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外資系広告代理店を退職し、銭湯で働きます!

こんにちは。ガースーです。2019年8月末で12年間いた広告業界を離れ、新しいチャレンジをスタートすることに決めました。

とにかく楽しかった広告業界

大学時にWEB制作と映像制作で起業、その後ITベンチャーを経て、27歳から外資系総合広告代理店に入社し、広告業界の末席にいさせてもらいました。プロデューサー、アカウント、プランナーとして絵をつくること以外は色々とやらせてもらいました。
奇人変人天才秀才とにかくいろんな人がいて、その誰しもが何かしらの才能を持っていて、「左ききのエレン」のような世界を見させてもらいました。いまの自分の仕事の基礎・仲間など全部、この業界にいなかったら無かったものだと思っています。そして、仕事をすることの楽しさをこの業界から教わりました。
関わった人・仕事・会社のすべてに感謝しています。

その当時は常に刺激に溢れていて、新しいマーケティング手法やテクノロジーが学べることも新しいもの好きのぼくからすると、この業界こそ自分のいるべきところだとも思えていました。

働いていく中で評価もしてもらい、だんだんと仕事のスケールも大きくなり、チームを持たせてもらったり、お給料も増えていって、ゲームのようにレベルアップしている感じが本当に楽しかったです。
世間からの反応とクライアントの業績としても、「このキャンペーン・広告いいね!」と言ってもらえる仕事もいくつか携わることができました。

それが、数年前からこうした仕事を積み上げても新しいものをおいかけても、なんだか楽しくない、幸せじゃないと思える時期が来てしまいました。増えていく収入と責任、増えない幸福感。事情事情事情で消えていくプロジェクトや広告。そして、ふと思ってしまったのです。

「これ、誰のための、なんのための仕事なんだろう?」

自分の信じる世界を作るために仕事をする

それからは周りにいて面白いことをやっているなと思える人に話しを聞きました。
森のオフィスの津田さん、やってこシンカイの柿次郎、REDDの望月さん、ブランドエディターの井手さん、バンライフのジョニーさんにIKEUCHI ORGANICの牟田口さんなどなど。

そこでぼくが気づいたのは、この人たちはみんな「自分の信じる世界を作るため」に仕事をしているんだ、ということです。それは当然お金だけのためじゃなく、他の誰かが決めたルールとかマナーとか常識のためでもない。

「ああ、そうか。ずっとあった違和感は、誰かの代理で何かをする、ときには信じている世界じゃないものを広告する、業界の慣習に従うってことを、もう違うと思っている自分がいるってことなんだ。この人達みたいに生きたい!」と、この先の自分の人生をどう使うかを模索しだしたのです。

サウナと銭湯が作り出す余白

そんなときに出会ったのがサウナと銭湯でした。
どちらもやることは難しくありません。ネットから離れ、裸になり、熱い湯(もしくはサウナ)と水風呂を行き来し、ただ、少しの風と人の気配を感じながら休憩する。

そこにはルールというより人としてのおもんばかり、心の底にたまった澱を流しだして「まあ、いいか」とリセットできる場、交互浴の得も言われぬ気持ちよさがありました。
こうしたサウナや銭湯の持つ価値観を生活の中に広げていくことで、面倒くさい事情でいっぱいの日常を生きやすくしてくれるはず。
この体験を増やしていくことは、自分のためになるし、それを同じように楽しんでくれる人がきっといるはず。これを自分が作りたい世界の基礎にしよう。そう思って、新しいチャレンジを決めました。

さて、では何をしようか!

独立して当面はフリーランスとして活動します。屋号はSUNDAY FUNDAYです。好きなこと、楽しいことがいっぱいつまった日曜日。毎日の生活の中で、そんな日々を作りたいと思っています。

ハレの日もケの日も

柳田国男が見出した日本人の世界観として「ハレとケ」という概念があります。「ハレ」は「ハレの日」と言われるような祭や行事など非日常なこと、「ケ」はいつもの生活である日常を表していると言われています。

そこから発展した見いだされたモデルの一つとして、循環モデルという考え方があります。ハレとケに加えてケガレという概念が加わりました。
日常をすごすためのケのエネルギーが枯渇することをケガレといい、それはハレの祭事によって回復するという趣旨のものです。

これを聞いたときに「そしたら、ハレが増えていけば、自分とみんながケガレすることなく過ごしていけるじゃん」と思ったわけです。

SUNDAY FUNDAYでやっていくこと

SUNDAY FUNDAYの中には「SUNDAY」と「FUNDAY」があります。(自分で書いてて何を当たり前のことを言ってるんだと思いましたw)

SUNDAYは日曜日。これはケの日の中のハレだと思っています。
日常の中にハレの瞬間を作る事業をSUNDAY WORKSとして行っていきます。
ぼくは掃除や洗濯などが好きで、ていねいな暮らしに憧れがあります。朝に顔を洗ったときにタオルの柔らかさを感じたり、使い勝手の良い道具たちによって家の中がきれいになったり、風合いがよくなる石鹸で洗われたお気に入りの服でかけたり、銭湯の大きなお風呂でぼーっとしたり。何気ないけど、こんな日曜日は楽しくすごせるはずですよね。
そのために、丁寧な暮らしのためのものづくりをしている企業や個人をお手伝いしていきたいと思っています。

FUNDAYはまさにハレの日そのもの。
普段の日にはないアクティビティを提供し、エネルギーいっぱい楽しむ日を作る事業がFUNDAY WORKSです。
自分が大好きなサウナ(特にアウトドアサウナ)、キャンプ、サバゲーやボードゲームなど非日常のアクティビティをイベント化して提供していきます。
ただ、個人の方に向けた楽しいイベントという以上に、研修などに使ってもらう企業向けパッケージも考えています。上にあげたものってどれも参加者の個性が出るし、共通体験を作ることで一気に仲が深まります。チームづくりにおいて、想い出を共有するって本当に大事。

どんな感じのものかは今年3月に運営をやらせてもらったフィンランド大使館の「フィンランドサウナアンバサダーイベント」を見てみてください。

具体的な仕事内容は?

ぼく個人としては「Graft Producer」と名乗っています。
graftとは接ぎ木のこと。家業という根を持っていて、そこに自分自身の新しい価値という木を接いで、これからの事業を担っていきたい2代目、3代目の方やすでにある文化・土壌にさらなる価値を見出そうとしている方をお手伝いしていきたいと思っています。

これは高円寺にある老舗銭湯・小杉湯をお手伝いさせてもらっていることから実感したことですが、良いものづくりをずーっと家業としてやってきていて、自分の代になってから志もあるけれど、家業を事業にしていくのってどうしたら良いかわからない方がいるってこと。
そして、そういうところに限ってみんなの暮らしにハレを作れるものづくりをしているってこと。これは本当に惜しい。この先100年も残ってほしい。

そんな想いから実際の事業承継の現場に入っていっている経験、自身の起業経験、広告代理店でのブランド・コミュニケーション開発の経験を活かしてサポートをしていけたらと思っています。

これはコンサル的にプランだけを出して終わりではなく、実行のところまでお付き合いしていきたいと思っています。一緒に2人3脚で汗をかいてやらないと無理だなって、これも実体験から分かりましたw

グラフトプロデュース第一弾は創業 昭和8年の老舗銭湯・小杉湯

昨年からイベントなどでお付き合いのあった銭湯・小杉湯に2019年9月1日からCSO(Chief Story teller)としてジョインします。3代目の平松佑介さんと一緒に、この先100年と続く銭湯を目指していきます。彼も面白い生き方をしているなと思って、今後について色々と話しを聞かせてもらった一人です。

小杉湯は創業からは現時点で86年ですが、法人化してからはまだ2期目。経営企画、ブランド開発・管理、商品開発、経理、人事労務、はてはバイトの子のシフト管理までやります。ときどき番台にも立つと思います。

CSOの仕事としては違和感がある方もいると思いますが、僕たちは「ことば」=テキストや喋り言葉だけとは考えておらず、銭湯ならではのNon verbalとして、自分たちの事業の在り方、サービスの提供の仕方も含めて「ことば」だと考えています。その言葉のありようをCSOとして責任を持っていくということで、ここまで広範な業務領域をやっています。言行一致させてこそ!
(とはいえ、そんなにきれいに出来てないので、悪戦苦闘の裏側も小杉湯奮闘日記として今後書きたいと思っています)

ここまで長文を読んでくださった方、本当にありがとうございます。
あなたの信じる世界はどんなものですか?ぜひ、今度聞かせてくださいね!
小杉湯で待ってます!


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