ユリ科

#10行で書く→Instagram投稿から始まったエッセイシリーズ。印象に残ったことに…

ユリ科

#10行で書く→Instagram投稿から始まったエッセイシリーズ。印象に残ったことについて250字以内で書きます。~~ #暮らすくらっぷ→身の回りで起きた出来事から社会や暮らし、人との関わりについて考えるエッセイシリーズ。すこしながめ、読み心地はかるめ!

記事一覧

学校の売店

学校にある小さい売店ではおにぎりやパンがコンビニの半額くらいで買える。お金がないので最近は本当に毎日お世話になっていて、1日2回買いに行く日もある。 とうとうレジ…

ユリ科
10か月前

甘いのとしょっぱいの

毎回一緒にバイトに入っていた子が今月いっぱいで退職する。私の心は半べそかいている。 「これからのことも応援してます」と言われ、彼女と話した時間が思った以上に高く…

ユリ科
10か月前

運をつかむための実力

1年ほど前、知り合いの監督からドラマのメイキング撮影を頼まれた。ウキウキで引き受けたが実務経験がないため他のスタッフに断られてしまった。悶々としていたときコロナ…

ユリ科
10か月前

私をモノにたとえると

「アボカドのようなディレクターになりたいです」 私のリーダーシップは決して力強くない。けれどその柔らかさが私の持ち味で、そうしていろいろな人と混ざり合い、皆の個…

ユリ科
10か月前
1

一人暮らし

管理会社に退去の連絡をした。一人暮らしを始めてもうすぐ2年になる。 「短い期間でしたがありがとうございました」 管理会社の方にそう言われて、短いのかと思った。契約…

ユリ科
10か月前
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祖母と夏みかん

私は都会人だ。もうこれは紛れもない事実だ。けれども私の内側にはいろんな環境で耕された畑がある。夏みかんを豪快に剥ける自分の中に、田舎の祖父母の家で過ごした時間が…

ユリ科
10か月前
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学校の売店

学校の売店

学校にある小さい売店ではおにぎりやパンがコンビニの半額くらいで買える。お金がないので最近は本当に毎日お世話になっていて、1日2回買いに行く日もある。
とうとうレジのオバチャンに顔を覚えられたようで、今日なんか食い気味に「PayPayで?」と聞かれてしまった。
毎回菓子パンかおにぎりしか買わないので健康面をちょっと気にかけてくれているような気がする。気がするだけだけど、これからも通おうと思ってる。

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甘いのとしょっぱいの

甘いのとしょっぱいの

毎回一緒にバイトに入っていた子が今月いっぱいで退職する。私の心は半べそかいている。
「これからのことも応援してます」と言われ、彼女と話した時間が思った以上に高く積み上がっていたことに気がつく。
理不尽なことで謝らなきゃいけなかった時、「甘いのとしょっぱいのどっちがいいですか」と2つのお菓子を差し出された。たしかもう一つはサラダ味のじゃがりこ。
最後に出勤が被った日、彼女の席に"甘いの"が置いてあっ

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運をつかむための実力

運をつかむための実力

1年ほど前、知り合いの監督からドラマのメイキング撮影を頼まれた。ウキウキで引き受けたが実務経験がないため他のスタッフに断られてしまった。悶々としていたときコロナに罹った。
療養明けに思ったことを書いた。「運をつかむための実力」次こそはチャンスを物にしよう、日頃から努力を怠らないようにしようと、その言葉を頭に焼き付けた。
今年就活をしてわかった。世の中やっぱり運だった。どれだけ準備してもどうにもなら

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私をモノにたとえると

私をモノにたとえると

「アボカドのようなディレクターになりたいです」
私のリーダーシップは決して力強くない。けれどその柔らかさが私の持ち味で、そうしていろいろな人と混ざり合い、皆の個性を引き出すのが私ならではのやり方だ。
ただ柔らかいだけではない。真ん中には自分の覚悟や信念という種がしっかりある。
アボカドは植えるとまっすぐに芽を伸ばす。私も柔らかいリーダーシップと揺らがない覚悟で、まっすぐに社会や人々に向き合っていき

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一人暮らし

一人暮らし

管理会社に退去の連絡をした。一人暮らしを始めてもうすぐ2年になる。
「短い期間でしたがありがとうございました」
管理会社の方にそう言われて、短いのかと思った。契約期間でいうとそうかもしれないが、私は途方もない距離を歩いてきてしまったと思う。2年前の自分など正直思い出したくもない。けれどその恥ずかしい日々のおかげで、今の"それなりに愛せそう"な自分ができている。来月で23歳。自分が大人であると実感す

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祖母と夏みかん

祖母と夏みかん

私は都会人だ。もうこれは紛れもない事実だ。けれども私の内側にはいろんな環境で耕された畑がある。夏みかんを豪快に剥ける自分の中に、田舎の祖父母の家で過ごした時間がちゃんとある。
剥いた夏みかんは祖母にほとんどあげた。87歳になった彼女は最近認知症の傾向が見られるようになった。5分に1度は「ななじゅーはちだら?」とサバを読む。忘れることは悲しいことかもしれないが、同じ事実に何度も感動できるのは楽しいか

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