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Sun*のブランディングを支えるグラフィックデザインの秘訣と想い

2,000名以上のタレントがSun*には集っています。エンジニア、デザイナー、ビジネスデザイナー、サービスデザイナー、プロダクトマネージャーなどその職能はさまざまで、Sun*入社に至るまでの経緯も異なります。そんな豊かなメンバーが、Sun*のビジョン“誰もが価値創造に夢中になれる世界”に向かって、自分自身も価値創造に夢中になり、日々、一丸となって邁進できているのは、Sun*というブランドが舵取り役として機能しているからです。

本記事では、Sun*のブランディングに携わるデザイナーの宇佐美詠子、和田ほのかに、Sun*におけるブランディングの重要性や、ノベルティから見えるSun*のカルチャーなどについて聞きました。


普段使う言葉にまで宿るSun*のブランド

——まずはなぜブランディングが大事なのか教えてください。

宇佐美:ブランディングによって、Sun*というブランドをユーザーに正しく伝えることができるからです。ブランディングでは、まず「なりたい」と「こう見られたい」を認識し、統一感を持って設計します。それをブランドのコアとすることで、発展して作られるすべてのクリエイティブに説得力が生まれるんです。

——ブランディングと一言で表現しても、その範囲は多岐にわたると思います。Sun*では、どこまでブランディングとして意識されていますか?

宇佐美:そうですね。とにかく幅広く、ブランディングとして思い浮かびやすいのは社名やロゴですが、ウェブサイト、バナー広告から、会社資料、イベント装飾、記事やPRにまで及びます。実はオフィス内装もブランディングの一環なんです。

大手町オフィスは、会議室に続く道が暗いトンネルになっています。ハノイにあるカンナムオフィスも、入口が暗いトンネルになっているんです。日常生活から、価値創造に夢中になれる世界へと足を踏み入れる感覚をオフィスへの入室をもって体感してほしいという思いを込めて、このような設計になっています。トンネル以外にも、グラフィックウォールという壁一面の大きな絵やバーカウンターを通じて、Sun*メンバーがどう過ごすのか、どういう思いを持っているかを表現しているんです。

——ブランディングにはワーディングも含まれるんですね。

宇佐美:普段使う言葉もブランディングのひとつと捉えています。たとえば、社名の“サンアスタリスク”は、“SUN*”ではなく、“Sun*”と、小文字と大文字の使い分けを明確に規定しています。私たち自身を表現する際にも、Slerやオフショアといった言葉を用いないようにしています。

——和田さんは、前職では事業会社で一人デザイナーをされていたとお聞きしています。前職の会社でも、Sun*のブランディングほど幅広く手掛けていたのでしょうか?

和田:ECサイトを運営する会社に勤めていたので、主にウェブサイトやバナーなどのクリエイティブ制作に携わっていました。Sun*に入社して、「こんなにブランディングが浸透しているなんて……!」と驚いたことを覚えています。

特にワーディングに関しては、メンバーが日頃使う言葉のチョイスが「Sun*っぽい!」と感じます。言葉からSun*のマインドが浸透していると伝わります。

宇佐美:人が増えることで、広がったり変化したりすることはあるものの、Sun*のカルチャーがしっかり根付いていると感じます。

——Sun*はノベルティも豊富にデザインしています。中には、赤ちゃん用品も含まれます。制作秘話はありますか?

宇佐美:私、和田さん、他2人のデザイナーが中心となったノベルティチームとして、これまでたくさんのノベルティ制作を行ってきました。

会社の人数が少なかったとき有志でやっていた、メンバーの出産祝いでグッズを作っていたのを引き継いで、スタイやベビーロンパースが誕生しました。「赤ちゃん用品には、絶対にSun*ベアを登場させたい」と考えて、ベビーロンパースのお尻の部分にプリントしています。

Sun*では、メンバーはもちろんのこと、メンバーの家族も仲間だと考えています。その考えが、メンバーの出産祝いにノベルティを贈る文化に表れていますね。

和田:お子さんが実際にノベルティを身につけた写真を、メンバーがslackに投稿してくださることがよくありますよね。それを見た他のメンバーがコメントやリアクションしていることも。もらっていない人にまでコミュニケーションが波及する素敵なノベルティだと思います。

——ほかに、印象的なクリエイティブはありますか?

和田:新卒メンバーが作ってくれたSun*の旗が私はお気に入りです。真ん中の文字はSun*のベーシックなロゴでいくのか、それとも和風のロゴでいくのかで議論が起こっていたのを覚えています。

宇佐美:最初は2人が作っていて、途中から私がチェックで入りました。文字や線の重なり、中央の揃えなどかなり細かいところまで、3回くらいは修正を重ねて制作したんです。そのかいあって、なにひとつ、「もっとこうすればよかった」と感じる部分がない出来栄えになりました。

ブレない核と、逸脱を通じて進化するカルチャー

——さまざまな手法を用いてブランディングを推進していますが、Sun*の魅力を伝えるために必要なものはなんだと思いますか?

宇佐美:Sun*のブランドコアと組織カルチャーが魅力の土台としてあると思っています。通常、ブランドガイドラインって、「ここから逸脱しないでください」というルールの意味合いを含んでいるんですね。しかし、この逸脱こそ、Sun*の魅力を伝えるのに必要不可欠なんです。

Sun*のブランドコアは、スローガンやビジョン、ロゴが表す世界観で表現されています。それはまさに核であり、ブレさせてはいけない部分です。誰が見ても、誰が言っても、同じブランドコアが伝わるように、精度を練り上げて作られたものです。言葉ひとつとっても、“世界”と“社会”、“誰も”と“全ての人”では、印象って全く変わりますよね。ここは変形させてはいけない部分です。

核となるブランドコアがあることを前提に、逸脱とは、Sun*が組織カルチャーを表現するために必要なものであり、今見ている視界の外側に手を伸ばす行為と捉えています。Sun*がブランドコアで設定している“誰もが価値創造に夢中になれる世界”の”世界”とは、状態であって、具体的な場所を指していませんし、例えば業界のNo. 1になるというような具体的な目標があるわけでもありません。そうある状態を目指すということは、そこに至る過程にどんな変化があるか想像がつかない部分が大いにあると思います。

その過程で、要求される能力はさまざまあるでしょう。今、自分達が手に入れている能力や構築した世界観だけで、応える必要はありません。その外側にあるものさえも自分の力にしていきましょう、と視野を広く臨んでいます。“誰もが価値創造に夢中になれる世界”に至るには、この姿勢は絶対に必要です。

Sun*で掲げている7 Core Valueの“Think out the box”は、まさにこの姿勢を表現していますよね。自分がいる箱の外側へ思いを馳せ、想像し、それを実際に獲得し、成長して変化していく。私はそれを、逸脱と表現しました。社内で、「変化を楽しもう」と口にしているメンバーを見掛ける機会が多くあると思います。これはまさにSun*の組織カルチャーに紐づいた言葉なんじゃないかな、と思っているんです。

じわじわと浸透したお祭りとサーファーの文化

——逸脱と聞くと、ブランディングから逸れていくイメージを抱きますが……。

宇佐美:“どう逸脱してもいい”というわけではなくて、Sun*のブランドコアにつながっている必要があると思っています。それを読み解く鍵として、さっきの7 Core Valueや、Sun*をひとつの人格として捉えたときの性格を表現した5 Personalityがあります。ノベルティの数あるラインナップの中には逸脱したデザインがあるように感じられるかもしれませんが、大きく分けて2つのカルチャーが親和性の高い存在としてあるのではと考えています。

一つ目が、お祭り文化です。さまざまな背景を持った人が、好き勝手、思い思いの目標を持って日常を生きる中で、お祭りという場では同じ方を向いて、同じ対象を祀ります。そこでは高揚感や楽しいという思いも生まれます。

和田:私も、「Sun*はお祭り文化があるなあ」と思っていました。新卒メンバーのチーム名の一つが“ワッショイ”なのも、お祭りが由来なんですよね?

宇佐美:神田オフィスへ移転した際に、取締役がポケットマネーで神輿を買ってきたんですね。当時のメンバーがすでに持っていたカルチャーだったんじゃないかと思うんですが、神輿をきっかけに、じわじわと浸透していったんじゃないかなと思います。神田にあったオフィスの会議室の名前も、“Wasshoi”や“Soiya”といったお祭りの掛け声になっていました。

同じように浸透しているのが、サーフカルチャーです。

——ノベルティにも、サーフカルチャーを表現したグッズが多数ありますね。

和田:サーフカルチャーはアパレルグッズに顕著に出ていますね。デザインするとき、ロゴの入れ方などサーフブランドを参考にしています。青空の下が似合うデザインが多いですよね。私自身、身につけた人が気持ちが明るくなるように、と思いを込めて意識してデザインしています。

宇佐美:サーフカルチャーはサーファー同士が「誰が一番イケてるか」というシンプルな価値観をもって、格好を競い合って生まれた文化です。海辺の街特有の、大らかな空気や明るい雰囲気を纏っていて、さらに社会や環境への思いも時間をかけて育まれてきているんです。

Sun*のポジティブであっけらかんとした空気や、社会や環境に向き合って貢献したいと思っている姿勢は、サーフカルチャーとの親和性がとても高いと思います。

代表取締役の小林泰平は、よく「それってダサくない?」と言うんですが、このダサいって“信念に沿っていないよね”という意味だと思うんです。一言で言い捨てるような印象もある言葉だけど、実は深くて難しくて、でも絶対に大事にしたいことなんだと受け取っています。

——Sun*のブランディングにおける大きな存在として、Sun*ベアがいます。どのような経緯で誕生したのでしょうか?

宇佐美:2019年にIDEOの協力を得てリブランディングしてSun*になっているんです。その資料の最後に、Sun*ベアがおまけのように描かれていたんです。最初は、「なんか、熊がいる!」って、そんな存在で(笑)ノベルティを作るときにせっかくだからと、Sun*ベアをデザインすることが増えていきました。そのときはまだ認知の段階だったので、オリジナルデザインのSun*ベアをそのまま使うことに徹していましたね。

大手町オフィスへ移転する際に、空間デザイナーのマークが「この壁にSun*ベアを置こう!」とアイディアを出して、私も「せっかくなら塗装で描こうよ!」とノって(笑)どこにいてもSun*ベアが目に入る状況になることが大事だと考えました。Sun*ベアが、Sun*の象徴になった瞬間だと思います。

今年に入ってからは明確に、Sun*ベアがさまざまな形で展開されるようになりました。グラフィックウォールもそうですし、大デザナレ展に出展したときに新卒デザイナーが作ってくれたイラストなど、オリジナルじゃないSun*ベアのデザインが次々と生まれました。どれも、「あのSun*ベアだ」とわかってもらえるのはメンバーが自分たちを象徴するものだと認知しているからこそですし、実際に新しい姿として受け入れられています。

実はベトナムに、Sun*ベアの着ぐるみがいるんです。昔、ベトナムメンバーが作ったもので、まだ認知段階にいた私たちは、「これは公式のものじゃない!」と、その見た目を受け入れられなかったんです。しかし今では、一周回ってかわいく感じられて(笑)この気持ちの変化は、Sun*ベアがそれだけ自分達のものになったから生まれたものだと思います。いつか、ベトナムの着ぐるみに日本へ遊びに来てほしいですね。

Sun*ベアが育っていく変遷を振り返って、これがブランディングやカルチャーが醸成されていくひとつのストーリーだと感じました。

——ブランドコアと逸脱を受け入れる組織カルチャーなど、本日のお話全て含めて「Sun*らしいなあ」と感じました。ありがとうございました。

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