[詩]Sandwich man in London
ロンドンの朝は忙しない
誰もが夢見るアーバンライフ
その実リッチはカントリーサイドで排気ガスまみれの公園を逃れる
長い冬を耐え忍んで迎えた輝く光をまとった短い夏の日々
乾いた空気を身に纏ってい強い日差しに目を細めて
タンクトップとショートパンツに身を包んだティーンが通りゆく
ロンドナーには質の良い筋肉がさりげないボーイフレンド
そこの区画で買った30ポンドのビンジテージのシャツを着て
くすんだブロンドヘアが無造作さを残しながら毛先を落とす
あれがしたい
これがほしい
もっともっとしたい
ガイドブックを片手に地下鉄の駅前にあつまる団体観光客
ここ辺りも随分目をつけられた
10ポンドの花柄のトップスとなんでもないジーンズとパンプスをつっかけ
バスを降りる
かりそめの優越感に浸るも
都市に群がる異邦人であることに変わりない
Could I have a 🥪?
Which one?
あっ、this one.
….
近頃通りしなに見つけたサードプレイス
無言はOKの合図
軽蔑にまで思えるそのコミュニケーションに潜んだ
その瞳の奥の温かさを感じとってしまう
みな目を背けているのは
容易いということ
押したら引いて引いたら押して
そうやって勘付くとすぐに機嫌を損ねる
やはり困難なのだと
必死に演じるのだが
しょうがない
しょうがないものは
しょうがない
諦めてもう一度機嫌を取る
今度ははっきりとした口調で
Can I have the sandwich?
0.1秒もしないで彼女はYesと言う
何かを得るには
何かを捨てなければならない
大嫌いな言葉なのだが
やはり真理なのかもしれない
私は何度でも覆す
グレーの瞳を見つめているとまるでかつて
帰りしな無作為な会話をして別れる
クラスメイトだったように思えてくる
もう少しで本当に仲良くなれた
Thanks.
今日いよいよ
そう言って1秒かけて目を離すことができた
いつになったら動悸がしないのだろう
どうせできるようになるのに
やれやれ本当にかまってちゃんだ
完璧はあるけど完璧はない
その時はやはり
やれやれと言うしかない
正しすぎるサンドウィッチというのも
疲れるものである
私はロンドンの少し不服が残るサンドウィッチも
大好きなのである
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