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「うちで一緒に働こう。」 この、たった一言が言えるまで、5年かかった。

※こちらの記事は2019年3月に書かれたものです。

「うちで一緒に働こう。」

この、たった一言が言えるまで、5年かかった。


先日、バングラデシュの出張に行った石出から連絡が入った。

石出「中村さん、工場のメンバーが5人増えています!
俺「・・・え、たしか今人数は足りているはずじゃない?」
石出「詳しくはまだ聞いていないけど、みんなどうしても仕事が必要な方たちみたいで。。。」

すぐに、工場長のアミンさんに連絡をしてみると、
みんな、貧困家庭のお母さんたちで、特に今回は先日旦那さんがいなくなってしまった人など、どうしても今仕事が必要な人たちだったから、少し先を見越して採用したとのこと。
もちろん、みんなミシンは使ったことがない初心者の方だ。

なるほど。それはよくやってくれた。
もちろん正直複雑な心境でもあるけど、それでもやっぱり、嬉しかった。

5年前、絶対にこの地に安定した仕事を生み出すぞと、自社工場と自社ブランドを立ち上げたものの、実力の無さから、最初のブランドは3年で撤退。

死に物狂いで働いたのに、増えたのは雇用ではなく、2億を超える赤字だけ。
その間、工場の人数は最初の8人から増えることはなかった。

写真は工場ができる少し前。BLJバングラデシュ代表Farukさんと一緒に調査しているところ

バングラデシュへ出張に行くたびに目の当たりにする、幼くして働く子どもたち。そして仕事を求め、時折工場の門をたたく地域の人々。

目の前に困っている人がいるのに、何もできない。
本当は今すぐ「一緒に働こう」と言いたいのに、肝心の工場には仕事がない。

「うちで一緒に働こう。」
たった、この一言が言えなかった。
たった、この一言までの距離が、果てしなく遠かった。
「一緒に働こう」と差し出したいこの手を、どれほどその場で握りつぶしただろう。

それから2年、先のブランドでの経験を活かし、みんなでむしゃらに働いた。
日本のメンバーも、工場のアミンさんも、休みの日も関係なく、本当にみんなよく働いてくれた。

その結果、事業は何とか軌道に乗り、
8人でスタートした工場のメンバーは2年で60人まで増えた。

少し前にみんなで撮った写真。バングラデシュの女性の服は本当に色鮮やかで綺麗だ

もちろん、まだまだ吹けば飛んでしまうような規模の小さな会社だから、油断は禁物だけど、
それでも、この一言を言うために、この5年みんなで頑張ってきたんだ。

だから、少し早めの採用とはわかっていても、少し背伸びすれば、採用ができるようになったことは、素直にとても嬉しかった。

そして、その採用をアミンさんがしてくれていることも、とても嬉しかった。
これまで、何十回アミンさんに採用を断らせてしまったことか。
一緒に雇用を生み出そうと立ち上げたのに、どれほど辛かったろう。

ただ、少し早めの採用を行ってしまったことは事実なので、
早く次の採用ができるよう、また背筋を伸ばして頑張りたいと思います。

明日から、サンモニのみんなとバングラデシュへの出張!
またこちらで出張の報告をしたいと思います。



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