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JFL昇格を懸けた大会(地決)を観戦しに京都から滋賀まで行った話

先日、全国地域サッカーチャンピオンズリーグの観戦に行ってきました。

最初に補足しておくと『全国地域サッカーチャンピオンズリーグ』とは、毎月11月頃に数日かけて行われる大会のことです。この大会の優勝チームはJFL自動昇格権、2位のチームは入れ替え戦への挑戦権を得ます。そのため、Jリーグ参入を目指しているクラブにとっては、この大会を勝ち上がることが一つの大きなハードルになります。

そんな「命懸け」とも言える試合をその目で見てきたので、その感想をここに書いてみようと思います。

私と地決

まずは簡単に私のプロフィールから紹介させてください。

私は現在23歳の新卒社会人です。大学時代は愛知県にある「中京大学」という学校のサッカー部に所属しており、4年間マネージャーとしてサッカーと共に過ごしてきました。

大学時代のマネージャー仕事をしている時の私

サッカーがある日々が当たり前だった私にとって、社会人になってサッカーと離れたことで少なからずの寂しさがありました。そんな私は会社の社長の勧めもあり、週末にはJリーグや地域リーグのサッカーを観に行くようになりました。

現在は京都市に住んでいるので、一番近くの「京都サンガF.C.(J1)」や、ちょっと電車に乗って滋賀県の「レイラック滋賀(JFL)」の試合など幅広いカテゴリーの試合を見てきました。今までは『大学サッカーのマネージャー』という立場からしかサッカーを見られていませんでしたが、Jリーグから地域リーグまで色々なサッカーに触れられたことは私にとって大きな学びになりました。

そんな私は現在、会社の仕事の一業務として「アスリートのセカンドキャリア支援」に関わることが増えてきました。仕事をこなす上で『サッカー選手とセカンドキャリア』は切りたくても切り離すことができません。もっと言うと、大学時代のマネージャーの時にもキャリアの終わりになってしまう選手たちを大勢見送ってきました。

全国地域サッカーチャンピオンズリーグは、勝てば天国・負ければ地獄の大会で、ここで負けてしまうと残念ながらサッカー選手としての道を諦めてセカンドキャリアについてを考えていかなければいけない選手も少なからず出てきます。

セカンドキャリア支援に関わるものとして、キャリアの終わりになってしまう人がいるかもしれない瞬間をその目できちんと見ておかなければいけない。これをサボるべきではない、2日目2試合試合を見て、この予選の最後を見届けたい。そう思って片道2時間の電車に飛び乗りました。

試合を観て

「(もしかしたら失敗したかもな)」というのが電車に乗ってすぐの素直な気持ちでした。

朝から会議があったので服装も仕事用、防寒着もなければサッカー観戦に必要なグッズも何も持ってきていませんでした。駅のホームで「(やっぱり行かないでおこうか…)」と5分近く立ち止まって考え、結局自分の欲に負けて電車に飛び乗ってしまいましたが、外は大寒波でとにかく寒い。ここまでの道のりは最悪でした。

ただ会場に着いてからは、そんな感情は全て消えました。

どんな試合もそうですが、3日で3連戦という大学サッカーでもそうそうないようなハードスケジュール。さらにリーグ戦とは違う負けたら終わりの一発勝負。大学マネージャー時代のトーナメントの試合の緊張感を思い出しました。「勝って欲しい」という願いと、それに試合がどうなるかという緊張感。1つ1つのプレーに釘付けになりました。

特に3日目、『福井ユナイテッド vs ジョイフル本田つくばFC』の試合は心動かされる試合でした。今回noteを書こうと思ったのもそれを残したいと思ったからです。ジョイフル本田つくばFCは引き分け以上で決定。福井ユナイテッドは勝利以外は決勝ラウンド進出を決めることができないような状況でした。

私は、地決の2日目と3日目を見に行ったのですが、2日目に初めて見た時から福井ユナイテッド19番の阿野 真拓選手(東京ベルディから育成型期限付き移籍中)のプレーにはくぎ付けでした。身長160cmという小柄な体系ながらも独特なボールタッチから相手を交わし、チャンスを作り、シュートを決める。2日目に決めていたシュートは見惚れるものがありました。

サッカーの内容をみたら疲労感が見えるような試合でした。プレースピードや、一歩の踏ん張り、ドリブルの仕掛け方。普段のプレーを見ていなくても、身体が重そうな感覚が見ていてもわかりました。その中でチームとしてお互いを高めあえるようなチームや、チーム内でコミュニケーションが取りあえるチームが、地決を勝っていくんだなと思いました。

結果は1-1のドロー。最終盤の後半アディショナルタイムに福井が追いつく形で試合が終わりました。福井が後半に追いついた時は特に、入りそうで、入らない。けど入る。どうなるんだろう。最後まで分からない。何が起こるんだろう。と心臓がバクバクしていました。結果は引き分けで、その瞬間にジョイフル本田つくばFCの決勝トーナメント進出が確定。

その結果を受けて、福井ユナイテッドの今年のJFL昇格の夢が途絶えました。先に進めるチームと、道が途絶えたチーム。同じグラウンドで、色々な感情が混じり合う時間。なんとも言えない空気感が会場に漂っていました。

昇格をかけた状況でもすべてを懸けて最後まで走り抜こうとする選手たちの姿に心動かされるものがあり、その時間を、その感情を少しでも味わうことができる、ここにしかないモノを感じられる。こんな気持ちになれるサッカーが改めて好きだなと思いました。

それと同時に、自分はその第1線からは、離れたのだと、強く実感しました。スタジアムの観戦席と、ピッチとの距離。見える世界の高さの違い。

高校生の頃に感じた距離感と、同じ距離。それでもサッカーを見たいと思う、そんな好きだと思えるものがあるって、幸せだなと思いましたし、好きにさせてくれた4年間に感謝しかありません。

けどこの距離から見るサッカーもやっぱり好きなものには変わりないなと、実感しました。

私もこれから仕事でサッカー選手のセカンドキャリア支援に関わる仕事をしていく機会も増えていくかと思いますが、こうして全力を尽くして戦ってきた選手たちの次なるキャリアを支援することができる仕事が少しだけ誇らしくなりました。

電車に乗るか迷ったホームで、自分の感情に任せて電車に飛び乗った自分を褒めてあげたいです。それと同時に、サッカーというスポーツに熱狂して、喜び、涙する人たちの感情を少しずつ理解できるようになったことが嬉しいです。

これからもサッカーというスポーツの魅力を、もっともっと知っていきたいなと思いました。

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