「いってらっしゃい」に込められた気持ち
時差8時間のやり取りは、一言で言うとカオスだ。
朝起きて「おはよう」と連絡する頃には、彼が暮らすスペインは深夜だし
向こうから「おはよう」と連絡が来る頃には、
こちらはすっかり日が暮れている。
そんな時差の中、意外と便利だなあと思うのが
“Have a good day!” 。
いわゆる「良い1日を!」という言葉。
送る時間によって
day が afternoon や evening、night に変わったりするけれど、
時差があっても使い勝手が良いから、お互いよく使っている。
彼がどう思って使っているかは知らないけれど、
私個人としては、同じ時間帯に暮らしていなくても、
相手がいい時間を過ごせたらいいな、と
そんな気持ちが込められる気がして、好きなフレーズだ。
この、“Have a good ●●”という表現、
いつも、日本語だとどういえばしっくりくるのかなあ、と思う。
「良い●●を!」は、使えなくはないけれど
そこまで馴染んだ響きではないので
しっくりくるか、と言われたらそうでもない。
「楽しんできてね!」も、ニュアンスは近いけれどちょっと違うような。
でも最近、
「いってらっしゃい!」に、実は近い意味が込められているんじゃない?と
ふと気づいた。
「いってらっしゃい」をどう訳すかは色々な意見があると思うけれど
「相手が出かけた先で良い時間を過ごせるように」と願う気持ちが、
「いってらっしゃい」に繋がっているのだとすると
「いい時間を過ごしてね!」という意味合いには近い気がする。
実は、このことに気づいたのは、彼のとある一言がきっかけだった。
電話している時に、ちょうど家族が出かけるというので
「あ、出かけるのね、いってらっしゃい!」と声をかけると
「なんて言ったの?どういう意味?」と聞かれたのだ。
誰かが出かける時にかける言葉だよ、と説明しながら、
もしかして「いってらっしゃい」って、
ある意味、日本風の“Have a good ●●!”なのかも、と思ったのである。
響きが面白いと思ったのか、込められている意味を良いと思ったのか
理由はよくわからないけれど
これから仕事行くね、とか、これから出かけるね、と伝えると
たまに「いってらっしゃい!」と返ってくるようになった。
普段はお互い第二言語でやりとりしているからこそ、
自分の母語の中で、相手に通じることばが
こうやって少しずつ増えていくのって嬉しいなあと
改めて思ったのだった。
ちなみに、最初は勢い余ったのか
「いってっらっしゃい!」と送られてきて
思わずクスッと笑ってしまったことは、彼には内緒だ。
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