物語がある服を着る



物語がある服が、好きだ。

物語、というのは

例えば、その服がどんな道のりを経て
私の元へやってきたか、とか。

その服を店頭で手に取ったときや、
買うと決めたときの気持ち、とか。

あとは、その服を着たときに巡り合ったできごとも、
大切な物語の一つ。



これは、転職もするし、いったん少し洋服も整理しようか、と
この夏、クローゼットを見返している中で、改めて気づいたこと。

一着一着、手に取って、
手元に残すか、お譲りに出すか、
はたまたリサイクルに回すか、と
あれこれ考えていたのだけれど

どうして買ったんだっけ?とか、
誰からもらったんだっけ?とか。
あとは、あの時に着て行ったなあ、とか。

それぞれの服にまつわる物語を、
自分がちゃんと覚えていたのだ。



「とりあえず買っておくか」という買い物を
なるべくやめるように心がけていたのだけれど、

その結果、こうして思い入れのある服が
ちゃんと手元に残るようになったのは、嬉しいことだなと思う。



たとえば、母から譲ってもらった、
ローラアシュレイの花柄のワンピース。

母が学生の頃に、祖母と街を歩いていて、
通りかかったショーウィンドウで、親子ともども一目惚れ。

そんなご縁で、我が家にやってきてから、かれこれ30年。
母から私へ受け継がれて、現在もバリバリ現役第一線である。


ちなみに、裾には、いくつか目立たないように繕った跡がある。

祖母いわく、どうやら母が着ていた頃に、
自転車に引っ掛けたり、うっかりヒールで踏んだりして破いたことがあり、
その度に祖母が繕っていたのだそう。

私も、かろうじて未遂ながら、
思い当たる節はたくさんあったので(笑)
親子なんだなあ、なんて思わず笑ってしまったのだけれど。

そんな歴史も含めて、愛おしい一着。



それから、友人が作ってくれたワンピース。

「この前誕生日でしょ?」と
さらっと渡されたプレゼントにも驚いたというのに

それが手作りのワンピースで、
おまけに一度も採寸していないのに、
なぜかサイズがぴったりときた。

袖を通した時の、
驚きや嬉しさや、ワクワクした気持ちは
今でも忘れられない。


通りがかりに、見知らぬマダムに
「それ素敵ね!」と褒めてもらったのも、
この洋服にまつわる良い思い出。



最近買ったものだと、薄い黄色の半袖ニットがある。

レースの透け感が絶妙で、
袖丈も短すぎず長すぎずで、とっても理想的。

何より、試着した時のときめきよ。
キュンを超えて、もはやギュン!という感じ。

いつもの買い物よりもお高めだったので少し迷ったが
えいや!と勢いで購入するに至った。

思い切ったお買い物だったこともあり
この洋服が似合う人になるぞ!と気合を入れて袖を通している。

肩肘張らずに着られる服も素敵だけど、
着ていると気合が入る服っていうのも、良いなあ。



個々にさまざまな物語を持つ服が並ぶクローゼットを前に
今日は何を着ようかな、と考える時間は、

今日はどんな物語に出会えるかな?という
ワクワクとときめきに満ちていて。




これだから私は、
洋服が、ファッションが好きなのだ。


#ファッションが好き

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