミングなヒューマンドラマ。お涙頂戴映画にありがちなとことん暗いシーンを描くというのものほどんど無いため、ひねくれ者の私でも素直に感動することができました(笑)

 主人公のマイケル(お笑い芸人のアントニーさんに似ている)はリー・アンという主婦に偶然出会うことでアメフトの才能を開花させていくのですが、周りからの偏見に物怖じしないリー・アンが壁を取っ払っていく肝っ玉母ちゃんっぷりが見ていて気持ちよかったです。

 そして、この作品は主人公の成長だけでなく、一緒に暮らす子たちの葛藤や成長も描かれていたのが良かったです。年頃の子が大きな男の人と一緒に暮らすことへの抵抗に対して母が向き合う場面もありました。家族がみんなユニークなのもいいですね。

響 -HIBIKI-

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スマートフォン・SNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況の文学界。そこに現れた一人の天才少女、彼女の名は『響』(平手友梨奈)。15歳の彼女の小説は、圧倒的かつ絶対的な才能を感じさせるもので、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。

 こちらはスポーツや競技では無い文学界のお話ですが、スポ根に引けを取らない熱さを持った作品となっています。

 特に本作で平手友梨奈さん演じる、見た目はクールで中身は熱い主人公の響の”我を貫くヒロイン像”が新鮮で格好良かったです。常識まみれの大人たちに対してペンの実力とブレないハートをもって正論と暴力(草)を突き付けていく姿が印象的でした。

 ”本は世に出た時点で作者だけのモノでは無くなり、かつ、売れる・売れないではなく、それを面白いと思う人がいることに価値がある”という響の熱い信念には胸を打たれました。

蜜蜂と遠雷

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 「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」というジンクスをもち、近年高い注目を浴びる芳ヶ江(よしがえ)国際ピアノコンクール。ピアノの天才達が集うこのコンクールの予選会に、若き4人のピアニストが現れる。7年前の突然の失踪から再起を目指す元・天才少女、英伝亜夜(松岡茉優)。“生活者の音楽”を掲げ、最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石(松坂桃李)。人気実力を兼ね備えた優勝大本命、マサル(森崎ウィン)。今は亡き“ピアノの神”からの「推薦状」を持つ謎の少年、風間塵(鈴鹿央士)。熱い“戦い”を経て、互いに刺激し合い、葛藤し、成長を遂げ<覚醒>していく4人―。その先に待ち受ける運命とは。

 あらすじを読むとスポ根のライバルストーリーに思えますが、こちらの作品はキャラクターの内なる想いや過去との向き合い方にフォーカスした内省的な作品になっています。

 とは言え決して暗い映画ではありません。語りはミニマムな表現を用いながらも、感情や音楽の切り取り方がとても繊細で芸術的で、映像と音楽で魅せるタイプの作品になっていました。

 そして、個人的な趣味になってしまいますが、松岡茉優さんの演技が素晴らしい。彼女にしては珍しい控えめな性格の役ではありますが、ピアノに向き合う時に豹変する仕草や表情の振り幅の演技が凄まじかったです。

泣き虫しょったんの奇跡

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26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。小学生のころから将棋一筋で生きてきたしょったんこと瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかりあっけなく断たれた。将棋と縁を切りサラリーマンとして暮らしていたしょったんは、アマ名人になっていた親友の悠野ら周囲の人々に支えられ、将棋を再開することに。プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。「やっぱり、プロになりたい―」。35歳、しょったんの人生を賭けた二度目の挑戦が始まる――。

 実話に基づいてることも納得。主人公しょったんが26歳まで将棋一本でやってきた結果ダメになってしまった後の自己否定っぷりがリアルでした。でもこの作品で描いているのは、そこから一念発起する姿。

 人生ムダなことは無い、失敗も成功の過程だという言葉を体現するかのように、しょったんの将棋好きの原体験や出会ってきた人たち、会社員の時の生活すらも夢の原動力として全て帰結するところがドラマチックだなと思いました。

 好きなことをしていてどうしても乗り越えられない壁にぶつかって落ち込んでる人に見て欲しい作品です。

ウォーターボーイズ

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“男のシンクロナイズド・スイミング”をテーマに描くスポ根青春コメディ。部員が高校3年生の鈴木ひとりという廃部目前の唯野高校水泳部。そこへ突如やってきたのは若くて美しい女性教師・佐久間。それを知った男子たちはこぞって入部するが、佐久間先生はなんと“シンクロをやる”と言い出す。これにはさすがの男子たちもあっという間に逃げていった。逃げ切れなかったのは鈴木を含め落ちこぼれの5人。仕方なくシンクロの練習を始めるが……。

 夏に見たくなる映画No.1作品と言えばこちらのウォーターボーイズ。ドラマ版も好きですが、この映画版も面白さが簡潔にギュッと詰まっているので良いです。

 キッカケは何でもいいから一つのことに熱中して気づいたら仲間と大切なことを成し遂げている。これぞ熱い青春スポ根ムービーのお手本です。誰も悪い人が出てこずに、大団円で終わるハッピーエンドも良いですよね。

 そして、何よりもコメディ色が強いので肩肘張らずに観れちゃうところが矢口史靖作品の醍醐味だと思います。

 

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