見出し画像

妄想料理

先週あるエッセイ本を読んでいたら、作者がハマっている鍋の話が書いてあった。
そこに書かれている鍋の話自体はほんの数行で、内容は鍋でも料理でもなかったけど
エッセイの内容よりもその鍋の方が記憶に残ってしまった。

その鍋料理は、キムチを刻んで出汁と白味噌を入れて、納豆と豆腐を加えて、最後豆乳を入れて作るそうで、この作者が「美味しくてこればっかり食べている」と大絶賛していた。

分かっている情報はキムチ、出汁、白味噌、納豆、豆腐、豆乳で作った鍋料理ということだけ。分量も手順も分からない。
でも未知の料理だけど一体どんな味なのかが、なんだかすごく気になる。

発酵食品と大豆製品が使われていて食品同士の相性はバツグンに良さそう。
私は発酵食も大豆製品も鍋料理も大好きだし、材料の全てが私の大好物で構成されているところが魅力的。ぜひ食べてみたいと思ったし、そしてきっと上手く作れる気がして作ってみることにしてみた。


キムチも味噌も常備してあるし、ひきわり納豆と木綿豆腐と無調整豆乳はスーパーで買ってきた。
分量はわかっていないけど、「味をみながら調整したらいいかな」という大体の感じで作り始めてみた。


キムチ鍋の要領で先ずキムチと出汁を入れて、そこに味噌を溶き、野菜も欲しいなと思って書かれていないけど大根と人参スライスを加えて、豆腐は一丁を八つ切りにして、ひきわり納豆2パックは混ぜないでそのまま投入。
煮立ったら、最後に豆乳を入れよう。豆乳の量はとりあえず全部の具材がかぶる量を入れてみよう。
キムチ鍋にはお餅を入れて食べるのが好きなので、ついでに焼いたお餅を最後にのせて完成させた。

そして、実食。

・・・・・・

ひと口目、スープを啜って、狼狽えた。
アレ?美味しいハズだけど、期待した程には美味しくないぞ?

豆腐と根菜のお味噌汁に納豆やキムチや豆乳が混ざってるだけの味がする。
一体どれが本当の味なのかわからなくなってしまった。
おかしい。材料同士の相性も良いし、それぞれを単品で食べても美味しいハズなのに、味が全く調和してない。発酵食がカオスすぎる。

具を食べてみたけど、こんな味でいいのか混乱してしまう。

作者をあれ程までに美味しいと言わせた料理の再現であるはずが、なんだたろう、とっても残念な味になってしまった。
不味くは無いけど、ただの大鍋いっぱいのお味噌汁になってしまった。
そんな後悔しかない。
何をどう工夫したら、美味しくなるのか手直しようにも意欲が湧かない。
作ってしまった以上ただ黙って食べるしか無い。
そして、冷めたらきっと、もっとどうしようもなくなるだろう予感がする。

「本を読んで再現する料理って難しいんだねえ。」
と、心の中で言いながら完食。もう、いろいろお腹いっぱい。泣きたいよ。

心の満足には至らなかったけど、健康には良い材料だから、体の栄養にはなってくれてるといいな。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?