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人々に不安がある限り資本主義は終わらない

こんにちは、トキワです(@etokiwa999

最近以下の界隈で「社会主義」がにぎわっているようです。

・バーニー・サンダースの支持者「ジェネレーションレフト」
・カール・マルクス晩年の主張のファン(人新世の資本論)
・トマ・ピケティの「資本とイデオロギー」(未邦訳)

理由はシンプルで、「資本主義によって格差が広がってるし、環境問題が深刻化しているし、経済成長しても幸せにはなれないから、資本主義をやめよう」というもの。

そのように主張する側は資本主義の問題点をデータを用いてひらすら説明し、ある国の一部の地域で行われている新しい経済活動を代替案として提示します。

ただ、そうはいっても現在、世界的にその「社会主義」が代替案にならず、資本主義が残り続けていることにもまた理由があります。

その理由を支持している人を説得しない限り、新しい社会システムになんかなりません。

では資本主義を支持している人々の理由は何か?それは「不安」です。それは例えば以下のようなものです

・将来病気になったらどうしよう
・学校や職場で友達に嫌われたらどうしよう
・自分の子どもが就職できなかったらどうしよう
・悪い人に襲われたらどうしよう

ではこれらの不安を現状どうやって解決するのか?それは商品やサービスを買って解決するのです。

病気にならないように健康グッズを買ったり、病気になっても医療を受けれるように保険を買ったり、友達に嫌われないようにおそろいのブランドを買ったり、子どもが就職できるようにいい大学にいけるよう塾のサービスを買ったり、防犯のためにオートロックのマンションを買ったり。

そして商品やサービスを買うためには「お金」が必要です。良い商品であればあるほど値段が高いのでさらにお金が必要です。

たくさんのお金を手に入れるためには、安定的にまあまあのお金を手に入れるか(大企業や公務員)、一発当てて一気に大金を手に入れる(起業や芸能)という手段があります。

なぜそれらだと大金が手に入るかというと、多くの人の不安を解消できる商品やサービスを売ってくれるからです。

お金で買う、売ってお金を手に入れる、そして両者の不安が解消される。それならお金を増やす必要もある。この不安こそが資本主義のエンジンなのです。

大して不安を感じてない人もいると思いますが、そんな人にとっては意外な事実として日本人の7割以上は不安を感じているのです

売ることができる(不安を解消できる)のは少数派であり、どんどん富を蓄えて富裕層となっていきます。富裕層は資産運用などの「投資」をすることでさらにお金を増やすことができます。

そうするといわゆる経済格差が生まれますが、格差が激しい国ほど不安が増幅されるという研究結果が出ています

つまり無限ループです。不安を解消するために始めた買う・売るの関係が、いつのまにかさらなる不安を呼ぶようになってしまいました

さらに大きな不安は安全保障となってあらわれます。いわゆる安全保障のジレンマです。

安全保障のジレンマとは、軍備増強や同盟締結など自国の安全を高めようと意図した国家の行動が、別の国家に類似の措置を促し、実際には双方とも衝突を欲していないにも関わらず、結果的に衝突に繋がる緊張の増加を生み出してしまう状況を指す。
※Wikipedia「安全保障のジレンマ」より

例えば中国の軍事費が増えたとします。他の国と同盟を結んだとします。もしかすると日本の領土が危ういかもしれません。それに対して不安になるので、そしたら日本も軍事費を増やしておいたほうがいいでしょう。そのためにはお金が必要です。

この不安による消費が行き過ぎた結果、環境問題が発生していますが、また環境問題が不安になって、電気自動車や再生可能エネルギーを買うわけです。

じゃあこの中毒者たちに「不安を感じるのをやめよう!」と言ってやめられるでしょうか?感情はそんな簡単なものではありません。

もし仮に、すべての不安を解消できるほどのお金を富裕層から税金という形で回収して一般人に配ったらどうでしょう?私は富裕層がそれに「はいわかりました」とすぐに応じるとは思えません

現にタックスヘイブンという形で税金として取られないようにしています。またお金を払えばビッグデータにアクセスして、事前に全体を俯瞰して対策もできますし、無人軍用ドローンを買って国として独立することだって可能です。下手するとお金を払ってデザインベイビーだって作れます。

なぜそれができるかと言えば、お金をもらえれば何でも提供する人がいるからで、お金が手に入れば自分の不安が解消できるからです。

例えば最近の中国。経済成長がうまくいって経済成長していない他国から色々買えるようになりました。

もし仮に、倫理観が強くてお金を積まれても提供しなかったらどうでしょう?そしたら富裕層は力づくで奪うだけです。力づくで奪えるほどの力をお金で手に入れることが簡単にできます。

「平等になってないから資本主義が機能してない」なんて言う人がいますが、そもそも資本主義は平等のために作られていません。不安を解消できる少数派の人たちのためにあるのです。

資本主義を甘く見ないほうでいいですよ?金利が減ろうと消費が減ろうと格差が広がろうと富裕層が肥えればそれでいいとされるのです。それが資本主義です。

一方でここまで説明しましたが、私も資本主義には反対です笑。反対の理由は2021年2月に出版される拙著「悪者図鑑」をご覧ください(以下から予約できます)。

買う側と売る側の不安をくみ取り、かつ資本主義よりも便利なものが提案できればいいわけです。


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