二度目の一人暮らし

2020年の春、私は高校を卒業し施設を退所した
一人暮らしを始めるにあったって、少しの不安もありながら
晴れて自由の身になることに期待と望みを抱いて松山に赴いた
家電を揃え、家具を設置し、『さぁ、この社会を謳歌しよう』そんな気持ちだった
なのにどうして人生最悪の日々になってしまったのか

バイトを始め、勉学と両立するはずだった
だけどそれは私には困難だった
たった5時間の労働でも私は極度に疲れた
家に帰っては布団に逃げ、どこからともなく憂鬱な気持ちになって
仕事以外では外に出ることが出来なくなった
勉学は文字を読むのも億劫になり、テキストを開くことなんてなかった
Macbookを購入したのに全く学習に時間を費やせなかった
かといってゲームや遊びに没頭していたわけではなく
ただ鬱々とした気分だけが私を襲った
そして時間だけが過ぎていって全く生き心地が悪かった
塵は溜まり、部屋は散々で新品のスーツは埃だらけでカビも生えていた
そんな状況を改善しようともせず、ただ私は私の愚かさや怠さに嫌悪感を覚えた
何も出来ない自分を責めた
葛藤した
この体たらくな人生に終止符を打ちたかった
でも結局は何も出来ないままだった
希死念慮も私を苦しめた
只々辛かった
この社会がダメだとか、自分の置かれている状況が悪いとか
そんな話ではなかった
この意識に反する脳に私は苦しめられた
原因を見つけようにも見つからなかった
考える能力も奪われて生きる廃人と化した
そして助けを求めるように京都に赴くのであった

21歳の私は少し自分のことが分かった気がした
どうして私は苦しんでいるのか
その答えが見えてきた
私は遺伝的な要因で不可抗力が働いているという結論に至った

人生で二度目の一人暮らしを始めた
家電を揃え、家具を設置し、『さぁ、この可笑しな脳を謳歌しよう』
もう孤独で憂鬱な夜を迎えないように
私は私をこれからは大切にする





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?