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花のいのちはみじかくて

風も吹くなり 雲も光るなり

生きてゐる幸福しあわせは 波間なみまかもめのごとく漂渺ひょうびょうとたゞよひ

生きてゐる幸福しあわせは あなたも知ってゐる 私もよく知ってゐる

花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かれど

風も吹くなり 雲も光るなり
林芙美子さんの詩より


祖父母の家の床の間に、額に入れて飾られていた詩です。
私はこの詩が好きなのですが、小さい頃はその言葉の意味は分かりませんでした。


高校生になって、ようやくこの詩に込められた想いを理解できたとき、自然と涙がこぼれてきました。


「命」について本当に考えさせられた高校時代、交通事故や大病、陰湿なイジメを経験して心が疲弊していたあの頃。



この詩の意味を知って、涙と共に心がすごく楽になっていくのを感じたのです。


世界を見渡せば、いくらでも自然を肌で感じ、美しい風景があるのに、下ばかり向いていた。「生きている」という事は、それだけでこんなにも尊くて幸せなことなのに・・・


悲しい事や苦しい事ばかりに目を向けてしまっていて、そんな「当たり前のこと」を考えもせずに自分から目を背けていた・・・


私は「波間のかもめ」のように、目もうつろで自分に自信を無くし、何をするにもふらふらと気持ちが上向かない・・・でもそれは間違いだった。


誰も皆、苦しみや悲しみを抱えて、それでも日々小さいながらも幸せがあって、それを力に生きているんだ。


今の私は苦しい時や悲しい出来事があったときは、「いつか心地良い風は吹き、雲の切れ間から陽光は差す」と信じて日々過ごしています。


花のいのちはみじかくて 苦しきことのみ多かれど
風も吹くなり 雲も光るなり

城山観光ホテル 林芙美子文学碑

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