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ピアノコンクールの待ち時間には、子供にルービックキューブを持たせよう

先々週末は、息子のピアノコンクールだったので、忘れない内に今回の顛末を文章に残しておきます。

青少年が参加する日本のピアノコンクールといえば、有名なのはやっぱりピテ○ナですかね。
ドイツでも調べれば色々あるんでしょうが、ピアノに限らない青少年のための音楽コンクールと言えば、やはりJugend musiziertでしょうか。参加年齢は、募集要項によれば7歳から21歳まで可能、12歳以上の年齢クラスには州・全国大会もあります。

ウチは元からピアノガチ勢ではないので、州大会に進みたいといった野望もなく、そもそも今年は参加すらしないだろうなあと思っていたら、本人が「参加するよ、当然!」というスタンスだったので、やる気があるんだかないんだかよく分からないまま、母(私の事です)は地区大会に申し込んだのでした。

息子の年齢カテゴリーでは、演奏時間10~15分で少なくとも異なる時代に作られた曲三曲弾く事が条件だったので、先生と相談の上、曲を決定し、11月末あたりから準備を始めました。

練習やらプレ演奏会の話なんかをすると話がとても長くなるので、当日の話に絞りますが、母(私)の贔屓目で見ると、本番は落ち着いて、自宅で弾いている時より良い演奏が出来ていた気がします。審査員が四人と観客がいた割に、アガっている感じもしなかったし、スタインウェイのグランドピアノも、良い音出していたし。

ただ、これは完全に私のミスなんですが、3曲合わせた合計時間が微妙に10分に足らず、参加条件を満たすために、演目の内の一つをもう一度弾かなければいけない事態が発生してしまいました。

練習で合計時間をしっかり測っていなかったのと、そこら辺の細かい条件を先生に伝えていなかったツメの甘さが出てしまいました(※というポンコツエピソードからお察しの通り、ウチはガチ勢でもなんでもないです。ピ○ィナで全国を目指す母子のノリとは全然違います)。

と、まあ、予想外のトラブルが発生しつつも、一応全曲を最後まで弾ききって、あとは三時間後の講評まで自由時間となりました。

会場は、ウチから5km程離れたいわゆるトルコ人街にある音楽学校で、一旦帰ってもゆっくりできない中途半端な場所だったので、カフェやらモールやらで家族三人、時間を潰す事にしました。

が、外は雨だし寒いしで、時間が経つのがものっそ遅い( ;´Д`)。

待ち時間というものはいつでも長く感じられるものですが、本番が終わって疲れているからか、日本行きのエコノミーの狭い機内並に、時間の経過がゆっくりに感じられました。もしくは、精神と時の部屋の前で仲間の帰りを待つℤ戦士。

講評を頂く30分前に会場に戻ったはいいけれど、そこからまた30分くらいの遅れが生じ、18時半にようやく審査員の先生方とのご対面。
保護者も入室して構わないとの事で、車座になって講評を拝聴しました。

色々、貴重なお話が聞けたのですが、息子も私も気づかなかった事に、右手と左手のバランスがありました。左の鳴りが全体的に大きく、複数の先生が、この子は左利きでは?と思ったとの事(右利きです)。
でも、レッスン中に指摘された事はなかったな…。

そして、息子が先生方に今回のコンクールの感想を訊かれた時の返事を要約すると:

・自分はピアノをそこまで熱心にやっている訳ではないので、ソロでの参加は今回が最後だと思う。
同世代の子と比べ、自分が上手いか下手かという事に興味がない。自分は即興や作曲が好きで、将来は作曲家になりたいと思っているから、今後はそういう事をやっていきたい。

ちょ、おまwww
同年代の子と比べて上手いか下手かに興味がないって、年齢でカテゴリー分けして点数をつけるコンクールのシステムを全否定してはいまいか…?(^_^;)

この子はなんつー事を!とヒヤヒヤしつつも、でもよく考えてみたら、ピアノを弾くのは生涯を通して音楽を楽しむ為であって、コンクールで勝つ為ではない訳で、否定しているようで、実は本質を突いた発言なのでは?と思ったり。

すると、息子の発言を聞いた先生方全員が途端にザワつき、「あら、今回が最後なんて、そんなこと言わないで!」「次も参加しなきゃダメよ!」「作曲はしたいなら、他の楽器で参加したっていいし」「そうよそうよ!」とアツく勇気づけて頂き、いつも受け身でやる気のない息子がちょっと成長した瞬間を感じられた日でもあり、長い時間講評を待った甲斐があったなあと、しみじみ感じたのでした。

結果は、6段階評価の2で(1が最高位で、一部は州大会に進む)、ほぼ予想通り。こうして今年のコンクールはこれで終了したのですが、いつも同じ曲を練習しなければいけないというストレスがなくなった為か、息子は前よりピアノを弾いている時間が増えたし、ガチ・クラシック勢の会場の子達が誰一人として選んでいなかったラグタイムを、自分の得意分野にしたいという意識があるらしく、先週からジョップリンのエンターテイナーの自主練を始めた(その後、先生から次はこれをやりましょうと言われた)りして、ピアノを人生の友にする過程だけは、着実に歩んでいっている気がします。

蛇足:
ちなみに、講評を聞くまでの三時間半の待ち時間があまりにも手持ち無沙汰だったので、ショッピングモールの本屋でルービックキューブを買ってあげて、息子はコレをカラカラやりながら音楽学校の廊下で自分の番を待っていたのですが、欧州のピアノコンクールで妙に目立つアジア人男子がルービックキューブなど弄っていたら、どこのブルース・〇ウか亀井〇矢が現れた!?と周囲の人はムダに戦慄し、動揺し、警戒する事でせう。
第一印象で「このコ、メチャクチャ上手そう!」という参加者を、私も何人か見かけた(バッチリメイクの中国人ママと、黒いジャケットの角刈りの少年とか笑)のですが、結果を見たらそれは見事に外れていました。
まあ、こういう勝負事は、ハッタリも大事だって事で。

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