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サトウでもスズキでもなくハヤシ@日本橋 MARUZEN CAFE

ハヤシライスって、なんでハヤシなんだっけ?


誰もが一度は疑問に思ったことがあるはず。
でも私たちの日々は、「今日の夜ご飯は?」「プレゼン資料どうしよう」「明日は洗濯物干せるかな」、、、と頭の中が他の問いで埋め尽くされている。
それらの問いと比べると、だいぶ優先順位が低いことは間違いないだろう。
でも、そんな問いの優先順位を一番に持ってきてみたい。

料理というのは特許が無く人類共有知なのでもちろん諸説ある。その中で今回は、発案した人が「ハヤシさんだから」、という一度はどこかで聞いたような気がする説を確かめに行くことにした。


そのハヤシさんは丸善の創業者。そう、あの本屋さんの丸善。
日本橋の目貫通りに丸善の大きな店舗がある。
その3階にカフェがあり、そちらで元祖のハヤシライスをいただけるよう。早速、日本橋の丸善へ。

3階という立地からか、お休みの日のお昼時でも意外とスムーズに入れた。
普段は優柔不断を存分に発揮してメニューをいつまでも眺めてしまうけれど、今日の私は一味違うのだ。
お水を持ってきてくれた店員さんに、迷わずハヤシライスを頼んだ。

出てきたハヤシライスは、思ったより濃い色。
でも、ここのルーは割とサラサラ。
いただくと、美味しいけれど一瞬びっくり。想像以上に大人な味だから。
私の頭の中にあるハヤシライスは、ハウスのルーで作る、もう少し赤っぽくてカレーみたいにとろみのあるルーだった。

ベースとなる味は、デミグラスソース。ワインなのか香辛料なのかわからないけれど、本当に「西洋」からやってきた味がする。
海外のチョコレートを食べた時の違和感に近いものがある。
良い意味で、普段は食べないオシャレな味わいがする。(雰囲気がオシャレなお店の味も、私たちの普通に美味しいの範疇に収まる場合がほとんど)
この新鮮さがあるからこそ、当時からどの程度レシピを変えているのかはわからないけれど、明治時代の人からしたらもっともっと驚きの味だっただろうなと思いを馳せることができた。

ここで思ったのは、マッシュルームって、ハヤシライスでしか食べない説。大人になって、オシャレなお店にも行くようになって、マッシュルームのサラダとか、スペイン料理の鉄板焼とか、食べる機会は増えた。
でも、やっぱりマッシュルームの最も代表的な食べ方はハヤシライスだと思う。
私にとって、マッシュルームの無いハヤシライスはハヤシライス風ご飯。もはや、私はマッシュルームを食べたくてハヤシライスを食べていたのでは。そして、普段は食卓にのぼることの無い君がいたからこそ、ハヤシライスという料理は家で作っても給食であっても特別な気持ちにさせてくれる料理だったのだなと。
マッシュルーム(そして母・給食のおばちゃん)、ありがとう。

ちなみに、苗字+ライスで他にもしっくりくるお名前が無いか考えたのだけれど、意外とハヤシほどしっくり来るものがない。
ちなみに日本人の苗字ランキング、1位は佐藤、2位は鈴木。
サトウライス、スズキライス、、、
と想像して気がついたのは、サトウライスはハヤシライスより後に、別モノとして世の中に誕生している。ご飯を炊く時間が無い時の救世主。
私の名前でも妄想してみたけれど、これはどうも美味しくなさそうで、もし同じ苗字の人が発案者だったら別の名前の料理になっていたことは容易に想像がつく。

日々新しい料理・レシピが生み出されている世の中ですが、新たな「苗字+ライス」が開発される日は来るのでしょうか。

早矢仕有的ライス、美味しかったです。ご馳走様でした。


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