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どうぶつたちも、春を感じている。

夫が、講習を受けるため、三泊四日で東京に行くことになった。通常は夫が仕事で車を使っているので、平日に遠出はなかなかできない。車でないと行けない所に行こうよ!と、子どもたちからリクエストが上がる。この日は「動物園」。

一日目。昼に夫を高速バスのりばへと送り、そこから動物園へ。車であれば、自宅から15分もあればいけるのだが、バスや電車で行くとなると遠回りになるルートしかなく、1時間以上はかかる。それでも、行こう!と出かけることもあるのだが、大荷物での移動は、ちょっとした遠足のようになる。

動物園は既に庭のような感じで、長男も二男も園内マップがなくともだいたいの場所を把握している。「迷子になっても安心」というフレーズを聞くが、やぱり迷子は困ると思う。我が家の子どもたちは迷子になっても、〈どうにかなるでしょ。〉と思っている節がある。しかし、大人の方が様々な心配が頭をよぎる。心配・不安材料が思いつき過ぎるのがいけないのかもしれない。そんなことで、心配と不安がいっぱいになり、見つけた時に怒ってしまうのだと思う。二男はこの前、広くない家の中で迷子になった。これについては、別の機会に書きたいと思っている。

話を動物園に戻そう。

娘は「ゾウさん、キリンさん、カバさんに会いたい。あとね、アルマジロ。まるまらないアルマジロに会いたい。」のだそうだ。どのあたりが魅力なのか、そっと聞いてみたいと思ったりもするが、わざわざ理由を聞くのもなんだか違う気がするので、聞いたことがない。なんとなく好きだったり、なんとなく会いたかったりする気持ちっていいなと思うから。

長男のお目当ては「は虫類・両生類館」。ここで毎回、彼が何を観ているかというと「生き物たちの生育具合」なのだ。「あのアオダイショウ、この前より大きくなってた。良かった。」とか。一匹づつの状態をよ~く観察している。バックヤードツアーにも参加したことがあり、とても面白かったと話してくれた。展示されている生き物のお世話をしている環境にとても興味があるのだ。 

二男は「今日はマレーグマを見たいな~」とかその日によって目的が違う。熱帯鳥類館で何を見ているかと思ったら、「フラミンゴを数えたら、27羽いたよ!」とか、「マレーグマが正座していて、おじさんみたいだった~。」と。

視点が違うというのは、面白い。あたりまえのことなのかもしれないが、同じ親の遺伝子を受け継いでいるのに、三人三様。遺伝子の多様性に驚かされる。笑

この日は、いつもはあまり動きのない動物たちがよく活動していた。

ヨウスコウワニもアルダブラゾウガメもよく動いている。アルダブラゾウガメが動いているのを初めて見た。いつきても、石のようにじっとそこにいる。この日は軽快な足取りで歩きまわり、首を長く伸ばして、水場で水を飲んでいた。水を吸い上げると首がやわらかいストローのように、波打って飲み込む様子がわかる。

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カメ=のんびり、というイメージがある。私もずっとそう思っていた。家でカメを飼うまでは。我が家に居たクサガメは、飼育ケースの掃除中、何度もいなくなった。予想外に遠くまで歩いて逃げていくのだ。ある時は、探しても見つからず、諦めかけた頃に近所の人が「柳田さんのカメですか?うちの前にいました。」と届けてくれたこともあった。カメは素早い。うさぎが負けることもあると思う。いつか、ゾウガメに乗って移動してみたい。

近隣に動物園があってありがたいと思うのは、何度でも来られるということ。身近なので、慌ててまわることもなく、それぞれの生き物をゆっくり観察できる。そして、来るたびにまた発見がある。

動物の赤ちゃんが産まれていたり、前回来園した時は元気だったのに、亡くなっていたりする。秋に来た時は元気そうだったムツオビアルマジロが亡くなっていた。娘は「どこにいっちゃったの~?会いかったのに~」と何度も言っていた。

先日も、長男が夏の終りに、海で釣ったハゼを飼っていたのだが、とつぜん死んでしまった。「数時間前までは元気だったんだけどな、」と長男。私が驚いていると、彼はぽそっとつぶやくように、「あ~、言ってなかったんだけど、ハゼは年魚だから、一年で死んじゃうんだよね。」・・・し、知らなかった。

人間でも、ほかの生き物でも、現代は人が子どもである時期に死の場面に出会うことが少ないと言われている。我が家には、生き物好きの長男の部屋に常に何かしらの生き物がいるので、いつも生死が近くに在る。そして、生死をどう感じるのかも三人三様なのだろうと思う。私や夫は、それを黙って見ているようにしている。飼っていた生き物が死んでしまった時は、なんとも言えない気持ちになる。さみしいとか、残念だとか。いろいろ。でも、私たち大人の感覚で、ひとくくりにしないようにしたいと思っている。

この日、カバの水槽は水が比較的綺麗だった。カバの水槽は2つあり、日替わりで交換しているので、濁っていることがある。交換するだけでも、大変な作業なのだろうなぁ。地下の部分から水中を見上げて観察出来るようになっている場所から、カバの足の裏や毛穴もよく見えた。肌が弱いというが、私よりも強靭そうだけどなぁ。人は(カバだけど)見かけによらないんだよ、というわかりやすい例かもしれないな、と考えながらカバを見上げる。カバは水中で重たいであろう身体をふんわりと浮かべて気持ち良さそうにしていた。こんな大きなカバが本気で怒ったら、そりゃ怖いだろう。でもそれを口にしたら、「お母さんと同じだね!」と言われるに違いない。そう思って黙っていた。カバもきっと、もうすぐやってくる春をこの大きな身体のどこかで感じているのだろうな。

↓爆睡中のブチハイエナ。肉球、丸見えですよ。

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学校に行かない選択をしたこどもたちのさらなる選択肢のため&サポートしてくれた方も私たちも、めぐりめぐって、お互いが幸せになる遣い方したいと思います!