漫画みたいな毎日。「ブルーベリー狩りにて。」
去年のブルーベリー摘み取りのお手伝いの様子はこちら。
今年も、友人家族と一緒に、摘み取りに出掛けた。
末娘は、まだ雪が積もっている時期から、「ブルーベリー狩りっていつなの?」と心待ちにしていた。とにかく、果物が好きな女子。
苺やブルーベリーは、苗や樹が低いので、小さな子どもも自分で手が届く楽しさがある。
男性たちは、狩猟本能?からか、黙々と摘み取りをする。
周囲の女性たちは、だいたいお喋りしながら。
「実が小ぶり。」
真剣に摘み取りをしていた長男が呟いた。
そう。今年のブルーベリーは小粒である。
摘んでも、摘んでも、籠にブルーベリーが溜まっていかない。
まぁ、自然の営みの中ではそういうこともある。長男も重々承知のことがらである。
長男は、摘み取りの一方で、ゴマダラカミキリムシを見つけては、自分の虫籠に入れいている。「ゴマダラカミキリムシ」の食性は、幼生から成虫まで果樹を食べる。その為、害虫とみなされる。しかし、それも人間側からの視点だ。とは言え、果樹園では、見つかれば害虫として駆除の対象なので、長男は「終生飼い」することにしたらしい。
「ゴマダラカミキリ居たよ~」と声をあげると、農園のどこからともなく長男が物凄い勢いで駆けつける。優秀な駆除業者さながらである。
さて、なかなか増えない摘み取ったブルーベリー。
去年の記録を調べてみたところ、5年日記に、
「35.6キロ摘み取り・7.1キロ持ち帰り」
うおぉぉ。なかなかの量だった!
末娘は、去年同様、黙々と食べている。籠の中にブルーベリーは入っていない。いや、正しくは、籠に入れても片っ端から食べているのである。
「お母さん、あの大きいのとって。」
ハイ・・・。
「もっと奥の方のアレ。それじゃない。」
ハイ・・・。
二男はというと、マイペースに休みつつ、摘み取りをしている。
適度に休み、適度に摘み取り。楽しく過ごしている。
そういう人がいると、必死になっている時に肩の力が抜ける。
〈そんなに必死にならなくても、いいかもね。〉そんな気持ちになる。
夫は、あちこちの樹をウロウロすることなく、一本の樹でじっくりと収穫している。
午後になって、夫が、「見て。あれ・・・。」と一株のブルーベリーの枝の奥を指さした。
え?何があるの??
近寄って、夫の指の向く先を見ると・・・
巣・・・・。
え?巣?!
そこには私の目の高さ位の場所に鳥の巣があるではないか。
しかも、住人?がいる!
ちいさなまだ目も見えていないくらいの雛が、巣の中で身体を寄せあってじっとしていた。
「なんか何処からか声がするなぁ、って思って。遠くの声が反響して聞こえてくるのかな?と最初は思っていたんだけど、なんか近くから聞こえるから、樹の根元を探して居ないなぁと思って、ふと目を上げたら、巣があった。」
・・・なんだ、この可愛さは。ぱやぱやの羽毛。まだ開ききらない目。
もぞもぞと動く様子。
そして、近づいてそっと覗き込んだときに、木の枝が揺れると・・・
ピィピィピィピィピ~ッ。
雛は四羽おり、一斉に口を開けた。
お母さんかお父さんが餌をもってきて、トンっと降り立ったと勘違いするのだろう。
私は心の中で、名前をつけた。
レモンちゃん
おもちちゃん
チョコちゃん
りんごちゃん
かこさとしさんの「からすのパンやさん」の子ガラスの名前である。この雛たちは、カラスではないだろうが、いいのだ。
子どもたちにも、「可愛ものをみつけたから、静かにきてごらん!」と声を掛け、巣のある樹に案内した。
「うわぁ~!!!!か、可愛い。」
末娘はつま先立ちして巣を覗き込む。
「可愛いねぇ・・・」何度も何度も覗き込む。
時々風で木の枝が揺れると、雛たちは空に向かって口を開けて、
ピピピピピピ!!!と鳴く。
餌が無いのに、口を開ける。
私の脳内では、漫画「動物のお医者さん」の中で、巣から落ちた百舌鳥の雛の面倒を見ているシーンが再生される。
これでしょ!!!!
トン、カパ、ピピピピピピ!!!
夫も、「実は、僕も、1回だけ、ついトンってしちゃったんだよね・・・。」と言っていた。
うん、したくなるよね。トンって。
長男が、この巣の行末を心配するので、農園の方に聞いてみたところ、
「明日は、この場所に摘み取りには入らないからそのままでも大丈夫だと思います。」とのこと。
それを聞いて、私たちは胸を撫で下ろした。
二男は、雛の様子をじーっと見ている。
そして、「なんて可愛いんだろう・・・ずーっと見ていられるよぅ。」と
嬉しそうに巣の中を静かに覗きこんでいる。
私は、思い出していた。
子どもたちが産まれたとき、夫が自分の腕に抱えた新生児をじーっと見ては、「ずーっと見ていられるよ。飽きないねぇ。」と言っていたことを。
夫は、二男のそんな姿をみながら、「そんなあなたが可愛いです、だよね。」と呟いた。
今日の摘み取りは20.4キロ。持ち帰りは4キロ。
量は去年より少ないが、少しでも農園のお手伝いになったのであれば、何よりである。
今日も暑い。
レモンちゃん、おもちちゃん、チョコちゃん、りんごちゃんは、親鳥から餌をたくさんもらえただろうか。
今は弱々しく思えている雛たちの巣立ちの日は、あっという間にやってくるのだ。無事に大きくなりますように。
そして、自然の中で、逞しく生き抜いて欲しい。
学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!