「さようなら、バイバイよ。」の謎

故・北杜夫大先生の小説に出てくる、キタ・モリオという名の三文作家の口癖、
「さようなら、バイバイよ。」
が子どもの頃から大好きで、腹を抱えてゲラゲラ笑っていた身としては極めて貴重な発見が、このほどあった。
それは、映画『007/ダイヤモンドは永遠に』(1971年、英米。ショーン・コネリー他)が、たまたまテレビで放送されていたのを見たときのことだ。
ジェームズ・ボンドと行動を共にしたためさんざん危険な目に遭ったボンド・ガールの人が、
「あなたにこれ以上つき合わされるのはごめんだわ!」
のような文句をひとクサレ垂れたあと、しめに一言、
「さようなら。バイバイよ!」
あーっ!
なるほど!!
これだったのか。
「バイバイよ」の「よ」は、いわゆる当時の「女性言葉」における「よ」だったのか。
さすが、小説『怪盗ジバコ』にジェームズ・ボンドを登場させたほど007好きであったと推測される北杜夫。
この映画のこのセリフに、なにかしら奇妙な感銘を受けたのに違いない。
……と、思って、ちょいと調べてみたところ。
あれ?
映画『007/ダイヤモンドは永遠に』よりも、北杜夫の(というよりはキタ・モリオの)、
「さようなら、バイバイよ。」
のほうが先ではないか!!
……ど、どういうことだ。
まさか、『ダイヤモンドは永遠に』の吹替え版の翻訳家が、キタ・モリオをパロったのか?!
むむむ……


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